番外編 雪の日
まだ幼い日のこと。
キューは雪の日に、雪で作ったウサギをオレにプレゼントしてくれた。
「兄様、雪でウサギを作ってみたの」
「わあ、キューは器用だね。ありがとう」
微笑んで受け取れば、どこか得意げな表情のキュー。
その素直さが愛おしくて、思わずキューを抱きしめたっけ。
その後は、雪のウサギを溶けるまでの間キューと共に愛でたのだ。
「キュー」
「なに、旦那様」
キューがオレを旦那様と呼ぶようになって。
もう兄様と呼ばれることはなくなった。
嬉しいのだけど、少しさみしい気もする。
「今日は冷えるから、これを羽織っておいで」
優しく上着をキューに着せる。
キューは微笑んだ。
「旦那様は過保護」
「それはそうだ。キューのことだもの」
「旦那様は甘い」
クスクス笑うキュー。
「そういえば、すごく冷えるけど雪は?」
「降ってるよ」
「旦那様、一緒に雪遊びしない?」
ワクワクした表情でキューが言う。
「ふふ、少しならいいよ」
「じゃあ雪だるまを作ろう?」
「うん」
キューと共に庭に出る。
庭とはいえ、寺から出ることはほぼないのでなんとなくそわそわしてしまう。
キューとともに二つの雪だるまを作った。
「旦那様とキューだよ」
「ああ、そういうこと」
「あとこれ、パンダ」
いつのまにか、キューはパンダの雪だるまも作っていたらしい。
二人と一匹で寄り添い合う雪だるま。
それを寺の中から尊そうに崇める教徒たちには気付かないキューは、満足そうに何度も頷いて満面の笑みを浮かべていた。
「さあ、身体が冷えるといけないから寺に戻ろう」
「はーい」
お互い、冷たい手を握りあって寺にもどる。
パンダも雪だるまの作成を見守ってくれていたらしく、にゃあにゃあ鳴いて冷えた身体にすりすりしてくれていた。
そんなパンダにあの雪だるまはパンダだよと教えれば、にゃーんと誇らしそうに鳴いた。
それから雪が溶けるまでの間、教徒たちは毎日オレたちの雪だるまにお参りをするようになったのだが…まあ、そのくらい別にいいだろう。




