4~詐欺師、断る勇気~
4~詐欺師、断る勇気~
「ぎゃーーーーーーーーー!!」
「遮道さん!?どうしたの!?」
駆けつけたリリが慌てて問いかける。
「む、虫~汗 ひ~」
「あなた・・虫がどうしたのよ。その虫はとってもおいしいわよ♪そんなに驚かなくても・・・」
遮道は腹が減った為、食事をすべく、リリに教えてもらった食料の入った箱を開けたのだった。
箱の中には芋虫が大量に生きた状態で入っていた。
カブトムシの幼虫を500mlのペットボトルサイズほどに大きくした様な虫だった。
色は鮮やかな真っ青な色をしている。
箱の中でうねうねと動いている。
そのうちの一匹が箱から出てきたとたん、遮道は絶叫していた。
何事かと思い急いで駆けつけたリリだったが、俺があまりにもおいしそうな虫に感動したと勘違いしたらしい。
「お、僕は虫がとにかく苦手なんです。虫を食べるなんて絶対に無理です。箱を閉じて下さい!!お願いします!!!!」
「ヒューマンはこんなにおいしい虫を食べないなんて、人生の半分損してるわね。」
そういいつつ、リリは逃げ出した虫をひょいと拾い上げパクっと食べた。
(うげ・・まじでこいつ虫食いやがった。確かに鳥は虫を食うよな・・・俺には絶対無理だ。だが食文化をバカにしたらやつはきっと俺の印象を悪くしてしまう。ここはヘラヘラしてごまかすしか・・・)
「そ、そうなんですよ~。虫を食べる文化があるんですね~。も、もちろんハーピィーの文化ですから、引いたりなんかしてないですよ~」
(だめだ、どうしても虫が無理すぎて棒読みになってしまった)
「あら、そう?良かったら食べてみる?」
(は?こいつ正気か?苦手だっつっただろ。あほなのか?)
「いやいや、僕は大丈夫です。虫は昔から苦手で触ったりするのもちょっと・・・」
詐欺師の手口:断る勇気!無理なものは無理なのである。
「ふーん。ところでお腹が空いていたんじゃないの?」
「そ、それはそうなんですが・・・虫だけはちょっと・・・」
「だったら一緒に果実を取りに行かない?近くに果実のなる木があるわ♪それなら食べられるかしら」
「お、お願いします。助かります。ありがとうございます。」
「ところで、そんなにかしこまらなくてもいいわよ。気軽にお話してくれたらうれしいんだけど。あなたの事、シャドウって呼んでもいいかしら♪」
「う、うん分かったよ。じゃあ僕も君の事はリリって呼んでも良いかな?」
「じゃあシャドウ行きましょう♪」
(こいつ、なんかさっきから馴れ馴れしいな。まさか俺に惚れてる?これもスキルの効果なのか?たしかにこいつにはスキルを発動した。マインドコントロールがどういう効果なのか分からない以上、今は話しを合わせて様子をみるしかないか。しかし虫を踊り食いする女・・・絶対に無理だ。乳はでかいし顔も悪くは無い。だが虫を食べるなんて無理すぎる。)
俺はハーピィー族との共生は絶対にできないとその時思ったのだった。