扉
アルキナ──
それは機巧人形
ある日を境に次々と現れた人ではない機巧
それらは全く人と変わらぬ見た目を持つのにまるで人とは程遠い存在
しかし人よりも人らしく意思を持ち、生きる人形
それは機巧人形
それは人間のなり損ない
それは機械
それは人間
それはどちらでもない中立
それは朽ちぬ身体を持つ者
それは……
聞いてごらん
彼らの音を
よくよく聞いてみると心臓の音ではなく、カラカラガラガラ…歯車と歯車が廻る音が聞こえる
カラカラガラガラガラガラガラ…ガラ…ガ…ラ……
ほら、何処からか歌が聞こえてきた
機巧人形は何をみる?
その硝子玉で何を写す?
機巧人形は空を見る
機巧人形は人を見る
機巧人形は国を見る
機巧人形は友を見る
機巧人形は深淵を見る
機巧人形は闇を見る
機巧人形は光を見る
機巧人形は陽を見る
機巧人形は陰を見る
機巧人形は表を見る
機巧人形は裏を見る
機巧人形は日輪を見る
機巧人形は月輪を見る
機巧人形は天国を見る
機巧人形は地獄を見る
機巧人形は天を見る
機巧人形は地を見る
機巧人形は興隆を見る
機巧人形は没落を見る
機巧人形は栄華を見る
機巧人形は衰弱を見る
機巧人形は己を見る
機巧人形は意思を見る
機巧人形は現在を見る
機巧人形は未来を見る
機巧人形は過去を見る
機巧人形は全てを見る
機巧人形は夢を見る
これはそんな旅人達の噺