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二十三話【学校に来る馬鹿】

「お前、馬鹿か……っ。なんで、わざわざ学校まで来るんだよ⁉」

「え? だから、今言ったじゃない。待ちきれなかったって」

「─────」

 綺麗な長い白髪を持つ天使(あくま)は怪訝そうな眼でコチラを見つめる。


 ……コイツ、本当にその理由でわざわざ来たというのか。

 驚愕通り越して呆れ。否、焦りだけが現れる。

 約束が待ちきれなかったってと言ってっも─────。


「でもな、ソフィア。俺はあの……自分の武器を持って来てないんだ。だから、一回家に帰らなきゃならないんだぞ?」


 辺りを囲う生徒たちを一瞥した後に、ソイツらに聞こえない様に耳打ちするように俺はソフィアに指摘した。

 だが、それに彼女は納得していない様子で。


「……む。そんな事ないわよ。ほら! ちゃんとワタルの日本刀? も、持って来てあげたから!」

「はい?」


 純粋無垢な少女の天然が爆発する。

 こんな大衆が集まる場で、彼女は大きな声でそう告げて……挙句の果てには、後ろにひっこめていた彼女の手には”俺の日本刀”が入ってるであろう長い袋握られていた。


 ─────終わった、と感覚的な理解。


 馬鹿なのか、アクマなのかコイツは。

 こんな人だかりの前で、そんな風に簡単に見せていいものなのか。……いいや、ダメだ。これは、紛れもなく隠さなきゃいけないことだ。

 しょぼーんと俺はその場で大きくため息を吐く。


「ため息を吐きたいのは、こっちなんですがワタルクン? なぁ、お前さ……澪先輩といい、このハイパースーパー美少女な人といい、美少女系幼馴染の日葵さんといい。……なんで俺を置いて、ハーレム帝国作ってるんですかね⁉ 俺、気になりますよ⁉」

 そんな修羅場に、学は平然と乗り込んできて。俺の肩をポンと叩いてきた。


「学……か。いや、この事はだな。秘密に、しといてくれないか?」

「何故だ。俺を独りぼっちにする作戦がバレたからってか⁉」

「いや違うわ!!」


 学の方に振り向けば、背後にいた青髪筋肉質の男は涙目だった。


「というか今気づいたが……この美少女ちゃん。お前の学校のカバンを家に届けた時にいた人じゃねーーか⁉」

 そして、少しの時間が経過するごとに。


 彼女の正体が地道にバレてゆく。

 そうか、学はソフィアと初対面なワケではないのか。と、過去にコイツが学校のカバンを届けてくれた出来事を思い出した。

 ─────だが、それはやめだ。


 感傷に浸るのも良いが、これ以上。ソフィアとこの場に滞在するのはマズイと思ったのだ。

 露になる事実。


 雲に陰る斜陽は堕ち始め、空は逢魔に染まる。


「……ああ、もう!! 悪魔ソフィアが!! ……悪い学! 俺の自転車、暇があったら家に持って来てくれ!!!」

「んな⁉ なんでそんな面倒なコトを俺に押し付けるんですかね⁉」

「学食、奢るかさ!」

「……焼肉定食なら許そう!」

 金欠の俺は涙ぐみながらも。


「まじ、かよ……」


 ─────ソフィアの腕をがっちしと掴み、そのまま走ってこの場を後にした。


「ねぇ、ちょっと。悪魔ってなによ、失礼ね。私は天使なんですけど? 悪魔って……あくまって……アクマッて……酷いわ!!!!!」

 隣でギャーギャー騒ぐ白い悪魔を横目でちらと見て、取り敢えず学校から離れ或間町駅付近へと急ぐ。


 だが、途中でソフィアを掴んでいた手は振り払われてしまった。


「ね、少し待ってワタル!! どうして、そんなに怒ってるのよ」

 ……彼女は目を細めなて、コチラへと視線を送る。


 なんで怒っているのか? んなの、分かりきっているコトじゃあないか。

 驚きと呆れが合わさった声が振り絞って、出てきた。


「あのだな……お前、さっきさ。校門に立っていて、生徒たちになんて言われた?」

「え、なんてって……。なんか、一緒に写真撮って下さい。とか、なんでか知らなけど名前を聞かれたわ。でも、それがどうしたってのよ?」

「お前……、普通の人間はだな。ただ校門に立っていただけで、そんな人だかりが出来るハズないだろ。お前は特別っていうかだな、目立つんだよ」

「は、はぁ…………」


 どうやら、納得していない様子。

 だから俺は敢えて─────。


「ま、ド天然頭カラッポ系白い悪魔には分からないだろうけどなぁ!!!!」

 とわざわざ彼女を指差して、挑発してみた。


 その言葉に彼女は『カッチーン』なんて擬音語が似合いそうな、可愛く怒り。


「むむ、むむむむ!!! ……遂にワタル、めんどくさくなって私のネガティブなイメージ全部くっつけたでしょ⁉」

 と、言った。


 その言葉に、ニヤりと口角が自然と上がる。


「なるほど、実は…………自分の悪いところを自覚していたタイプかソフィア。お前、中々やるじゃないか」

「あっ⁉ ち、違うから⁉ ─────そういう意味じゃなくて……っ!」

「じゃあ、どういう意味なんだよ」

「─────っっ、もう!! ワタルのいじわる!!!」


 彼女が出したボロへ、俺はアタックする。

 こうなれば、こっちのもんだ。今までの鬱憤、全て吐き出させてもらおう。……と、するが。


「もう、分かった。私が悪かったわ!! だからもう、この話はおしまいね!」

 話は無理やり、あまりに強引な形で終幕となってしまった。


 ソフィア。なんと、恐ろしい子……!


 ◇◇◇


「んんっ。……さて、話がずれちゃったし。じゃ、本題に移るわよ」

「そりゃ構わないが。本当に、このまま行くのか?」

「……? 別になんの問題もないでしょう。だって私ね、ちゃんとワタルの武器である日本刀も持って来てあげたんだし」

「うーーむ。ま、一日ぐらいは良いか」


 そういう事を聞いたんじゃない。とも思うが……ちゃんと武器? である日本刀は持って来てくれたんだし、ソフィアなりに考えていてくれたのだろう。

 だから、良しとする。


「じゃあ話をするわね。今日、まず向かうところは……或間町駅裏方面にある森林公園よ」

「森林公園……て。あの、例の事件があったとか言う」

「ええ、私もあまり慣れないテレビ? ってやつを見てたら、そんな情報が耳に入ってね」


 立ち止まっていた脚を再開しながら、話を続けた。

 辺りは住宅地で、斜陽により一面黄色の景色だ。

 それよりも、である。どうやら、今回。始めての俺のお手伝いは例の怪奇事件が再び起きた場所。或間町駅裏方面にある森林公園らしい。


 ……そこで昨夜、十三人が死んだ。

 そう思うと、ゾッとする。

 ソフィアは続ける。


「確か、テレビでは……”十三”人が死んだと報道していたわ」

「ん? ああ、そうらしいな。でもそれが、どうしたんだ?」


 どうしたんだ? そりゃ、酷いだけ。

 怖いし、憎いし、恐ろしい。……ただそれはあくまでも偽善で、人間の持ち合わせているつまらない価値観や倫理観だけの話。

 これは、事実だけを云うならば他人事だ。


 俺が怖がる筋合いも、憎いと思う筋合いも、恐ろしいと思う筋合いも、ない。

 それは、そう思うこそ、醜い。

 だが、そんなのはとうに知っている。俺が聞いているのは、そんな単純で感傷的な話ではない─────。


「どうしたって、何が?」

「いや、ソフィアは今さ。わざわざ十三という数字を強調して言っていただろ。それで俺、考えたんだ。……十三てのは、不吉な数字だろ? だから、なんか特別な悪魔関係の話なのかなって」


 十三とは、西洋などにおいて忌み嫌われている数字である。


 つまるところだ、そういう忌み嫌われた数字を強調する意味……。俺たちが今から向かう場所はそういう場所だと思ったのである。

 だけど……ソフィアが向かう場所が悪魔関係以外のハズがない。だから、ナニカ特別なモンじゃないのかって考えたのだ。


 その考察に彼女はびっくりした様子で答えた。


「お、ワタル。それ正解よ。……十三ていう数字はね、人間たちにとって嫌悪の対象ともいえる”数字(ばんごう)”よ。嫌悪という感情は、悪魔が好むモノでね。私もわざわざそんな分かりやすい事をするやつなんて……ファクトか、アイツしかいないと思ったワケ」

「成程な」


 だが、彼女はちょっとだけ引っかかっているらしい。


「でもね、わざわざそこまで目立たさなくても……と、少し疑問に思うんだよね。何か、私達以外を誘っているようでさ。私レベルになれば、そんな大胆な事しなくても悪魔の場所は掴めるんだけど……」

「私レベル(笑)の間違いいか?」

「うるさいわね、ワタル! こっちは真剣に話してるんですけどーー」

「おっと、すまない」


 不覚。ソフィアに怒られてしまった。

 俺はペコリと頭を一回下げて、ごめんごめんと軽く謝罪する。

 しかし天使さんはそんなのは無視して、更に俺に話を続けた。


「ねぇ、ワタル。貴方も何か知らない? ……なんか、嫌な予感がするの。私達以外、他の誰かが介入してきたり……みたいな」

「他の誰か? 俺たち以外、ね。そんなの全然、心当たりがないな」


 眼を瞑り、最近の色濃い過去を思い出す。

 最近は色々ありすぎて、忘れてることが沢山あるだろう。だけど、そんな混乱しきっている脳内で必死に過去を振り絞って。

 ─────あ、と。


「あ」

 声を出した。


 想起された、その過去。その姿。

『敢えていうのならば、模索者(シーカー)ってところ』金髪のネコミミメイド、シルファと言われていたその女を思い出した。


 ……アイツなら、この怪奇事件に何かしらで関わっていてもおかしくない。


「どうしたの、何か思い出した?」

「ああ、思い出した。確か、『模索者(シーカー)』と名乗った女が俺に接触してきた」

「─────」


 その言葉を口にする。

 その瞬間に、だ。空気は凍りつく。


 彼女を見れば、彼女からは先程のまったりした雰囲気とはまるで別人。過去にショッピングモールや廃病院で視た、殺意が籠った眼光と威圧感があって。本能的に、彼女を正視すると同時にぶるりと身震いさえもした。


 ─────まずい。事を言ってしまったのか?


 疑問が浮かぶ。否、これは隠しようのない危機感と恐怖だ。

 汗は額を下り、唾はゆっくりと喉からたれ落ちる。

 そんな空気の中、殺意と執念が入り混じった彼女は声を発した。


「ねぇワタル。その話、本当?」


 心なしか、歩道の隅に(そび)え立つ電柱の灯りは暗く。らんらんと燃え尽きかけた黄金の斜陽も、雲に陰った。

 天を一瞥すれば、空は黒く。今にも大雨が降りそうな天候に。


 俺は。彼女の問いに、静かに答えた。


「ああ、噓一つない。本当の話だ─────。金髪の女が、そんな事を言ってたんだ……」

「そう、成程ね。……理解したわ。ここに巣食う悪魔が、なんでこんな大胆に力を行使しているのかを」


 彼女は俺に背を向けて、ぼそりと呟く。

 その言葉(オト)は聞くだけで恐ろしい、背筋が凍る。

 恐怖だけが脳内を蠕動(ぜんどう)し、顕著に現れた。


 震える腕、脚、心臓、唇。

 ……その最中、声を振り絞って。俺は問い返す。


「な、なんでお前はそんなにも……こわ……」

 いや、違う。怖い? そんなのは、言っていい事か?

 訂正する。


「お前は、なんでそんな怒っている感じなんだ? 聞きたいんだ。俺は今まで一般人、だったから、さ? 模索者(シーカー)とやらが、なんなのかすら俺には分からない。だから、教えてくれ」

「ん─────」


 彼女は呟く。

 恐ろしい程に体は震え、彼女だけに焦点は向かう。

 尚。ソフィアはコチラへと振り返った。


「ちょっと、ゴメンねワタル? 少し怖かったよね。……私はさ、あんまり感情を制御するのが得意じゃなくて」

 だが、コチラへと振り絞ったソフィアはいつもの様子に戻っていた。


 ホッと、少しばかしだが安心して安堵の息を吐いて。

 俺は自身の胸に右手を置く。


「ま、これじゃワタルも納得出来ないだろうし。森林公園に着くまでの間に、模索者(シーカー)と。そして、魔術教団という団体について教えてあげるわ」


 気の狂いか? ─────己に問う。

 いいや、俺は全く狂ってなんかいない。胸の鼓動はまだ進み続け、静止の方法なんて知らずに鳴り続ける。


 ならば、何故。

 お前は知りたくないと思っているんだ────己に、又問う。


 そうだ。その通りだ、と本能が問う失礼に対して返答する。

 俺は、模索者(シーカー)について知りたくないなと思う。いいや、そこまでなワケではないけど。……ヤバイ気がするのだ。


 これ以上、この世界に、この戦いに踏み込んだら─────二度と俺は、日常という光を味わえないのではないかと。


 そんなあまりにも保守的で、自己中心的で、哀れなその心は。

 まるで悪魔の囁き、とでも表す言葉が跳ねる。

 だけど、決めたじゃないか。


 ソフィアに協力するってさ、志摩弥(オレ)が。あの時に。


 ─────日常がもう送れなくなるかもしれない?

 そんなのは、あまりにも些細な問題過ぎる。


 きっと俺は、そんな事でこの件から手を引いてソフィアを見捨てた方が後に後悔する事になる。……もしかすると、彼女は独りで悪魔たちの群れに突っ込んで、誰にも知られずに消滅。消えていってしまうのかもしれない─────。


 それは、考えるだけで酷く辛くなる。


 だから、俺は。今の俺が後悔しないと思う道を選ぶ。

 出来るだけ、彼女に尽くせる世界を選ぶ。


「……そりゃ、ありがたいな」

 だから俺は相槌を打つ。


 ◇◇◇


模索者(シーカー)。それは、魔術教団という団体に所属する情報収集特化の魔術師達の事を指すわ」

「魔術教団?」


 如何にもな名だ。

 ……名前からして、何をしているのかは想像出来るのだが。だがそれでは、つまらないだろうと考えた自分は借問する。


「魔術教団。それは人間の身にて魔術という魔道を歩もうとする魔術師達の集まる地獄みたいな団体よ。その中でも魔王蘇生派という派閥にいるヤツらは、あまりにも質が悪いわ」

「そりゃ、どうしてだ?」

「ソイツらはね、魔王を復活。現代に蘇生させるためならば、人だって沢山、大勢を無感情に殺すから」

「…………そりゃ、酷いな」


 ─────魔王。確かそれは、全ての悪魔の始まりとかだったはずだ。

 自分の感想に、彼女は無言で相槌を打った。こんな恐ろしい話を聞いていると、体がぶるりと痙攣した。風はひゅひゅうと音を奏で鳴らし、遍いている。


「ま、それでね。貴方に現れた……いいえ。この町に来た模索者(シーカー)がもし魔王蘇生派のヤツらならば。最悪の場合、この町は滅ぶでしょうね」

「─────滅ぶ、だって? そんなの、噓に決まってる。……だってさ、魔術師だかなんだか知らないけど、一応俺と同じ人間なんだろ? そんなヤツが、こんな広大な或間町を滅ぼせるとか。意味が、分からない……」


 この町が滅ぶことだって、あり得るなんて……有り得ない。

 驚きは一周回って、言葉を吐き出すギアとなり、俺は懐疑的に思いながら彼女に反論した。だが、彼女のその黄金の眼光が『事実』だと語っていた。


「残念だけど、その可能性だって十分にあり得るわ。魔王蘇生派は、人間だけど人間以上の力を持っている。……超越的な力、それが魔術っていう概念。他の派閥はそんなに乱用しないし、プライドもあるから下手に使う事はないんだけど。そいつらは、そんなのお構いなしに使う。……そんなヤツらよ」

「─────」


 遂に、言葉が出ない。同時に喉は枯れる様に激痛にひれ伏した。

 ……それが、魔術師というヤツらなのかと。いいや違う、これはただの人間の本性に過ぎない。人間とは、人を殺し屍の上に立つことで生を実感する存在。

 過去も現代も未来も、地球にとっては害でしかないであろう存在だ。


 ……だから、俺たちがとやかく言える筋合いなんてモノは、キレイゴトに逃げる以外はなしに等しい。そんなのは、エゴなのだから。

 だけど、そう思ったって自分は……酷い、と思う。


 ニュースなので人が亡くなった報道を聞いて、本当に胸が痛くなったりもするのだ。

 他人事だというのに、俺の偽善的な倫理観は悲しいなんてくだらなく訴えてくる。


「そりゃ、酷いヤツらだ、な」

 振り絞って、俺は声を上げた。


「そう。今は、この或間町にやってきたヤツらが……魔王蘇生派じゃない事を祈るばかりね」

「……それは、そうだが。ソフィアはさ、なんで模索者(シーカー)……なんてヤツらが或間町に来たのか。その目的は分かるのか?」


 問いに、彼女は首を縦に振った。


「それは、ね。単純よ。元来、魔術教団というのは魔術を崇拝し、魔術を極めようとした者たちが集う……魔王の人生自体を教典とした宗教よ。そんな異端者共の集まる団体の目的なんて今も昔もさぞ変わっていない。それは、究極的な魔術を完成させるコトよ」

「─────?」


 よく、分からない。

 だから、俺は黙って彼女の続けられる話を聞く。


「あくまで魔王蘇生派というのも、魔王を蘇生させるというのは過去に存在したとされる魔術の顕現を実現させるための過程の違いで生まれたに過ぎないの。……どんな派閥でも、魔術教団に入っている限り、最終的な目的は究極的な魔術の完成その一つなの」

「は、はぁ…………。因みにだが、究極的な魔術の完成って一体どういうことだ」

「それは、過去の魔術の再現とでも、言うのかしらね。何千年も昔に、この世界とは違う異世界で魔王によって作られた魔術の原典【魔法(マギア)】を、今の廃れた魔術において再現しようとしているの。私はその魔法(マギア)の事を、究極的な魔術と呼んでいる」


 脳は多動して、混乱という情報整理さえも追いつかない。

 ……えーーと、だ。まだ俺の質問には答えてもらっていない。

 俺はただ、分からなかった。


 それを察知した彼女は、素早く─────。

「ごめんね、遠回しに言っちゃって。……ま、簡単に言えばだけど。そんな目的のヤツらがこんな町に来る理由なんてたった一つ。この或間町(まち)が、魔王の力で呪われてるからでしょうね」

「呪われている?」

「ええ、魔王がこの世界に来て、過去に死んだときに残した残影(かす)。それが影響して、ここは魔王の残したあらゆる不幸に呪われてるわ。まぁ、そのことについては話すと長くなるから省くけど。取り敢えず、模索者(シーカー)達の最終的な目的に近づけるかもしれない情報が眠っているであろう地がここだから……来たんでしょうね」

「ああ、成程な。なんとなくだけど、理解したぞ」


 理解した、気がする。

 ……模索者(シーカー)という情報収集に特化したヤツらの最終的な目的は、魔王が過去に作り上げた完璧な魔術【魔法(マギア)】の再現であり、その手掛かりになるかもしれない残影(のろい)がこの地に宿っているから……情報収集するために、ソイツらがやって来た。


 という、ワケか……⁉


「ありがとう、ソフィア。なんとなくだけど、これについても理解出来た気がするよ」

 なんか最近の俺は、ソフィアに教えてもらってばっかりだな……。そんな事を思う。


 だがそんな感傷的に浸っていると。

 そうこうしているうちに、森林公園の前へと俺達はついていた。


「着いたわね」

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