表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜明け前 ~婚約破棄から始まる運命の恋~  作者: 冴條玲
第三章 たとえ、光の神を敵に回しても。
28/37

【Side】 グレイス ~ここまで来て~

「蒼紫様、水蓮様、いったい、エトランジュのどこが私より優れていると仰るのですか!」


 蒼紫様はわずらわしそうに、冷たい目で私を見たばかり。

 水蓮様の方は静かな口調で、私をたしなめた。


「グレイス、そのように人と比べるものではありません。エトランジュの方が優れているなどと申し上げたつもりはありませんよ。候補二人のカリキュラムの達成度を、それぞれ絶対評価したまでのこと」

「まだ、夜影月華の連携すらできないで、どこが、とは片腹痛い。おまえには闇の力の引き出し方を知る気があるのか。闇の聖女であるエトランジュはすでに闇のすべてのカリキュラムを修了している。私よりも、金華からさえ、エトランジュより高い評価を得られなかったことを気にしたらどうだ」


 金華様が司るのは光で、エトランジュにとっては不得手なカリキュラムなの。

 だから、油断したのよ。

 そんなに頑張らなくても、金華様のカリキュラムでなら負けるはずがないと思ってしまって。


「私が本気を出せば――」

「最初から出していれば、な」


 蒼紫様は一言多いのよ!

 光の聖女がやる気を出そうとしているのに水を差さないでよ!


「蒼紫様と水蓮様はご存知なのですか? エトランジュはガゼル公子に恋愛感情を持っているわ。聖サファイアの聖女は、光の使徒にも教官にも、恋愛感情を持って接してはならないのに」


 何かしら、水蓮様が少し、厳しいお顔をなさったわ。


「グレイス、あなたの方は持っていないとでも? エトランジュが寂しげに、ガゼル公子をいつも見詰めていたことくらい、皆、気がついていますよ。あなたがそれを承知で、エトランジュからガゼル公子を取り上げたことにも」

「違うわ! そんなこと――私、ガゼル公子とは何にもありません!」

「何かあったかどうかは、この際、たいした問題ではないのですよ、グレイス。ガゼル公子にかまけて、私達のカリキュラムを(おこた)った。違うと言うなら、あなたの履修はなぜ、遅れたのです」

「っ……!」


 なんてこと!

 ここまで来て、ガゼル公子に足を引っ張られるなんて!


「ああもう、私ったら、どうしてガゼル公子に情けをかけようなんて……!」

「情け、ね」


 蒼紫様が感じ悪く言ったわ。

 エトランジュは蒼紫様のどこがいいのよ。

 蒼紫様の部屋は落ち着くとか、話していて安心するとか、理解できないわ。

 蒼紫様の部屋ときたら、藍色と黒の布が張られていて、とても雰囲気が暗くて冷たいのよ。

 そこに水晶だのカードだの、エトランジュに言わせれば神秘的なものを置いていらっしゃるけど、あんなもの、何の役にも立たないガラクタじゃないの。

 何より、ご本人が冷たいのよ。物静かと言えば聞こえはいいけど、客をもてなそうという気持ちのかけらもなくて、こちらから言わないと、飲み物さえ出てこないんだから。


「――気分が悪いので、今日は帰ります」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


★☆ 悪役令嬢と十三霊の神々 ☆★

↓ 完結まで無料で読めます ↓
悪役令嬢と十三霊の神々


【漫画】はじめての邪神戦 ~悪役令嬢と十三霊の神々~


★☆ シリーズ作品のご案内 ☆★

少年と舞い降りた天使

【新連載】サイファ ~少年と舞い降りた天使~


邪神に滅ぼされるはずだった公国を救った優しい少年の物語です。
※ 先代の公子様も素敵だったのですが、邪神キラーの少年と先代の闇巫女様を争奪して敗れました。ライバルが神の領域に天然すぎました。


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ