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夜明け前 ~婚約破棄から始まる運命の恋~  作者: 冴條玲
第二章 聖サファイア
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【Side】 エトランジュ ~もう一つの再会~

 昨日、ガゼル様にも援護してもらってルーカスをやっつけたの。

 ガゼル様、援護してくれて、優しく笑いかけてくれたの。

 私、すごく嬉しかった。


“ エトランジュ ”


 私を呼んでくれた、カゼル様の声。

 もう一度、聞きたいな。


 私に差し伸べてくれた、ガゼル様の手。

 取りたかったな。

 ルーカスに邪魔されて、届かなかったの。


 私――

 まだ、とっても、ガゼル様のことが好き。

 ガゼル様、私を追ってきてくれたわけじゃないよね?

 だけど、そうじゃなかったら、どうしてここに……?


 気になって、昨日の夜は、よく眠れなかったの。



 翌日の朝礼で、新任の教官の紹介を頂いてすぐ。

 ガゼル様、私を追って聖サファイアまで来てくれたんじゃないかって、私の勘違いだったら恥ずかしいから、真っ先にガゼル様を訪ねてみたの。

 そうしたら、グレイス様と鉢合わせて。

 少し、嫌な予感はしたの。

 出直した方がいいかもしれないと思ったけど、グレイス様、私に笑いかけてくれたから。

 ご機嫌がよさそうで、一緒でもいいのかなってほっとしたの。


 グレイス様がノックして、ガゼル様が姿を見せた。


「久しぶりね、ガゼル様。まさか、私を追って天界までいらして下さるなんて!」


 えっ……。


 なんだろう、胸がドキドキする。

 グレイス様がますます麗しく微笑まれて、私に仰ったの。


「ガゼル様は私の元婚約者なの。もうひとつ情熱を感じなくて、婚約は破棄させて頂いたのだけど。ガゼル様、失って初めて気がついて下さったのね。私がいないと駄目だって! それで、天界まで追ってきて下さるなんて!」


 そう、だったの……。

 そうよね、私を追ってきてくれるくらいなら、お慕いしていますって伝えた時に、応えてくれたはずだもの。

 どうしよう、涙がこぼれそう。

 どうして、期待したんだろう。


「そういうわけだから、ここは遠慮して下さる? エトランジュ」

「…はい……」

「ごめんなさいね、エトランジュ。ガゼル様は私一筋なの。あなたのものにはならないわ」

「いえ……お邪魔して、ごめんなさい……」

「待っ……」


 心配そうな、優しいガゼル様の声に、つい、振り向いてしまったけど。


「ヒュゥ、お熱いねぇ。聖女サマとの恋愛はご法度ですよ、教官サマ?」


 彩朱様の声に、ドキンとしたの。


「エトランジュ、大事な話があるって言ったじゃないか。まだ、オレをさけるの」

「あ、違っ……ごめんなさい、彩朱様。今から、うかがいます……」


 今日は、彩朱様とのお約束があったんだけど、午後でもいいのかなって勝手に思ってしまって、先にガゼル様を訪ねたの。

 引きとめようとしてくれたガゼル様が、少しだけ気になったけど、ガゼル様は優しいから。

 きっと、私が泣いてしまっていたのを、心配してくれただけだよね。

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