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夜明け前 ~婚約破棄から始まる運命の恋~  作者: 冴條玲
第二章 聖サファイア
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第8話 再会

 聖サファイアに到着してすぐ。


「ガゼル様!」

「エトランジュ!」


 拒否されるかもしれない。

 その恐怖を隠して、寄宿舎から出て来てくれたエトランジュに、笑顔で手を差し伸べた。

 エトランジュが困惑したように表情を暗くした時には、会いたくなかった様子に見えて、正直、ショックだったのだけど。


「エトランジュ、会いたかった!」


 私を押しのけて、艶やかな黒髪の青年が割り込んできたんだ。


「ルーカス様……」


 エトランジュが一歩、後退った。

 ――あれ?

 私じゃなく、彼に会いたくなかったのかな。


 エトランジュの腕を強引につかもうとしたルーカスを、私が止めるより早く。

 さらに、胡桃(くるみ)色の髪の少年が割り込んで、エトランジュを背中に庇った。


「エトランジュが怖がっているのがわからないの」

「光の使徒様が、恋人同士の熱い抱擁(ほうよう)の邪魔立てか?」


 少し、驚いた顔をした少年がエトランジュを振り向いた。

 エトランジュが泣きそうな顔をして、首を横に振る。

 どうやら、彼が勝手に言っているだけみたいだ。


「だって、そうだろう。いつもなら、ほとんど挨拶代わりに闇魔法を撃ってくるのに、撃ってこないのは、オレに会いたかったからだろう?」


 ――……。

 エトランジュのことなら何でも知っているという口ぶりだけど、何でも知っているというよりは、何でも誤解しているように聞こえて仕方ないのは、私がそう望んでいるから?


 エトランジュが私を見て、彼を見て、嘆息した。


「翡翠様、お部屋に戻りましょう」

「……彼はいいの?」


 エトランジュが何か言いたげに私を見たような気がしたのだけど、拒絶されているのか、歓迎されているのかは察せなかった。


「今日は、まだ。明日、正式なご紹介を頂いてからうかがいます」



  **――*――**



「おい、おまえ」


 エトランジュが私達に背を向けてすぐ。

 彼女にルーカスと呼ばれた青年が私に言った。


「それをオレの部屋に運んでおけ。帝王学の教官室だ」

「……は?」


 行きかけたエトランジュの足が止まった。

 ――あれっ!?

 わ、エトランジュがすごく怒ってる。


冥夜の悪夢(ナイトメア)!」


 ――えぇえッ!!


「そうこなくてはッ!」


 魔法障壁(マジックバリア)を張って、エトランジュの闇魔法を嬉々としてガードしたルーカスが言った。


「はーはははッ! なまっているぞ、エトランジュ!」

「翡翠様、援護お願いします!」


 ――連携魔法!?


 何だろう、何が起きているんだろう。

 すごく下らないことから大事になってる気がするんだけど、エトランジュが問答無用で人に攻撃魔法を撃ったりするなんて、夢にも思わなかった。


茨城(ソーン・キャッスル)!」

「くッ、二対一とは卑怯な…! そこのおまえ、援護しろッ!」


 ――……。


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 私はもちろん、エトランジュを援護した。

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