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有毒宝石  作者: 桜芽鵺葉
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価値


どうやら私は「今までいくらお金をかけられてるか」が見えるようになった。

鏡の中の自分の顔の前に、たいそうな金額がでかでかと写っていた。


どうしたものか。

顔が見えないので普通に邪魔である。


仕方がないので使用人を呼び出し、化粧は彼女に任せることにした。「かしこまりましたお嬢様」と言う使用人の顔の前にも、私よりはずいぶん少ないが、金額でかでかと現れていた。


身支度を済ませた私に、私よりは少し大きな金額がでかでかと顔の前に現れてる祖父がどこにいくのかと聞いてきた。私は「図書館で勉強をして参ります」とすらすら慣れた嘘を吐いた。

金額で覆われた祖父の表情は読めない。


今日は大好きな恋人とのデートの日。

祖父には「二度と会うな」と一度叱られたが、私は恋に生きたいのだ。


いつもの待ち合わせ場所に行くと、いつものように彼はすでに来ていた。

彼の顔の前には、でかでかと私より随分少ない金額が現れている。

街ですれ違う人とそう大差は無かった。

でも、彼の金額は私の使用人より低い。


彼と歩いて、ふと横を見ると、窓に反射して私の金額と彼の金額が映る。私はこれだけのお金をかけられて大事に大事に育てられてきたのだ。


私が「別れましょう」と言うと、彼は「どうしてそんなことを言うのか」と怒ったように言ったが、金額で覆われてるので表情はわからない。「こんなに愛しているのに」と声を震わした彼は泣いていたのだろうか。



「価値」おわり


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