表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
有毒宝石  作者: 桜芽鵺葉
12/13

機械とお嬢様

私の家にエレベーターができた。

二階に上がるため、エレベーターに乗ろうと思った。

エレベーターは中に入ると明かりが灯る。

私は乗り込んでから、上へ上がるボタンを押した。


「上へあがります」


エレベーターが私に話しかけた。


「上には何があるの?」


私はエレベーターに訊ねた。

エレベーターは答えない。


私は悔しくなった。

エレベーターが話しかけたから、私は答えたというのに、エレベーターは私の質問に応える気は全く無いのだ。なんでエレベーターごときに無視をされなくてはならないのか。私は無言でふてくされる。


もういい。

次にエレベーターが話しかけてきたとしても、答えるものか。私は悪くない。エレベーターが悪い。


エレベーター内はしばし無言となる。


「…」


私から話しかける気はない。

でも、エレベーターが万が一謝ったのなら、許してあげないこともない。私はエレベーターにも慈悲深いのだ。


そう決意しても、エレベーターは何も言わない。

ただ、ぐんぐんぐんぐん上に上がっていく。


エレベーターは止まらない。

エレベーターはガラス張りだから、外の景色が見える。もうここは私の家の二階じゃない。下を見ようとしたけど、私の比較的大きな家の屋根すら見えない。


「(どうしよう…)」


エレベーターは何を考えてるかわからない。


私はこのまま宇宙へ行くのだろうか。

エレベーターのガラスは宇宙に耐えれないと思う。


それとも、このまま高いところから落とされるのだろうか。私は落下に耐えれないと思う。


そもそも、エレベーターにそこまで怨まれる覚えがない。私たちは初対面だし、私はエレベーターのことを無視してない。今怒ってるのは私であるべきだ。


私が考えてる間もエレベーターはぐんぐん上にいく。


…仕方ない。

私が大人の対応をしてあげるか。

私はエレベーターを無視するのをやめた。


「こんなにあがってどうするの?」


エレベーターは答えない。

10ぷん待つ。

エレベーターは答えない。


「なんで無視するの!」


私はエレベーターで地団駄を踏む。

エレベーターは動じない。

私の身体が痛いだけだった。


私は頑張った。

「上になにがあるの?」「どうして上にいくの?」「そろそろ止まらない?」「私白米が食べたいわ」「おなかが空っぽなの」「お姉様が心配してるわ」「ねぇ家に帰りたくない?」「もし地上に戻してくれたなら、私の持ってるしゃもじをあげてもいいわ」

なんとかエレベーターと意思疎通を試みて。

エレベーターはなにひとつ反応しなかったけれど。


私はエレベーターの床に座り込む。

エレベーターは止まらない。


家に帰りたい。

こんなの嫌だ。


私はしゃもじをエレベーターに投げつけた。

鞄はエレベーターの数字の2のボタンに当たる。


「二階へまいります」


エレベーターが私に言う。

エレベーターは下へ下へと下がる。

そして私の家の二階でぴたりと停止する。


「二階です。開くドアにご注意ください」


「ありがとう…」


むかつく奴だったがちゃんと帰してくれた。

私は水に流してあげることにした。


「ドアが閉まります」


エレベーターは私に答えた。

淡々と偉そうな奴だ。


何か言ってやらなきゃ気が済まない。

私は「宇宙に行きたいなら一人で行ってよね」とエレベーターに告げる。

エレベーターは答えない。


二階に居たお姉様にエレベーターの話をしたら「あなたは小さいからまだわからないのかもしれないけど、エレベーターは生き物じゃないから私たちとはおはなしできないのよ」と諭された。


なんだ。

エレベーターは生きてないのか。

ボタンにしか反応できない哀れな奴だ。


私は姉様の隣に座り込む。

やがて夕飯の時間になり、お嬢様がお帰りになられた。

お嬢様は、私のお姉様にたっぷりと水を注ぎ、コンロの上の姉様に真っ赤な火を付ける。

私は一合のお米を口に注がれ、お嬢様の綺麗な指でほっぺを一回触れて頂けた。私は「炊飯を開始します」とお嬢様に告げる。



「機械とお嬢様」おわり


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ