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闇夜に欲望は嗤う  作者: Asuka
ホロウ編
6/6

天啓

人ならざる者、其の地に立つ。


其の蒼炎は、煉獄なり。


遍く大地に天啓を下す。


其の姿、さながら破壊の神の如し。


其の身、孤高に立ち、炎を纏う。



天を裂く破滅の炎が目覚めた。全てを焼き尽くす煉獄の中で、死神は再び立ち上がる。其の体は、蒼く燃え盛るは炎を纏い、興奮でもって豪炎を生んでゆく。


「さあ、思う存分戦うがいい。その力、見せてもらうぞ。」


ヴァドスは目の前の死神、黒崎麻衣に言う。彼女はついに、人間の域を超え死神の境地へたどり着いた。彼自身も、麻衣の異常な成長の早さに驚嘆している。これほどまで死神の力を受け入れる人間などいなかった。にも関わらず、麻衣はそれをすんなりやってのけたのだ。そして、その動機はただ純粋に己が楽しむだけだと言う。恐ろしい人間を見た。彼女こそ真の死神と言えるのではないか。ヴァドスの中で、驚愕と感嘆とが入り混じった。


「ああ、楽しませてもらう。この力、存分に解放するぞ…」


麻衣はつぶやき、吹き飛ばされた影に詰め寄る。影は既にダメージを負ったらしく、体の各所が蒼炎で燃えていた。さっきまで全くダメージを与えられなかったのが嘘のようだ。


麻衣は、まず手のひらに炎を生んだ。そしてそれを影に解き放つ。影の体に、青い炎が浮かぶとそのまま爆発した。


「グォォォォオォォォォ!」


断末魔をあげて倒れる影。先ほどとは桁違いの威力の炎が生み出され、影を襲った。

すかさず、影に近づく。立ち上がった影が殴ってくるがそれらを全て受け、反撃する。まず、殴る。その一発が、重い。食らった影は動きを止めた。さらに何発も殴る。そしてトドメに蹴る。これだけの格闘で既に奴を圧倒している。我ながら力の恐ろしさを感じた。


「まさか、これほどとは…」


ただ、これほどの力を手に入れたことに歓喜した。この力をもっと試したい。もっと力を解放したい。その欲が、私をさらに突き動かした。今度は手に炎を創り出す。そして奴に解き放つ。蒼炎に呑まれ、奴は倒れる。間髪なく炎を浴びせる。その度に爆発と爆風が周囲を襲った。


その戦闘の様を見ていたユリアスは、麻衣の天才的な順応に驚いていた。人間がここまでホロウを使いこなしている事実。それだけで十分だった。


「これは、まだまだ楽しめそうだな。」


ユリアスは不敵に笑った。



その後も、私は影を圧倒し続けた。近寄れば格闘で奴を吹き飛ばし、吹き飛ばされた奴に炎を浴びせて追撃する。これだけで奴を圧倒できた。私が得た力はこれほどまで強大だったようだ。しかし、私は満足できなかった。まだ力をほとんど解放していない。戦いを楽しめていない。もっと、この力の真髄を発揮したい。銭湯への欲望がどんどん加速している。しかし、目の前の影はもう終わりのようだ。


「もう終わりか…くだらん…」


奴は最後の抵抗とばかりに腕を伸ばす。それを掴み、握りつぶす。奴の手は砕け散り、砂となる。断末魔をあげ、その場から離れる奴だが、その大きな図体のせいで動きが遅い。

私は奴に狙いを定めた。そして特大の炎を創り出す。


「終わりだ。雑魚め。」


そして解き放った。巨大な火炎球は一直線に奴を捉え、命中した。


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」


断末魔をあげ、奴の体が燃えていく。その様を見ても私は全く満足しなかった。雑魚の哀れな死に際、だとしか思えなかった。



戦いが終わり、煉獄と化していた街が元に戻る。私も力が切れたのか、そのまま地面に倒れ込んでしまった。あれを行使した後は、どうやら体力が切れるらしい。慣れていかなくてはと感じた。


「見事な戦闘ぶりだった。貴様の力は賞賛に値する。」


私の戦闘を見ていたユリアスが言った。奴から得た力であったが、奴は私がここまでするとは思わなかったようだ。せいぜいどこかで死ぬとでも思っていたのだろう。


「良い意味で予想を裏切った。貴様の底知れぬ才能、これからも見せてもらうぞ。」


奴は私の顔を撫で、不敵に笑った。


「ふっ…お前も楽しむつもりか。まあいい。この力、これからも存分に使う。」


私も彼に返す。しかし、その力の代償はやはり大きかった。頭痛と体を焼くような熱が起こる。


「うっ…!ああっ!」


「やはりか、力の代償が出てきている。帰宅しよう。早く休め。」


そう言って奴は私を抱えて走り出した。純粋な死神だからか、麻衣よりもずっと早い。


「なんで…私にここまでする。お前にはなんのメリットもないはずだろう?」


「ふっ、貴様にはまだ死んでもらうわけにはいかんからな。せめて、もっと私を楽しませてからだ。」


彼は、不敵に笑いながら答えた。果たして私は都合のいい傀儡か、それとも同じ意志を持ち互いの退屈を埋め合う相棒か。その答えは私にはわからない。奴の不敵な笑みのみが、それを物語っていたようだった。

どうも!Asukaです!

新学期が始まり、私も高2です!少し更新ペースが遅くなり、1話で投稿できる文字数も減ってはしまいますが、これからもしっかりと作品を続けていくつもりです。

さて、今回は死神の力を覚醒させた麻衣の圧倒的な戦闘シーンでした。まだまだ戦闘シーンの描写は未熟かも知れませんが、麻衣の強さはわかっていただけたでしょうか?回を追うごとに彼女はより死神に近づき、戦闘を楽しみ、それに飢えていきます。その変化もしっかりと作品に組み込んでいこうと思います。

最後になりますが、いつもご愛読ありがとうございます!

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