表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編集

消しゴム

ここは誰も居ない教室。


何やら、物音が聞こえてくる。

小さな彼らの小さな悩み。


そっと耳を傾けてみよう……。



「オレ、この仕事辞めようと思う」


真っ白な身体の彼は呟いた。



「何を言っているんだい、消しゴムくん」


酷くやせ細ったとんがり頭が言った。



「どうも最近、仕事がつまらなく思えるんだよ、鉛筆くん」



「何がつまらないんだい。とても素晴らしい仕事じゃないか」


「間違った箇所を消すだけの仕事だぞ。何が素晴らしいと言うんだい。僕は君のようにクリエイティブな仕事がしたいのだよ」


彼の顔が紅く染まっているのは、午前中に消した赤鉛筆のせいだけではないようだ。



「まあ、落ち着きなよ消しゴムくん。いいかい、汚れたノートを綺麗に出来るのは君くらいだよ。僕が出来ることは汚れたノートをさらに汚すことくらいさ。自分に自信を持ちなよ」



なんとも、饒舌な鉛筆である。


「なんだか、自信が湧いてきたよ。ちょっと一消ししてくる」


……数分後、暗い顔をした彼の姿があった。



「……やっぱり、辞める」



近くには、もう一人細長いやつがいた。


その身体には、堂々と文字が書かれていた。



『油性』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ