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Contractor†Goddess  作者: 月詠 桔梗鑾
1章:出会い編
5/8

友人

まだまだ不定期更新ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

それにしてもこの作品



当たり障りなく王道一筋です。

チート?当たり前←


陛下~の方より複雑ではないので伏線も少量

ですが、じれったくないので、サクサクお読みいただけるでしょう


では、お待たせいたしました

どうぞ


教室は一気に騒がしくなった

それもそのはず、入学式を終えた他の生徒たちが各々教室に入ってきたからだ



この学園のシステムなのか、席の指定は特に無いようだ

最初に座った席が今後1年の自分の席となる



(私ってば、いい席じゃない)



入学式に遅刻してしまったので、私は他の生徒たちよりも先に教室に入っていた

席は窓際後列



入学式で既に友情が芽生えたのか、教室に入って席に座るときグループになって固まっているのが分かった



その様子を私は静かに見守っていた

さっきからチラチラと視線を感じることがあったが話しかけてこないようなので無視する




すると前の席に誰かが座った

ふわりと、甘い花の様な香りがした



「ねえねえ、貴女入学式いらっしゃらなかったでしょう?」


にこにこ笑顔

純真無垢な、真っ白な笑顔



クリーム色のふわっふわの髪

私を見つめる茶色い瞳が、なんていうんだろう....仔犬みたいだ



「ねえ!聞いています?」


ずいっと私に近づいた際、彼女の真っ赤なリボンのカチューシャが揺れた



「き、聞いてる....初めまして?」


「初めまして!私はリン・メイビス!貴女の御名前は?」



なんというか、動作が激しい

とっても愛嬌がある、特に仔犬のような仕草は可愛らしい



リン・メイビス

この子はかの有名なご息女だろう


王都の貴族

この学園は、本当に生徒を選ばないらしい



貴族であろうと一般市民と同じ教室に入れるだなんて、自尊心の高い貴族様たちが許さないのに...この学園は本当に別格なのね



私が黙っているのを見て勘違いした彼女は少し目を伏せて小さくつぶやいた



(わー、可愛い)


「あの...この学園に入ったら誰しもが平等と校長先生が仰っていました。どうか私とも、仲良くしてください!」



ゴンッと痛い音がする

それは、目の前の彼女が私の机に額を強くぶつけた音だ



(ど、ドジっ子で天然)


その茶色い瞳を目で潤ませて必死に私を見る姿が、庇護欲をそそる

同性にこんな危ない感情を抱かせるとは...リン・メイビス恐ろしいな



「こ、こちら...こそ。私なんかでいいのであれば」


自慢の愛嬌も、引っ込んでしまった

絶対今の私の表情は引き攣っている



けれども、花の綻ぶ様な笑顔で彼女は私に握手を求めてきた


「宜しくです、えっと....」


「ミシェル・ハワーズ、こちらこそよろしくね」


「ええ、よろしく!」



私は学園生活一日目にして、目の前にいる仔犬のような少女と友人になりました


周囲はそんな私達の姿をほほえましく見ていたなんて、ええ気づきませんよ


(そ、そんなにニコニコしないで)



私の隣の席は....まだ、空席のまま


―――――――――――――――

―――――



「ねえねえ!ミシェルー!!」


「淑女は廊下で走ってはなりません!」


朝一番

ここ最近の、もはや習慣ともなってしまった彼女、リンとのデスランニング


寮の階が同じだったことから、一緒に行こうと誘われ最初は私も快く頷いた


流石に寮は階級制

女子寮、男子寮、教職員寮、特殊教員寮、そして特別寮、通称貴族寮だ



女子寮から教職員寮までを一般寮と総称しているが、ここは相部屋で大体2人だ



時たま3人の部屋があるが、これはかなり身分の低い人たちの部屋だ

本来私は二人部屋なのだが...生まれ持った出生と、事情を知る理事長のヴァンが特別寮にしてくれた



特殊教員寮は、国軍の要請にすぐ対応できるようエリート教員が住む寮




どうしてそんなエリートが居るのか、国家の犬を育てる為ならば人員の強化も惜しみませんとのことらしい



そして最後に特別寮

通称は一般寮からの差別用語だ


まだまだ王都には沢山の腐敗貴族が蔓延っている

一般市民からみれば、忌むべき対象なのだ



勿論、善良なる貴族も沢山いる

だから王都は反乱なく今現在も賑わっているのだ



リンも貴族

特別寮に入るのは必然だろう


しかし、私と同じだと云う事に気づいて暇あれば自分の部屋に招待しようとする



(あの部屋は、ない)


断言できる

最初に行ってしまったのが、このデスランニングの始まりだ



ニコニコ笑顔で連れられて入った彼女の部屋

見事に真っ赤



カチューシャ色の、赤い部屋

この子の精神は大丈夫なのだろうかと本気で心配したが至って問題ないらしい



「ここが私の部屋です!好きにお部屋を使いなさいって父が許して下さったので、私の好きなもので埋めてしまいましたの、さあ入って!」



(見た目に似合わず情熱的なのかしら)




どこの殺人現場だ、そう思ったが寸でのところで言葉を飲みこんだ


落ち着かない部屋で、真っ赤なソファに座らされ紅茶と称した赤い液体で喉を潤し、平和的な会話を楽しんだ



「また、いらして!」


(二度と行くか!)


けれども彼女の可愛らしい仕草にそんなこと言えるはずもなく、言葉を濁して後にした


(あの部屋は拷問部屋か?精神的に攻撃をされている気分だった....)


チラリと見えた彼女の寝室

血反吐で口周りを真っ赤にしした、真っ白な兎の人形を見つけた瞬間現実逃避をしたのは許してほしい。なぜあの人形だけ真っ白だったのか...抱き枕?彼女とは趣味が合わないと感じた



ともすれば今度は私の部屋に行ってみたいと言ったので、頷いた

彼女からすれば物足りない部屋だとか。私がリフォームして差し上げますわと言ったとき只ならぬ恐怖と殺意が湧いたのは内緒



昨日、アレンが甘いものが食べたいと言ったので作って置いた紅茶のシフォンケーキ

それを目ざとく発見したリンが「私にも何か作って」といったのでリンゴのパイを焼いてあげた



それが好評で、朝のデザートとして食べたいわーと言い私に強請る

首をコテンと傾けて強請る仕草はそれ作戦でしょと思うほど、実際は天然なので何も考えていないらしいけど




レシピを教えたが私の手作りがいいんだって

だから週に一回なら作って届けるって言ったら、それだったら週に一回お泊りにいらしてなんて言うもんで、あの部屋で寝たらきっと悪夢を見るか最悪一生起きれないと身の危険を感じた私は逃げることにした



それを繰り返しているうちに流石の彼女もわかったのか、泊まるのは互いのプライバシーに関わるわよねと自己解決し、ならば朝一番に私の部屋で作ってと言う方向に進んだ



この娘もやはり生粋の貴族

私の苦労を無視したお願いだ



(それ以前にあの部屋で料理をすることすら恐怖だ...あのキッチンは何故水さえも赤いのだ)



本人曰く、魔法で見た目の色を変えているだけで普通の水らしい

この水で紅茶を入れたんだ、そりゃ赤い液体の紅茶ができるわね



「作って持っていくよ」


「それでは駄目よ、ねえ...お願いミシェル」



可愛い....が、却下

それから彼女は朝一番で私の部屋をノックするようになった


早朝だ、まだ外はほんのり暗い

扉を開けた先にキラキラな目で、手に白い例の兎の人形を持つ彼女が現れたときはどこのホラーかと思った



彼女が作ってーと私を起こしに来る

それを拒む私


そして話は冒頭へと戻り、朝一番のデスランニングが始まるのだ



他の部屋の住民に怒られるかと思いきや、貴族寮

全室防音対策があり外の音を完全に遮断している



だから私たちは気兼ねなく廊下を駆けまわることができるのだ



(そのおかげで私は朝食を逃すのよね)


貴族寮に設置されてある食堂で食事をするのだが、私は彼女と戯れているのであり付けない


(周囲も私達のやり取りを戯れているとしか解釈しないから迷惑)





「もう、今日もミシェルが強情だから朝食の時間がありませんでした...丁度お弁当がありますの、ミシェルもどうぞ」



(え、私のせい?)


「ありがとう、いつもありがとうってリンの執事さんに言って置いて」



ひっかかる言葉を飲みこんで、私は渡されたお弁当を開ける

彼女の執事だからと最初は危惧したものの、見た目は普通だし、どれもおいしかった



まだ見ぬリンの執事

この子の執事なのだ、もう尊敬に値する



「ふふ、美味しい?」

「美味しいよ」


授業が始まるまでの数十分

私達は朝の喧騒をどこかへ放り投げ、楽しく食事を済ませる



(あれ、私の愛嬌はどこへいったの?)



じわじわと外堀を埋められていっていることに、私は気づくことなどできず...


学園生活もだいぶ慣れてきた今日この頃

友達と呼べるのは、今のところリンのみです


唯一気になることは

――――――私の隣の席は、やはりまだ空席のまま






説明と、新キャラです

本当はこんなキャラじゃなかったんですがね、まあいいでしょう←


ミシェルの性格は基本優しいです

ですが、素は誰よりも冷めています。沢山の死を目にしてきた人間はどこか諦観する傾向があるようです、それはミシェルにも該当すること



二重人格というよりは、経験の差と思ってください。

ご不明な点、改善点とうございましたらお手数ですがお知らせください


ここまで読んでくださってありがとうございました

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