定期券
この小説を読んで下さりありがとうございます。
ある少年は、道端で一枚の定期券を拾った。名前も書いてなく、どこの会社名のものなのかも書いて無かった。ただ、裏に、
“これは各会社路線全線でご利用頂けます。”
と、記してある。定期券には使用者の名前が書いて無かったので早速使ってみる事にした。
少年は、その定期券を使って改札を通った後、列車に乗車した。
ところが、少年を乗せた列車は、急カーブに差し掛かった所で制限速度を遥かにスピードオーバーで脱線し横転、大惨事となった。少年は即死したが、少年が手に持っていた定期券はその時の事故衝撃により、何処かへ吹っ飛んだ…。
またある日の午後、少年と別の所で年老いた老人が道端で傷が付着した定期券を拾った。老人は丁度、昔の戦友達と会うために電車を乗るため老人は良いものを拾ったと満足気に駅へ向かった。
…老人を乗せた列車は突然、暴走し前を走っていた列車に激突、更に激突したため速度を落とし、後ろから来た特急列車に突っ込まれ、炎上…老人は焼死した。定期券はいつの間にか消失していた…。
また別の場所でその定期券を拾った女子高生は、その後家に帰ろうと駅に着いた直後、自分の意思とは別に勝手に身体が動きだしその駅を通過する急行列車にプラットホームから飛び込み、見るも無惨な轢死体となった。その定期券はまたその場から消えていた…。
この定期券…昔、駅で倒れていた老人を助けて少しばかり会社の出勤時刻に遅れ、上司にクビを言いわたされたので、そんな理由でクビだなんて不条理だと不服を会社側に申し立てたが取り合ってくれず途方に暮れ、最期に世間の不条理さを怨みつつ、猛スピードで駅を通過する列車に自ら飛び込んで自殺した真面目な会社員のモノだったのだ。
あなたも、道端で定期券を見つけたら拾わないようにしましょう。これを守らないとあなたも…
ノロイコロサレマスヨ?
恐れ入りますが、読み終わりましたらこの小説の評価をして下さい。