第20章 世界を癒す光、そして“現実へ続く恋”の約束
光の泉が脈打つたび、
ひよりの胸も同じリズムで震えた。
——ドクン。
——ドクン。
(……苦しい……でも……あったかい……
この光……私を呼んでる……)
クロウがひよりの肩を支える。
「ひより、無理するな。
あんたの心臓まで引っ張られてる」
その声は、ゲームのキャラのものではなかった。
もっと深くて、もっと“人間らしい温度”があった。
ひよりは震える声で言った。
「クロウさん……
私、怖いです……
でも……逃げたくない……」
クロウはひよりの手を握った。
「ひより。
あんたが怖いときは、俺が支える。
ゲームでも、現実でも」
ひよりの胸が跳ねた。
(……現実でも……?
クロウさんは……本気で……?)
エルダがひよりの背中を押した。
「ひよりちゃん……大丈夫。
僕もいるよ。
ひよりちゃんの料理は……僕の心を救ってくれたから」
ひよりは涙をこぼした。
(……私の料理が……誰かの心を……)
クロウはひよりの手を包み込み、
静かに言った。
「ひより。
あんたの料理は……世界を癒す力だ。
そして……俺の心も救った」
ひよりの胸が熱くなる。
(……クロウさん……
そんなふうに言ってくれるなんて……)
***
ひよりは鍋を抱きしめ、
光の泉の前に立った。
「……お願いします。
私の料理で……世界を癒して……」
鍋の中のスープが光を帯び、
泉の光と混ざり合った。
——ドクンッ。
世界が震えた。
ひよりは膝をつきそうになったが、
クロウが抱き寄せた。
「ひより!
もう無理するな!」
ひよりは首を振った。
「……嫌です……
私……最後までやりたい……
だって……守りたいものがあるから……」
クロウの瞳が揺れた。
「ひより……
あんたは……本当に……」
ひよりはクロウの胸に手を置いた。
「クロウさん……
私……あなたに会えて……よかった……」
クロウは息を呑んだ。
「ひより……
俺もだ。
あんたに会って……俺の世界は変わった」
ひよりの胸が熱くなる。
(……クロウさん……
私……この気持ち……)
光が泉から溢れ、
世界の綻びを包み込んでいく。
エルダが叫んだ。
「ひよりちゃんの光が……世界に広がってる!!」
ひよりは胸が熱くなるのを感じた。
(……届いてる……
私の料理が……世界に……)
しかし——
その光はひよりの身体にも負荷を与えていた。
ひよりの視界が揺れ、
膝が震えた。
「……っ……」
クロウがひよりを抱き寄せた。
「ひより!!
もうやめろ……!
あんたが壊れたら……俺は……」
ひよりはクロウの胸に顔を埋めた。
「クロウさん……
私……壊れません……
だって……あなたが……守ってくれるから……」
クロウの瞳が揺れた。
「……ひより……
俺は……
現実でも……あんたを守りたい」
ひよりの心臓が跳ねた。
(……現実でも……?
クロウさん……本気で……?)
クロウはひよりの手を握りしめた。
「ひより。
この世界が終わっても……
ログアウトしても……
俺は必ず、あんたを探す。
現実で会いに行く」
ひよりの目から涙がこぼれた。
「……クロウさん……
私も……会いたい……
現実のあなたに……」
クロウはひよりの手をそっと頬に当てた。
「ひより。
俺は……あんたが好きだ」
ひよりの胸が熱くなる。
(……クロウさん……
私も……)
ひよりは震える声で言った。
「私も……
クロウさんが……好き……」
光が泉から溢れ、
世界の綻びを完全に包み込んだ。
運営の声が響く。
《世界の修復プロセスが完了しました》
《佐倉ひよりさん》
《あなたのスキルは“世界の祝福”として登録されました》
ひよりは息を呑んだ。
(……祝福……?)
運営は続けた。
《あなたは……この世界の“守り手”です》
《隔離も削除も行いません》
《あなたの選択を尊重します》
ひよりは涙を拭った。
「……よかった……」
クロウはひよりを抱き寄せた。
「ひより。
これで……現実で会えるな」
ひよりは涙を流しながら笑った。
「はい……
絶対に……会いましょう……」
光が森に満ち、
世界は静かに息を吹き返した。
ひよりの料理が、
世界を救った。
そして——
ひよりとクロウの恋は、
ゲーム世界を越えて“現実”へと続いていく。




