【超短編小説】うん
ブーッ
ブーッ
ブーッ
ブーッ
ブーッ
……はぁ。
「はーい、もしもーし。
いま?何もしてないよー、大丈夫。うん。うん。
え?忙しくはしてないからちょっとなら平気だよー。どれくらいって、ちょっとだよー。うん。
え?あはは、別にそういう意味じゃないって。違うってー。ちがうちがう。
えー、だって付き合っても無いのに長電話とか変じゃーん。
うん。
え?彼氏?いないよー。
うん。嘘じゃないって。
うん。
えー?なに、急に。
うん。え?いまから?
……んー、今からはちょっと無理かなー、うち厳しいから。
うん。門限って言うか、この時間から外って出なくない?怖いし。
ん?
電話なら。うん。あと少しね。
え?
……うーん、嬉しいけど、うん。
えー、ごめん。
うん。うん。
いや、ダメとかじゃなくて、いや、そういうんでも無いし、違うって、嫌いとか厭とかじゃなくてさぁ。
えー、じゃあさ、逆にどうしてか訊いていい?
そう、どうして?
だって聞きたいじゃん。
うん、そう理由。
なんでわたしなのかなーって。だって他に可愛い子いっぱいいるじゃん、えー、ほら、いるよ。いっぱい。
やー、わたしはそういうんじゃ……いやそう言ってくれるのはありがたいけど。
えー、じゃあ言うけど、わたし知らないもん。
うん、そう、学校での事しか知らないじゃん。
うん、そう、家ではどんな感じなのかとか、学校以外の感じがさ。
いや見えないって、あはは。
うん、そうだからどんな感じなのかとか、どんな音楽聞くのかとか、どんなテレビ見るのかとか、好きな漫画とか、うん、いや今は発表するターンじゃないし。
違うって、聞きたくないとか知りたくないとかじゃなくて。
うん、そう、なんか好きな食べ物とかさ。
いやだからいまは発表するターンじゃないし、言えば良いってものでもないから。
え、じゃあさ、部活の帰りって何飲むの?
……缶コーヒー?うそ、マジで?
へー、うっわ、ブラック。マジで?それ盛ってない?
うわー、いや引かないけど、え、あれ美味しいの?
飲んだことないんだ。わたしは紅茶派だから。いや嫌いとかじゃなくて飲んだ事ない。
え、いや合うとか合わないとかじゃないじゃん。
何でそうなるの?
いや怒ってないし。は?
違うし。
いや、もういいって。うん。
おやすみ」




