第7話 再会
ガヤ…ガヤ…
ーーとある夢追い人の集まる場で…
ガチャッ……
(荘厳な扉を開けると、様々な姿をした夢追い人達が目に映る)
アルセリオ
「なんつーか…懐かしいな…。」
(そう言って、あの頃からは三度の昇級を経た夢追い証を見ながら…思い出に浸る)
アルセリオ
「あの、ここに…依頼を出しに来たんですが…」
受付嬢
「はい!どんなご依頼でしょうか?」
アルセリオ
(未発見の遺跡ってのは隠しとくか)
アルセリオ
「とある"洞窟"を、探索するための人員を募集したくて…」
受付嬢
「はい。承りました。…今から、面接を始めますか?」
アルセリオ
「ああ…よろしくお願いします。」
受付嬢
「はい。それでは、あちらのお部屋でお待ちください。それと…報酬はいかほどで…?」
アルセリオ
「俺が、その場で見て決めます。信用出来ない人間を入れる訳にはいきませんので。」
受付嬢
「分かりました。ご提示頂けていない所は、適当に見繕っておきますね。」
アルセリオ
「はい。ありがとうございます。」
(そうして、アルセリオは待合室にて…人を待つ。)
***
(面接室の椅子に座るアルセリオ。その前には、一癖も二癖もある応募者たちが並び、順に呼ばれていく)
ガチャッ…
???
「ふふふ…私の右腕は、触れたもの全てを透視するのです…!!」
アルセリオ
「……触れる前にお陀仏だろ。採用しねぇ。」
ーー
ガチャッ…
???
「俺の鍛えた筋肉は、迷宮の壁をも打ち砕くぞ?」
アルセリオ
「トラップも一緒にぶっ壊す気か?帰ってくれ。」
ーー
ガチャッ
???
「迷宮の探索においての斥候なら、私にお任せニャン♪」
アルセリオ
「すまないが、斥候はもう間に合ってる。他を当たってくれ。」
ーー
ガチャッ
(眼鏡をかけた青年が入って来る)
???
「僕のアピールポイントとしては…この地の地形や伝承に詳しい事ですかね。」
アルセリオ
「というと…?」
???
「そうですね…近くの話で言うと、
"焔の王"の伝承な………」
アルセリオ(食い気味に)
「採用だ。よろしく頼む。それと、名前は…
ドクル…君、だね?」
ドクル
「はい。…随分とお早い採用ですね。…なるほど、今回の探索も"それ"関連ですか。なら、僕が適任になりますね。」
アルセリオ
「そう言う事だ。頼むぞ?ドクル。」
ドクル
「はい。精進致します。」
ーー
ガチャッ
???
「フハハハハっ!!アルセリオ君!!この私のクランに入らないか!!」
アルセリオ
「逆スカウトはお断りだ、帰れ。」
ーー
ガチャッ
???
「この私は…
神からの信託を受けて来たのです…っ!!」
アルセリオ
「その神とやらが帰れと言ってるぞ。」
ーー
ガチャッ
???
「俺を入れて見ねぇか?旦那。そこそこ役には立つと思うぜ?これでも、Bランクまで行ってんだ。」
アルセリオ
「君…その光っている物は何かな?」
???
「あっ?これか?ダンジョンからの掘り出し物だよ!!美しいだろう?」
(そう恍惚とした表情を見て…アルセリオは少し眉を動かした。)
アルセリオ
「採用としよう。任せたよ。マックス君?」
マックス
「おうよ!!任せときな!!」
ーー
ガチャッ
???
「ふむ…よろしく頼む。」
アルセリオ
(やたら図体がでかいな…もしかするとアリか?)
アルセリオ
「そのデケェ武器…何処で使うんだ?」
(アルセリオはゴクン…と唾液を飲み、緊張を走らせながら聞く)
???
「ん…?これは、鑑賞用だ…。お恥ずかしながら、まだ扱えなくてだな…。」
アルセリオ
「そんなデケェ図体して使えねぇのかよっ!?」
(小さくとも、大きな声でツッコミを入れた)
???
「むっ?何か言ったか?」
アルセリオ
「いや…何でもねぇ…不採用だ。」
???
「ふむ。それではまた来よう。」
アルセリオ
「来んな。」
ーー
ガチャッ
(扉の向こうから、シスターの様な服装をした、糸目の温和な女が入って来る)
アルセリオ
「あんた……どっかで会わなかったか?」
???
「あらぁ……?貴方様は確か…私たちの国へと来ていただいた…探偵さんではなくて?」
アルセリオ
「その色気に…そのゆっくりとした口調…あんた、帝国の時のアニューゼと一緒に居たシスターさんか!」
ーー
数年前…神聖レノヴァ帝国にて…
アルセリオ
(んっ……?あの人だかり…なるほど、炊き出しをやってんのか。)
???
「ここにもありますよ〜〜好きに取ってしまっても良いですからね〜〜。」
(高身長で胸は控えめの儚げな美女が、そう言って呼び込みをしている…)
アルセリオ
「あっ?おいおい…どう見てもこの人だよな…?」
(そう言って、手元に写る"教皇アニューゼ"の写真を見て言う)
アルセリオ
「まさか…かの粛々とした教皇であり、この大陸唯一の半天使である彼女が…
こんな場所で炊き出しをしているところを見る事になるとは…人生、何があるか分からないな…」
???
「あらぁ……?こんな所でどうしたの?坊や?」
アルセリオ
「坊やじゃねぇ、俺は歴とした………」
(そこには、豊満な体をした大人の女が立っていた。…口元のホクロが、何とも言えない色気を醸し出している)
???
「あらあらぁ…。見惚れちゃったのかしら?もう…男の子ねぇ……?良いわよ…?坊やの好きに見ても。」
アルセリオ
「揶揄うな……それで?あんた…だれだ?」
???
「私はセレスって言うのよ…?よろしくね〜〜。それと…アーちゃんからの贈り物よ〜〜?」
(そう言って、一発の弾丸をアルセリオに手渡す)
アルセリオ
「こりゃあ……」
(その白い弾丸には、見た事も無い程の"神聖力"が内包されている…)
セレス
「アーちゃん曰く〜〜……使う時が来るだろう…ってさぁ〜〜。」
アルセリオ
「……なるほど…これは助かるな。有り難く頂いておこう。」
ーー
アルセリオ
「あんたが来たって事は、またアニューゼ様に行って来いって言われたのか?」
セレス
「えぇ〜〜……そうよ〜〜。アーちゃんが手伝ってあげて欲しい〜って〜。それと〜トリスちゃんも派遣するって〜」
アルセリオ
「トリス・アムレートもか?……なるほど、セレス…彼女との連絡手段は持っているのか?」
セレス
「あるわよぉ〜伝言でも言っておいて欲しいの〜?」
アルセリオ
「ああ。"アスペリア皇国に着いた後、いつのタイミングかまでは分からんが、結界の様な物が有れば、それを壊して入って来い"と、伝えておいてくれ。」
セレス
「分かったわぁ〜〜ふふ……ホント、大きくなったわね〜〜?坊や?」
アルセリオ
「揶揄うな…と言っていただろう。」
(そう、ツンケンしていながらも、アルセリオの顔は僅かに赤くなっていた…)
ーーその後……
???「名乗るほどの者ではない!」
アルセリオ「せめて名乗れ、却下。」
ーー
???「俺は、闇に生きる男だ。」
アルセリオ「闇に帰れ。」
ーー
???「あの…地図を食べちゃったんですけど……」
アルセリオ「何をしに来た…」
ーー
???「ついにこの時が来たか…!我が“封印された右目”が!」
アルセリオ「埋めて帰れ。」
ーー
ガチャッ
(よくある服装だが…その立ち振る舞いから、隠しきれぬ高貴さが滲み出ている)
???
「リオ君…僕も連れて行ってくれないかな…?」
アルセリオ
「何でお前みたいなのが居る…?色々やる事があるんじゃないか?」
???
「安心してよ!兄さんほどじゃ無いけど、僕もそこそこ優秀なんだから。もう一通り済ませているさ!!」
アルセリオ
「はぁ……ただでさえ危険な場所なんだ…アンタを連れて行ける訳ねぇだろ。
ーーアスペリア皇国、第二皇子…
ルーク・フォン・アスペリア殿下。」
ルーク
「やっぱり気づいたかな?さすがだね!」
アルセリオ
「当然だ。その服…平民に扮しているつもりだろうが…服の皺が全くねぇし、汚れてもねぇ。
極め付けには…その漏れ出んばかりの気品。隠すつもりねぇだろもはや…」
ルーク
「ははっ!!…それは言えてるね。失礼したよ。」
スッ……
影から現れた男
「申し訳ありません…ルーク様。我々の不得の致す所で…いかような罰でもお命じ下さい。」
ルーク
「大丈夫。そんな事はしないよ。僕が気付かなかったのがいけないだけだからね。
僕自身の問題さ。」
ルーク
「まぁいいか。それじゃあ、僕は公務があるから…そろそろお暇するよ。」
アルセリオ
「結局あるんじゃねぇか…サボりでもしてたのか?皇子サマ?」
ルーク
「ははっ…手厳しいね…大丈夫。父さんにも許可はもらっているから。安心して。」
アルセリオ
「やっぱ、あのおっさんもグルじゃねぇか…。」
ルーク
「…本当、君だけだよ?父さんの年下で、そんな口が聞けるの。…凄いね、君は。」
ルーク(小声で)
「僕と違って………」
アルセリオ
「んっ?今何か言ったか?」
ルーク
「いや!何でも無いよ!!それじゃあ、また。」
アルセリオ
「ああ…またな。」
(そうして、彼は帰っていった)
***
ーーその後も…様々な応募者が続出したが…中々お眼鏡に叶う人は現れず…あたりはもう…黄金色に変わっていた…
アルセリオ
(中々めぼしい奴が来ねぇなぁ…後一人くらいは欲しい所だが…)
そうすると…ドアが勢い良く開けられた…
ガンッ!!
アルセリオ
「ふぅ…また濃ぇのが来たな」
???(手を振りながら)
「よっ!!久しぶりだなぁ!兄弟!!」
アルセリオ(目を見開き)
「お前……ははっ!その呼び方を許可した覚えはねぇぞ…?……ヴィクトル。」
ヴィクトル
「はっはっは!!"リオ"の奴がこうやって、また仲間の募集をしてるって聞いてな。顔を出しに来た。…本当に、久しぶりだな。リオ……いや、アルセリオ。」
(彼はそう…言い換える)
アルセリオ
「ああ。久しぶりだ。それで?…前衛志望だな?……採用だ。」
ヴィクトル
「おうよ!!あん時よりももっと、強くなったんだぜ!!また…見せてやるよ。」
(自身の腕の筋肉を見せつけて言う)
アルセリオ
「はは…!ムキムキのナイスガイだぜ?兄貴。」
ヴィクトル
「ああ、そうだろ!!……んで?俺で最後か?」
アルセリオ
「おう。そうなるぜ?…これで揃ったな。集めて来るわ。」
(そう言って、アルセリオは採用した人達を連れて来る…)
***
(待合室にて、濃い面々が集結する)
アルセリオ
「とりあえず、メンバー確認だ。」
アルセリオ
「まず、リーダーは俺で、もう一人…俺の相棒のレオナールがサブリーダーとなる。
そして、レオナールと共に、ヴィクトルが前衛で先に進む。」
ヴィクトル
「おうよ!!任せときな!!!」
アルセリオ
「中衛としてドクル、頼んだぞ?」
ドクル
「はい。精進します。」
アルセリオ
「後衛として、セレスが回復。マックスが俺とセレスを護衛。」
セレス
「はぁ〜〜い。任されちゃったわぁ〜。」
マックス
「おーけい!!後ろは任されたぜ!!!」
アルセリオ
「いや、一番後ろは俺が歩くさ。最後の方が、色々"気付ける事"もあると思うからな。」
アルセリオ
「それと、案内役として…フィアリアに来て貰うことになった。」
セレス
「あらあら〜フィーちゃん?あの子も来るのねぇ〜〜。久しぶりに色々と話したいわぁ〜」
ヴィクトル
「良し!このメンツなら安心だな!!」
アルセリオ
「それじゃあ、明日の早朝…アスペリア皇国、皇都フォルトゥナの近郊、
ーー休火山アールデンスの前で待ち合わせと行こうか。」
一同
「はい。/おう!!/えぇ〜。/あいよ!」
ーーとある深淵の空間で鼓動がもう一度鳴ったと言う…
それを知る者も、気づかぬ者も、皆、迷宮へと歩みを進める。
まるで、自らの運命を刻む“印”に導かれるように――。
上巻:調査と印の目覚め編 〜完〜
休火山アールデンスの裾野で見つかった、苔むす古代遺跡。そこに刻まれていたのは、“焔の王”と“七つの印”の伝承。
封じられた扉の奥で待ち構えるのは、
災厄の王か、それともさらなる封印か――。
次回、中巻:焔と咆哮の胎動編 〜始動〜




