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第5話 火口への道

 レオナールが大きな声でアルセリオを呼ぶ


レオナール

「アルー!!こっちに変なのあるぞ??」


アルセリオ

「ん?変なの…?すぐ行く!!」


(それは階段であった…更に深く…下まで続く階段が、その口を開けていた)


アルセリオ

「すぐに調べたい所だが、ここは一旦報告だな。」


レオナール

「そうだな。何かあってからは遅いだろうし。」


(そうして二人は、もう一度ルドヴィクスの元へと戻る)


  ***


(執務室の椅子に、威厳のある王が座す)


ルドヴィクス

「それで…?その様子だと、何か見つけたな?」


アルセリオ

「ああ。それもとんでもねぇモンをよ。」


ルドヴィクス

「ほう……聞かせろ。」


(アルセリオはあの山で起きたことを、事細かに伝える)


ルドヴィクス

「ふむ……。にわかには信じ難いな。だが、そなたが嘘をついている様には見えぬし、つく理由もないであろうからな。」


ルドヴィクス

「焔の王…かつての争いの壁画…警告を記す古代語の文言…そして、火口への道……。」


ルドヴィクス

「それに…印…か。それについては心当たりがある。ちょっとした預言の様なものでな?」


(そう言って、ルドヴィクス皇王は淡々と話をし始める)


ルドヴィクス

「……“印”と聞いて、ふと思い出した古き文。

 王家に伝わる、いささか……いや、かなり胡散臭い代物ではあるがな。だが、今回ばかりは偶然にしては出来過ぎている。」


(そう言って、ルドヴィクスは傍らの古文書を取り上げ、静かに読み上げる)


ルドヴィクス

「――“七つのしるしが裂ける刻、

 燃え立つ門は声を得て開かれん。


 焔の王は、贄を渇望す。


 印は大地に刻まれ、

 それを知る者が現れし時、

 忘れられし怒りは眠りを破る。


 空は赤く染まり、

 湖は血の香を帯び、

 断崖は呻き、

 庭は花を吐き、

 廃都は声無く震える。


 されど“星”は空より堕ち、

 “血”は地に染みて戻らず、

 そして最後に、“知る者”は扉を叩く。


 その者に問う――

 汝、王の焔に焼かれる覚悟ありや。”と」


(ルドヴィクスは目を伏せながら呟くように言葉を継ぐ)


ルドヴィクス

「これはな……“エルマの預言書”よりさらに古い写本から抜粋されたとされる。

 あくまで真贋は不明。だが……お前が遺跡で見た壁画、そして“印”という単語が、それに符号するのだとすれば……」


(重く低い沈黙が、空間を支配する)


アルセリオ

「……つまり、誰かが“その印”を狙って動いているってわけか」


ルドヴィクス

「可能性は高い。おそらく……この国における“七つの刻印”の所在、あるいはその力自体を、誰かが解放しようとしている。

 そして、今まさに……“開門”の段階に入ったという事だ。」


レオナール

「だが確か…『星霜の導きル・エトワール』の《骸星》のダイモス殿が、その七大罪獣を魔界へと封じ込めているのでは無かったか?」


アルセリオ

「確かに…そのはずだな。封印自体は勇者レオニダスとその協力者の手によってされた様だが、その後の維持に関しては…

ーーダイモスがその身を重石として、出てこれなくしていたはずだ。」


ルドヴィクス

「そうだな。その通りだ。だが、誰も…そこ以外に入口が無いとは言っていない。」


アルセリオ

「どう言うことだ?」


ルドヴィクス

「うむ。…確かに、七大罪獣は魔界へと封印された。だが、それはあくまで魔界から"出る"事を封じただけであって、此方から"入る"事は封じていない。

まぁ、正確には出来なかった…が正解だがな。」


アルセリオ

「なるほど…確かにそりゃそうだ。入口が一つとは限らねぇ…。それも、かの封印よりも前から存在する入口なら尚更だ。」


アルセリオ

「なぁ…もし、その入口が開通しちまったらよ…。あっちから出てくる事は出来んのか?」


ルドヴィクス

「無理だな。小さな穴が開くだけで、あくまで人が通れるだけの一方通行だ。故に、ほぼ確実に出れはせん。」


アルセリオ

「そうだよな…。じゃあ何で印を狙ってやがんだ?」


ルドヴィクス

「そこだな…。自殺願望者ならまだしも…何らかの目的ありきであれば、尚更想像がつかん。」


(二人は深く考え込む。…そこに、先程までボーッとしていた男が口を挟む)


レオナール

「いや…小さな穴が開くなら、後からそれをこじ開ければ良いのではないか?」


アルセリオ&ルドヴィクス

「………っ!?」


(驚いた後、まじまじとレオナールの方を見る)


ルドヴィクス

「やはり…一人は論理型で無い者が居た方が良いのだな。流石探偵社の一員だ。」


アルセリオ

「お前…変なとこで勘が良いよな。」


(レオナールはキョトンとして、自覚していない様だ)


レオナール

「んっ?当然の事を言っただけでは無いか?」


アルセリオ

「それがすげぇんだよ…。まぁ良い。ありがとう…レオ。連れて来て良かったわ。」


ルドヴィクス

「うむ。私としても助かった。感謝の意を向けよう…。」


アルセリオ

「ってなりゃあ、早速遺跡の再探索だな!!ルドヴィクス!探索班の動員、頼めるか?」


(快活な声と共に、アルセリオが立ち上がる)


ルドヴィクス

「ああ。そなたの好きに編成出来る様、許可をやろう。」


(そう言って、ルドヴィクスはアルセリオにとある文書を手渡す)


アルセリオ

「おいおい…こんなモン渡して良いのかよ…。ほぼ全権の一任じゃねぇか…。」


ルドヴィクス

「なに…。それだけ期待していると言う事だ。」


アルセリオ

「重てぇなぁったく…。まぁ良い。貰えるモンは貰っとくぜ。」


ルドヴィクス

「ああ…そうすると良い。」


(そうして、アルセリオはレオナールと共に、その場を離れた)

 仲間を募り始めたアルセリオの前に、とある訪問者が現れる。

その口から語られたのは、封印に関わる不穏な鼓動。

探偵社に走る静かなざわめきは、やがて怒れる胎動へと繋がっていく――。


次回、第6話「深淵の胎動」

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