第15話 燃え上がる炎
《第三幕:火と真実の狭間で》
時間は少し遡り…皇都フォルトゥナでのルドヴィクス視点へと移る……。
ルドヴィクス
「はぁぁっ!!!」
ガァァアアンッッッ!!!!
轟音と共に、数百の焔獣が消し炭となる。
フィアリア
「相変わらず…衰えを知らないわね……政務で忙しいはずなのだけど…」
ルドヴィクス
「くははっ!なに、これでも相当鈍っておるわ。かつての俺ならば一度に四桁はいける。
まぁ、この程度の魔獣で誇るものでは無いがな。」
フィアリア
「それはそうね…ん?湧かなくなったわね。終わったって事かしら。」
あたりの焔獣が、音も無く霧散していく。
「やった…勝ったんだ……!!」
「…ったく。過去一疲れたぜ……」
みな、口々に感情を吐露し…歓喜の声に震えている。
ルドヴィクス
「終わったか…物足りんな。まぁ良い、解決したのならば万々歳だ。」
フィアリア
「…いえ、まだ終わりそうには無いわよ?」
ドォォォォオオン!!!!!!
ルドヴィクス
「……っ!?…これは……噴火か。今度は何が起こっているのだ?」
???
「父様…どうやら、《苛烈》の仕業の様です。」
ルドヴィクス
「それは本当だな?ルーエン。」
ルーエン
「はい。観測班の者が、それらしき反応を確認したとの事。おそらく…既にこちらへと向かって来ている可能性があ…」
フッ……
「その通りだぜ?はっはっはぁーー!呼ばれて出て来て…アタイ登場!!」
元気な少女が皆の目の前に突然現れ、大きな声でそう言う。
ルドヴィクス
「貴様が苛烈のカルデラか…それで?我々の力を削ぐのが狙いかね?そうだとすれば見誤ったな。
この俺とフィアリア殿を同時に相手取って勝てるとでも?」
ルドヴィクスの鋭い眼光が、目の前の少女を強く捉える。
カルデラ
「流石にそこまで自惚れてなんて無いぜ?当然…色々準備して来たんだ!!」
グウウゥゥゥ……オォォォォン……
噴煙が上がっている方向から…不気味な鳴き声が聞こえてくる。
ルドヴィクス
「この鳴き声とこの状況…なるほど…"呼んだ"か。」
カルデラ
「ああ!!アンタらには"量"じゃあ物足りないと思ってな?"質"を用意したぜ!!!」
カルデラ
「三つも噴火させたんだ…デケェのが三体は来るはずだ!!」
ドォォオオン!!!
上空から、真紅の幼竜が現れ…こちらをしっかりと見据えている…
ルドヴィクス
「《赫災竜》の幼体か……なるほど…。これは確かに骨が折れそうだな…」
フィアリア
「幼体とは言え…最低でもS級だものね。それに、また一体飛んできてるわ…」
そう言って、フィアリアはアールデンスの方向から来る飛行物に指を刺す。
フィアリア
「手が足りないのだけど…」
ルドヴィクス
「…その人手なら…今来てくれた様だぞ?」
遅れて…アールデンスの方面から、五人の人影が近づいて来る…
フィアリア
「あら、頼もしい仲間との合流かしらね。」
***
アルセリオと別れた後…
レオナール
「今回は…本当に疲れたな。セレス殿が治してくれたとは言え…命掛けだった。」
シグルド
「だが…得るものはあった。そうだろう?レオ。」
レオナール
「ああ。対人戦が…少し上手くなったと思う。」
ヴィクトル
「良い太刀筋だったぜ?レオナール!!」
レオナール
「褒めてくれて感謝する…ヴィクトル。」
ドォォオオンッッッ!!!!
──刹那…五人の耳を轟音がつんざいた。
ヴィクトル
「おいおいおいおい……まだ何かあんのかよ!!!」
レオナール
「アルセリオの言っていた噴火と言う奴か!!…だが、なぜ今になって……」
ドクル
「陰謀じみたものを感じますね…全く…やっと休めると思っていましたのに…」
セレス
「もう少し…頑張らないといけないようねぇ〜〜」
グウウゥゥゥ……オォォォォン……
シグルド
「鳴き声…か。なんか呼ばれたな?」
ヴィクトル
「聞いた事がある声だな。ありゃ確か…」
ブゥン……バサッ……
五人の頭上を大きな物体が通り過ぎる…
それは小さな山一つをゆうに超える翼を羽ばたかせ、皇都の方向へと飛び去っていった。
ドクル
「飛獄竜…っ!?まさか…あれ程の魔獣が現れるだなんて…」
ヴィクトル
「それだけじゃねぇ様だぞ?」
ヴィクトルは、皇都の城門の方を見てそう言った…大きな魔獣が落ちて行くのを捉える。
シグルド
「カラドニクス……幼体の様だが…揃って欲しくねぇのが揃ってやがるな…」
セレス
「と言う事わぁ〜〜さっきの鳴き声の主はまだ他にいるって事よねぇ〜〜聞こえた時間からしてぇ〜〜…さっきの大きな鳥さんとぉ〜、今あの先に居る強そうなトカゲさんでは無さそうだしぃ〜〜。」
ドクル
「…イグニヴァルにカラドニクスが現れているので、暫定的に《熔神》でしょうね…アレらはセットみたいなものですから。
あと、グラーヴァはヘビさんですね。」
セレス
「ヘビさん!!どんな見た目なのかしらぁ〜。」
ドクル
「ええ……《熔神》は、明確な“姿”を目視出来た者がいません。
けれど、伝承にはこう記されています。」
ドクル
「“灼熱の地より這い出た巨蛇は、空を焦がし、大地を溶かし、認識されぬままに世界を這う”と。」
目視は不可能。見えるのは、焦げて揺らぐ空気と、焼け爛れた地の跡のみ。
あまりに高温な存在は、光すら捻じ曲げる……
セレス
「…姿が見えないって、…どこにいるかわからないって事よねぇ〜〜?……やだぁ〜こわいぃ〜〜♪」
ヴィクトル
「こえーにも程があるだろそれ……!!」
レオナール
「焔王を倒したばかりだが、また炎の化身を相手にしなければならないとは…。まぁとにかく、皇都まで急ごう!」
ヴィクトル
「ああ!!急がねぇとまずいな!!!」
***
グウウゥゥゥ……オォォォォン……
アルセリオ
(この鳴き声……熔神っ!?)
「呼び出されたか。…って事は、イグニヴァルにカラドニクスも居るっぽいな…って、もうなんか飛んでってるし……」
(確定だな…はぁ……面倒だ…)
アルセリオは、噴煙の上がる皇都を睨みつけた。
噴火は、ただの火ではない。
それは“呼び声”であり、災厄の鐘であり──真実を覆い隠す煙幕であった。
──次回、『三獣の凶兆、十三の策謀』




