第13話 気高き骸
キィンッ!!カァンッ!!
アールデンスに轟音が響き渡る…
「…ガァァァッッッ!!!!」
鞭のように振るわれた長い手を、レオナールが剣を傾けて受け流す。
シグルド
(レオの奴…前よりも"上手く"なってやがる…)
ヴィクトル
「隙だらけだぜっ!!!」
三度、ヴィクトルの槍が骸を貫き、身体が前へと少し浮いた所を、シグルドが数度斬り刻む。だが、すぐに再生されてしまう。
ヴィクトル
「けっ!!再生するっつったって速すぎんだろ!!」
シグルド
「確かに…少し虚しくなってくるねぇ〜。おっさんも頑張ってるのに…」
ブゥンッ!!!
骸の上半身が回転し、高速でヴィクトルへと迫るっ!
ヴィクトル
「うおっと…!!」
シグルドがヴィクトルの身体を掴み、後ろへ引き寄せる事でそれを躱わす。
ヴィクトル
「っぶねぇ〜!!関節とかどうなってんだよっ!!……サンキューな…おっさん。」
シグルド
「感謝は要らん。
それより、あれをどう攻略するかだぜ?」
シュンッ……
ヴィクトル&シグルド
「………っ!?」
骸が二人の間に一瞬で現れ、二人まとめて、前後へと吹き飛ばすっ!!
ゴォォンッッ!!!!
シグルド
「…い……ってぇ〜…。すげぇ速さだな……」
ヴィクトル
「弱体化してこれかよ……ったく……」
パアァーー……
セレス
「はぁ〜〜い。お姉さんが癒しちゃうわよぉ〜〜〜。」
シグルド
「サンキューだぜ?シスターさん!!」
焔王の骸
「……グルルルルルッッ!!!」
ギロッ……
セレスの治癒魔術を確認し…焔王の骸の本能が…先に潰せと語りかけるっ!
ダンッッ!!!
レオナール
「セレス殿っ!!!!」
──瞬間、骸の攻撃が、セレスの喉元へと近づく!!
ドクル&マックス
「させませんよ。/させねぇぜ?」
ブゥン……ガァンッ!!!
ドクルは焔弾を氷弾で的確に撃ち抜き、マックスが骸の鉤爪を弾くっ!
セレス
「あらあらぁ〜〜私、素敵な騎士さん達に守られちゃってるわぁ〜〜。キュンキュンしちゃ〜う……♡」
レオナール
「焔王!!よそ見をするなっ!!」
ドンッ!!
レオナールが骸の横腹目掛けて、思い切り蹴り飛ばす。
焔王の骸
「ガァァッッ!!!」
骸が再び突進を仕掛けるが…
ボォンッッッッ!!!!
骸の足元で、小さな術陣が爆発し、すぐに消えていく。
アルセリオ(笑いながら)
「注意散漫だぞ〜。まさか知能まで落ちたのか?
進化先、失敗したんじゃねぇの?」
焔王の骸
「グラァァァッッッッ!!!!!」
骸は憤怒を煮えたぎらせる…
アルセリオ
「そう怒んなよ。…ほら、また視野が狭くなってんぞ?」
シュンッ……
ヴィクトル
「おらよっ!!!」
焔王の骸
「……っ!?」
ヴィクトルの突きを、骸は体勢を斜めにし、なんとか避ける事に成功するが、
シグルド
「ほいっ!!」
ドーンッッ!!!
グラついた方向から、シグルドが強烈な蹴りを入れる…そして、
レオナール
「はぁぁぁ!!!」
ザシュッッ!!!!
レオナールの斬り上げを、腕を犠牲にしながら避けるが…ヴィクトルがその足を槍で掬う。
焔王の骸
「……っ!!」
シグルド
「死んどけやっ!!!」
レオナール
「食らえっ!!!!」
ヴィクトル
「オラオラァっ!!!」
ヴィクトルが何度も突き刺し、レオナールがもう片方の腕を斬り落とし、シグルドが関節を斬り裂くっ!!
「……グラァァァァァッッッッ!!!!」
バァァンッッ!!!!
骸が放出した高出力の魔力波が、三人を強く吹き飛ばす!!
ドクル
「《結界式・緩衝ノ環》っ!!」
ボフンッ……
三人を包み込む様に、柔らかな障壁が魔力波の衝撃を吸収する。
ヴィクトル&シグルド&レオナール
「サンキュー!!/ありがとな!!/感謝する。」
ドクル
「いえ、当然の事をしたまでです。」
ヴィクトル
「それじゃあ反撃だ!!面白ぇもん見せてやらぁ!!!」
ダンッ!!
骸へ向かってヴィクトルが全力で突進する!!骸は腕をしならせて対抗するが、ヴィクトルは空中へと跳び上がる!!!
ヴィクトル
「《旋廻》っ!!」
ヴィクトルの槍から七色の閃光が淡く煌めく…
焔王の骸
「ガァァァッッッ!!!」
ブブブブゥンッ……
大量の焔弾が生成され、空中で身動きの取れないヴィクトルへと一斉に射出される。
ヴィクトル
「………っ!?」
アルセリオ
「ヴィクトルっ!!!」
パァンッ…!!
ヴィクトル
「ナイスタイミングだ!兄弟!!
《軽身》っ!!」
ヴィクトルは魔術で身体を軽くし、アルセリオの放った銃弾を足場とする事で…右斜め前へと、軌道を急激に変える。
ヴィクトル(見上げて)
「《白雷之突》っ!!!!」
バチバチッ……
瞬間、槍が白雷を纏い…光速で骸の身体に大穴を開ける!!
ブゥゥゥンッッ………!!
ヴィクトル
「まだ終わってねぇぜぇ!!
《黒滅之衝》っ!!!」
白雷に遅れて…漆黒を帯びた衝撃波が、刃を成して炸裂するっ!!
バァァンッッ!!!
骸が再生させようとした所を、まとめて消し飛ばす…
それでも、骸の肉体は高速で再生を行う。
アルセリオ
「畳み掛けるぞっ!!!!」
セレス
「奮発しちゃうわよ〜〜
《聖花の祈》!!」
アルセリオがそう大声と、セレスの神聖魔術の発動と共に、一斉に飛び出すっ!
シグルド
「《双牙一閃》っ!!!」
マックス
「こう言うのは、ノリと勢いだぜっ!!
《ドカンブレイカー》!!!」
ヴィクトル
「さっきのおかわりだっ!!!
《灰煌》っ!!!!」
骸の再生を上回る速度と出力で、その身体が大きなダメージを受ける…
「グッ……ガァァアアアッッッッ!!!!!」
翼だけを急速に再生させ、飛び立とうとする。すると…
アルセリオ
「効きゃあしねぇと思ってたが、そんだけ弱りゃあ…動きだけは止めれんじゃねぇかぁ!??」
パァンッ!!
弓兵戦の時に使った瘴焔の残りを弾代わりにし、骸へと撃ち込む。
焔王の骸
「….……!?」
骸の動きが一瞬だけ鈍る。
アルセリオ
「終わりだ……!八環よ…転じろ!!
──《終律・星穿》っ!!!」
《星律之八環》の術陣が神々しく光り、八環が巨大な一環へと収束し、レオナールの剣に宿る…!!
アルセリオ
「決めろ!!レオ!!!!」
タタッ……
レオナール
「了解したっ!!アル!!!」
焔王の骸
「………ガァァァッッッ!!!!」
全神経をレオナールを潰す事に集中させ、全力の攻撃をお見舞いしようとするが…
ドクル
「させないと…言ったでしょうっ!!!!
──封ぜよ…《ᚷᚱᛁᛗ(グリム)》っ!!」
氷の仮面が被さり…骸の熱・動き・視界を封じる…
焔王の骸
「………っ!?」
レオナール
「……よくやった。ドクル!!」
キュイーーンッ……
レオナールの剣が、眩い極光を帯びるっ!!
レオナール
「いくぞっ!!!《神断》っ!!!」
レオナールの一撃が、星の加護と共に振り下ろされたその刹那──。
キィンッ……
一筋の極光が空を裂き…暗雲を貫いた。
斬撃は焔王の骸の胸部を正面から裂き、灼熱のコアに直撃する。
ドガアアアアアアンッ!!!!!!
焔王の骸
「グッガアアァァァ………」
──バギィィィンッ……!
灼熱のコアが、音を立てて砕ける。
骨格が崩れ、翼が燃え尽き、王冠の残骸がゆっくりと地に落ちていく。
極光の中心にいた“王”は、すでに影も形もない。
ただ、大気の中に残されたのは──
焦げた灰と、かすかな温もり。
焔王の骸(最期の残響)
「我が魂……ここに……果てる……」
そして、ひとつの声が、風に溶けていった。
焔王の骸が砕け落ち、戦場に静寂が満ちる。
焦土に残されたのは、灰と、わずかな温もり。
だがその余韻すら、世界は待ってはくれない。
三つの噴煙が天を裂き、眠っていた“異変”が、新たに顔を覗かせる。
──次回、『変貌』




