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第10話 俺と災厄の追いかけっこ

 時は少し遡り、皆が四方へと別れた後、取り残されたマックスは必死に逃げていた…


マックス

「こ…このヘンテコ野郎〜!!お前なんか余裕だい!!悔しかったら…俺を捕まえてみろー!」


 ギロッ…と残滓の瞳がマックスをしかと捉える。


「……久方ぶりに…その様な下手な挑発を聞いたな。…悪くない。」


マックス

「……へっ?……しゃっ…喋ったぁーーー!?」


 驚くほど大きな声が響き渡る。


マルドュクの残滓

「…やかましいな……。猿か?貴様。」

「まぁ良い……せっかくの暇だ…少しお前で遊ぶとしよう……あまり直ぐに壊れるなよ?」


 その瞬間…マックス目掛けて大量の焔弾が押し寄せてくる。


マックス

「…うわぁっと!?」


 マックスはそれを難なく避け、全力疾走で逃げ始める。


マックス

「ぬわぁーー!!!死にたくねぇ!!!!」


 先程の焔弾は形を変え、獣の様なもの…武器の形…そのまま変わらぬもので、マックスに一度に襲いかかる…


マックス

「ちょ、マジで無理無理無理!

 誰か早く来てくれ〜〜っ!!」


  必死に逃げ回るマックスを一瞥いちべつし、残滓は不思議そうに問いかけてくる。


「何故、逃げる?」


マックス

「話しかけてくんじゃねぇぇ!!逃げてんの見てわかんだろ!?!?」


 そうキレ気味に返すが、残滓はそれでも気になるらしい。

 

「かつて、我が咆哮に抗った者は、誰も逃げなかった……」

「お前は違うのか?」


マックス

「違うし!!オレそんな高尚なもんじゃないし!!!」


 その答えに、残滓は初めて頷き、


「……そうか。ならば、楽しませてくれ。」


マックス

「なぁんで俺だけこんな役回りーー!!!!」


 焔獣がマックスに咬みつこうとしてくる。マックスはそれを最低限の動きで避け、逃走を続ける。


マルドュクの残滓

(ふむ……かなり軽快な動きだな…。攻撃してくる所を予測して動いているのか…?

いや、微弱だが…僅かに転移している…?)


ザザッ……


 マックスはその動きを突如止め…後ろへと体を傾けながら移動し、その場で跳ぶ。


「ほいっ!!」


 マックスを高速で追尾していた焔弾と、後からついてきていた焔獣とがぶつかり、諸共消える。


マックス

「俺だってやるときゃやるんだぜ!!」


 自慢げにポーズを取るマックスだが…


「ほぅ……?おかわりが欲しいと見える…良いだろう…オマケだ。受け取りたまえ。」


 そう言うと、今度は先ほどよりも遥かに多い焔が、マックス目掛けて飛来する。


マックス

「まてまてまてまてっ!!!!」


ドーーーンッ!!ドドドドドーンッッ!!!


マックス

「ひぃ〜死ぬ……死ぬぅ〜〜!!!」


マルドュクの残滓

「避けておるではないか…ほれ、また追加だ。」


 今度は大量の焔の柱が立ち上り、マックスの行手を阻む。


 マックス

「うあぁーーーー!!!!」


 それでもマックスには一発も当たらない。それを見た残滓は少し驚いて、


「…貴様、サーカスの道化にでもなったらどうだ?天職だろう…?」


マックス

「好きでっ……やってるんじゃ………無いってのっ!!!」


 焔獣の咬みつきや引っ掻きをノールックで避けつつ、焔弾の攻撃を首を曲げたり片足を上げたりしながら避け、


 焔の柱を、身を翻したり…反転したりしながら、全てを避けていく。


マックス

「まじで…やばい………これ、…死ぬってっ!!」


 すると、木々の隙間から、聞き慣れた声がする。


アルセリオ

「おお〜〜こりゃ助けは要らないか?」


マックス

「リオくーんっ!!突っ立ってないで、俺を!助けろぉーーー!!!!」


アルセリオ

「避けれてるじゃないか…それも余裕そうに。」


マックス

「これがっ、余裕そうに、……見えんのかっ!?」


アルセリオ

「おう。それはもう…なにせ、まだ足がついてるじゃないか。余裕だろ?」


マックス

「ひっでぇ〜〜〜…確かにまだ一撃ももらってないけどさぁーーーー!!!!」


マルドュクの残滓

「クククッ………仲間にも見捨てられておるではないか…哀れよのう…ククッ…」


アルセリオ

「同感だ。ふふっ…ちょっと面白くなってきたなコレ。」


マックス

「二人揃って…こんの鬼畜共がぁーーー!!!」


 マックスが必死になっているのを楽しみながら…二人は意気投合するのであった。


「それにしても…あの者を見ておると、故郷のバッタを思い出すな…あれは機敏だった……」


アルセリオ

「バッタと同じ扱いかよ……まぁ分かる。」


「そういやぁ……気づいたんだが…マルドュクお前………喋れんだな。」


…………。


 一帯に…しばしの沈黙が流れる。


「………はっ?」


マックス

「いや……今それ言うっ〜〜!!!逆に気づいて無かったのー???

 俺をあんなに二人でいじめながらぁ〜〜!!!??」


アルセリオ

「いやぁ〜〜……余りにも自然なもんで……」


マックス

「違和感しかねぇだろぉ!!でっけぇやつから声がするんだぞぉーー???」


アルセリオ

「それどころじゃ無かったのさ…」


マックス

「それどころじゃねぇのは俺の方だったろっ!?」


アルセリオ

「それもそうか……すまんすまん。」


マックス

「もぉ〜〜っと反省してくれませんかねっ!?」


アルセリオ

「仕方ないだろ。…バッ………マックスが滑稽なのが悪い…」


──アルセリオは何かを言いかける。


マックス

「おい!!今バッタって言いかけたろっ!?」


アルセリオ

「いや……気のせいだ…気のせい。」


マックス

「俺の耳を舐めるなよ!!そんぐらい聞き取れるんだからなぁ!!!」


アルセリオ

「……舐めねぇよ…気持ち悪ぃ……」


──アルセリオは引いた顔でマックスを見る。


マックス

「……なんで俺が悪いみたいになってんのさ!!」


マルドュクの残滓

「クッ………クカッ……クハハハハハハハッッッ!!!」


 アールデンスに、大きく…愉快な笑い声が響き渡る。


アルセリオ

「うっせぇデカブツ。耳が聞こえなくなったらどうする?責任取ってくれんのか?」


マルドュクの残滓

「いやすまない…あまりに愉快だったものでな…」

「少々はしゃいでしまった……反省しよう…」


アルセリオ

「随分と長い間暇してたみたいだな。笑みがまだ抜けてねぇぞ?」


マルドュクの残滓

「当然だ…面白いものはいつ見ても面白い…だが、暇だったと言うのはその通りだな。まぁ、眠っておったからあまり覚えていないが…」


──そう言いながら、マックスへの攻撃を更に強める。


アルセリオ

「お寝坊さんだな…てこたぁ、今回は叩き起こされたって感じか?」


マルドュクの残滓

「そうだな…何処ぞの人間の様な形をした二人組によって目覚めさせられた…その上、少々力を抜き取られたな…奴らはそれで満足らしい。」


──また、マックスへの攻撃を激しくする。


マックス

「あの〜〜お二人さぁ〜ん?俺の事見えてる?」


──そう問いかけるが、二人にはどうやら届いていないらしい。


アルセリオ

「…?変な奴らだな。まだ世界の破滅を〜〜っとか言ってる奴のが予測がつくぞ。何考えてるか分からんタイプは一番面倒だよな。」


マルドュクの残滓

「まったくだな…我もそう言った輩には随分と煮えを食わされた…思い出すだけで虫唾が走る…」


──まるで八つ当たりの様に、マックスへと更に攻撃を速める。


マックス

「お〜〜い。聞っこえってますっかぁ〜〜?」


──声はそれでも届かない。


アルセリオ

「嫌だねぇ…考えるだけで嫌だねぇ〜〜相手にしたくないタイプだ。まぁ、相手にするときゃあ手は抜かねぇが…」


マルドュクの残滓

「ああ、全力で叩き潰してやろうと躍起になるよのぅ…」


──またまたマックスへの当たりが強くなる。


マックス

「この腐れ外道共が……。」


 マックスはそうボソッと喋るが…


アルセリオ&マルドュクの残滓

「聞こえてんぞ?/聞こえておるぞ?」


マックス

「あっ……すぅ〜……てへっ!」


アルセリオ&マルドュクの残滓

「…………あっ???」


ドーーーンッ!!ドドドドーーン!!!


 今まで以上に数を増やし、火力を上げる。そして、


パァンッ!!パァンッパァンッ!!!


──残滓とは別の方向から、銃弾が三発飛んできた。


マックス

「ちょっ!リオぉ!!お前は味方だろぉ!!!」


アルセリオ

「ムカつかせるお前が悪い。」


マルドュクの残滓

「同感だな。気に食わん…」


──そうして…山にはマックスの生きた証が…


マックス

「死んでねぇよっ!?」


  ***


 某所にて…


???

「確か〜……これに思いっきり力を込めれば良いんだよなぁ〜。合図は…まだかぁ。」


???

「もう少し待ってなよ。急ぎじゃ無いでしょ?」


???

「そうだけどよぉ〜戦ってんの見てっと、アタイ…たぎってくるんだよなぁ〜」


 拳をガンッと何度か突き合わせながら、うずうずしている。


???

「はぁ〜…貴方が先に仕掛けるって事らしいけど…間違ってないかしら?このままじゃあ失敗するんじゃ無い?」


 すると、奥から大柄な男が姿を現す。


???

「問題ないさ…どう転んでもこちらに利はある。それに、我らを狙う不届者あほうを誘き出す事が先決だな。」


???

「まだ…出てこないんだね。そういえば…封印を破ったあの二人組は違うの?」


???

「おそらく全くの無関係だろう…だが、正体は気になるな。遠くから感知出来る力だけでも、相当なものを隠している。

 事と次第によっては、始末対象ターゲットとなるかも知れん。」


???

「おっけい!ぶっ飛ばしゃあ良いんだなっ!!」


 そう言って、尻尾を元気に振るう。


???(呆れながら)

「何でそうなるのよ…まだ様子見って話でしょ?」


???

「クハハッ…良いでは無いか…これがこの者の個性故な。その姿勢…嫌いでは無い。」


???

「褒めてくれてありがとうだぜ!」


???

「物好きもいたものね…まぁ、とりあえず貴方はさっさと目的を果たしに行きなさい。」


???

「うむ。この一件で地熱の温度が激しく上昇している…じき、臨界点に達するだろう…」


「そこを貴様が少し力を込めて溢れ出す事を促してやれば、それなりに大きな被害を出せよう。

 …期待しておるぞ?クレア。」


クレア

「おう!!任されたぜ!グラファスの旦那!!」


グラファス

「ああ。…それと、シュリ…貴様にはこの皇都を頼んだぞ?あの者は確実に殺せ。だが、危なくなれば帰ってこい。責めはしない。」


シュリ

「分かった。お言葉に甘えさせてもらうね?まっ、そんな事にはならないと思うけど。」


グラファス

「分からんぞ?そう言う考えでいる者ほど、意外と足を掬われるのだ。気をつけたまえ。」


 グラファスは一度そういった経験があるかの様に、感慨深そうにしている。


シュリ

「要らない心配だよ。でも、心には留めておく。」


 そうして、三人の影は、暗闇へと溶けていった。


──その足音が、滅びの鐘を鳴らすとは知られぬままに。

 

押し寄せる焔の亡霊に、いまだ勝機は見えない。

それでも、折れぬ者たちがいる。

動じぬ矜持を掲げる者だけが、焔の影を断ち切ることができるのだ。


──次回、『誇りを背負う者たち』

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