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第8話 憤怒の胎動

その音は、最初は地の底から忍び寄るようにして届いた。

 遠くで鍋の蓋が震えるような、微かな振動。

 それが、次第に鼓膜に痛みを与えるほどの轟きとなり――


 ズゥゥゥゥン……


 王都が、軋んだ。


 石畳に走る細い亀裂は、まるで地面が呻くように音を立て、広がり続ける。

 噴き出した蒸気が空を曇らせ、空気を赤く染めた。


 バンッ――!


 最初に崩れたのは、東街の小さな鐘楼だった。

 老朽化していたとはいえ、半世紀以上も市民の時を刻んできたその塔は、あっけなく折れた。


「キャアアアアアアッ!!」


 悲鳴。

 次の瞬間、隣接する民家の屋根が爆ぜ、瓦礫が空へ舞う。

 炎が窓から噴き出し、街のあちこちで火の手が上がった。


 悲鳴が、重なった。


「だ、誰か! 子供がっ……!」

「水だ、誰か水を持ってきてくれ!!」

「助けて……!うちが……うちが燃えてるんだよ……!」


 石造りの街が、炎に侵されていく。

 火山アールデンスの地下から突き上げた瘴気が、呪いのように空気を蝕んでいた。

 そして、ひび割れた地面の裂け目から、“それ”は現れた。


 四肢を持ち、ねじれた骨のような構造に、火焔を孕んだ黒鉱の外皮。

 眼窩の奥で、赤い火が脈打つ。


 ——それは、瘴炎から生まれ落ちた魔獣。


 目撃した者は、皆言葉を失った。

 逃げようとした者から順に、焼けた瓦礫の下敷きとなり、

 あるいは、紅の爪によって肉を裂かれた。


「っ……! 動けない……いやだ、いやだ……!」


 街路の片隅。

 倒壊した壁に片脚を挟まれたまま、動けない少女がいた。

 周囲は既に人が通れない。瓦礫の山と、熱波、そして獣。


 魔獣の影が、揺れた。

 咆哮はなく、ただ静かに歩み寄るだけ。


 じり、じり、じり……。


 鋭い爪が、少女の頭上にかざされる。


 その瞬間――


シグルド

「ッ! どけぇッ!!!」


 裂帛の気合と共に、斬撃が炎を断ち割る。


シグルド

「嬢ちゃん。…怪我は…あっちで直してもらえる。レオナール、運べるか?」


レオナール

「可能だが…親父殿一人では持たないだろう?」


二人は、いま王都において、もっとも迅速に反応できる者たちだった。

 そして、その直後。


マックス

「遅れちまったぜ!その子は俺が救護所まで連れていく。」


シグルド

「レオから話は聞いてるぜ?マックス君。」


マックス

「うっす。それじゃあ、急いでるんで…行ってきますねーー!!」


 マックスは少女を優しく抱え、衝撃を抑えながら高速で走って行く…


シグルド

「嵐の様な男だったな…まぁ、助かったか。」


レオナール

「とりあえず、片っ端から切り倒そう。」


シグルド

「おう!!やってやろうぜ!!!」


(応戦が、始まった。)


  ***


 しかし、この混乱は“残滓”が放った一手に過ぎない。

 元凶は、未だ火山アールデンスの中心、その瘴気を止めぬ限り、街は崩壊は止まらない。


ドタッ…


ヴィクトル

「ちっ…数が多いなぁークソッタレ!」


ドクル

「これ、無限に湧き出てますよ!元凶を何とかしないと!」


アルセリオ

「分かってる…が、どうやって近づく?ここですらこのレベルの暑さだ。近づく頃には灰になってるぜ?」


ドクル

「それなら!」


 ドクルが詠唱を始める…


ドクル

「〈ᛁ(イサ)〉……静氷の意志。〈ᚢ(ウル)〉……守護の角よ。導きあえ……

霜環結界フリーム・サークル》!!」


蒼きルーンが空中に連なり、縦横に広がってゆく。まるで天と地を結ぶ鎖のように。


 地表を走る瘴気は凍りつき、灼熱の気配が押し戻される。

 光と氷が交錯しながら、皇都を円で覆う様にして、温度は急激に下がっていった。


ドクル

「これで、十分近づきながらの交戦が可能だと思います!」


フィアリア

(ホント…この子何者なのかしら……)


アルセリオ

「でかした!!行くぞ!ヴィクトル!!

 ドクルはセレス達と合流次第、みんなを援護してやれ!」


ドクル

「分かりました!!ご武運を!!!」


ヴィクトル

「ついて行くぜ!!兄弟!」


 二人は速度を上げて走り出す


 そして、その道中…レオナール達と再会し、一同が揃う


アルセリオ

「レオ!!…って親父も居んのか。」


シグルド

「おいおい…俺はオマケかよ…」


レオナール

「どうした?アル。何か思いついたか?」


アルセリオ

「いや、とりあえず役割分担をな。シグルドはそのまま応戦…兵士達とドクル、セレスとマックスと協力して、この焔獣どもを蹴散らしといてくれ。」


シグルド

「おーけい。任された。」


マックス

「分かったぜー。アルセリオの旦那!!」


セレス

「了解よぉ〜〜頑張っちゃうんだからぁ〜」


アルセリオ

「レオは俺とヴィクトルと一緒に来い。お前が必要だ。」


レオナール

「分かった。ついて行こう。」


ヴィクトル

「さて、祭りの本番ってわけか。…ったく、汗だくで動くもんじゃねぇな!」


アルセリオ

「それじゃあ!全員、気張ってけよ!!」


 一同がそれに頷き、二手に分かれる


  ***


(アールデンス中腹・瘴気の渦巻く谷)


アルセリオ

「……見えたな。」


ヴィクトル

「あれが…マルドュクの《残滓》か……」


(レオナールは眉をひそめ、静かに呟く)


レオナール

「《かつての王》の成れの果て……だとしても、あれは紛れもなく“化け物”だ。」


(燃え盛る火炎の海を越え、黒き巨影がこちらを睨む)


マルドュクの《残滓》

「…………」


(熱波に歪む空気の中で、四人は構える)


アルセリオ

「さあ、行こう。俺たちが……終わらせる。」

かつて焔の王に仕えた“亡霊の四騎士”。

いま再び現世に顕現し、主の道を阻む者すべてを斬り伏せんと立ちはだかる!


──次回、『焔に吠えるは四騎の亡霊』

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