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第2話 幻想の空洞

※この章から読み始めた方へ


▶︎ 序章『血塗られた盃』一話『探偵の日常』

(PC・ブラウザからはこちらへ)

https://ncode.syosetu.com/n5476ky/1


▶︎序章そのものはこちら

https://ncode.syosetu.com/n5476ky/

 一同が落ちた先は、薄紅色の霧に包まれた広大な空洞であった。


 天井は見えず、ところどころに浮遊岩や崩れた神殿の残骸が浮かぶ。


地表は黒曜石に似た鉱物で覆われ、時折火花のようなものが漂っている。


アルセリオ

「いってぇなぁ…ったく。クソ性格悪りぃ…。」


 アルセリオに続いて、他のメンバーも続々と目を覚ます。


マックス「……あれ?生きてる!?いやー、俺って運良いな!」


ヴィクトル

「なんでテメェが無傷なんだよ…レバー起動させやがって…。」


 ヴィクトルが悪態をつく


マックス

「はは…すまねぇ〜。間違えて引いちまったんだ。」


セレス

「んもう〜〜お洋服がすっごく汚れちゃったじゃな〜い。まぁ…魔術で直せば良いけどさぁ〜」


アルセリオ

「…んで?ここどこだ?封印された場とかか?」


ドクル

「いや、この層は“封印”じゃなく、“焔の王が暴れた痕跡”そのものでは……?」


レオナール

「だとすれば、ここまでの規模での…破壊を行えるほどの力を持っていたという事だな。」


フィアリア

「まぁ…それだけ規格外なのよ。それも、憤怒のマルドュクは同じ七大罪獣の中でも、最も高火力を誇っていたらしいわ。」


アルセリオ

「あっ?こりゃあ…なんだ?」


 アルセリオの近くに、板のようなものが落ちていた


ーー

《焼け焦げた兵の記録板》


「――我らは、“王”が目を背けた時点で、もう帰れなかった。

  あれは封印ではない。“贖罪”だ。」

ーー


アルセリオ

「贖罪…王に目を背けられて帰れない…。」


ドクル

「おそらく…かつての、旧王朝の兵の記録かと…それに、王というのは"焔の王"の事でしょう。贖罪…目を背けられる。残っている伝承曰く…焔の王の暴走と、その封印…所謂、贖罪。こういった流れでしょうね。」


アルセリオ

「なるほどな。そりゃあ…当時の人達の気持ちが想像できるな…。」


ヴィクトル

「とりあえず、ここを抜け出す方法を考えようぜ?まだ下があるようだからよ。」


 そういって、ヴィクトルは下側を指す

ーその先には、少しばかりの緑が垣間見える。


フィアリア

「一応言っておくけど、ここに魔獣の気配は無いわね。安心して良いわ。」


レオナール

「そうか…まだ戦い足りないな。」


 レオナールが少ししょんぼりする。


ヴィクトル

「俺もだ。まぁ、こっからまだまだあんだろ?」


ドクル

「先へ進みましょう。何か見つかるかも知れません。」


(一同はそのまま、まっすぐ探索を始めた)


***


 黒曜石の地を踏みしめながら、一同は慎重に歩を進める。

 焦げた地面のあちこちに、爆裂したような痕跡や、溶けた装飾の欠片が転がっていた。


マックス

「なぁ、あの光ってるの……草か?生えてるのか、これ?」


 彼が指差した先には、まるで熱を内包したかのように赤く脈打つ“草のようなもの”が、地表に点々と生えていた。


ーーだが、その根元は地に刺さるというより、浮いているようにも見える。


セレス

「…なんだか、夢の中みたい…綺麗。」


レオナール

「油断は禁物だな。ここまで静かな場所だと、ろくでもないことが起きている気がする。」


ヴィクトル

「それは一理あるな……お、こっち来てみろ。崖だが……下が見えるぞ。」


 崖の先に近づいたアルセリオたちは、その下に広がる異様な光景に目を見張った。


 そこには、森があった。

 地底の奥、さらに深く沈んだ場所に、木々と苔のようなものがうごめく《空洞の森》。


ドクル

「……“生態的に不自然”ですね……普通なら、こんな場所で植物が成立するわけがない」


フィアリア

「しかも、この位置……地上の光は届かないはずよ。なのに、あの森だけ妙に明るい……」


アルセリオ

「……下へ行けるルートは?」


 アルセリオが尋ねると、ヴィクトルが遠くの崖壁を指差した。


ヴィクトル

「見てみろ。あれ……“螺旋階段”じゃねぇか?」


 確かに、黒い岩に半ば飲まれるようにして、古びた石造りの階段が続いていた。

 苔に覆われ、部分的に崩れかけているが、下層に繋がっているのは間違いない。


ドクル

「……あの構造、旧王朝期の神殿建築と一致します。意図的に“外部からは見えないよう”設計されていたのかと」


マックス

「うわっ、あんなとこよく見えたな。あれ、俺が最初に見つけたってことにしてもいい?」


ヴィクトル

「してやらねぇよ。バーカ。」


セレス

「でも、これで下に進めるのねぇ……よかった〜。この空間、綺麗だけど、長くいたくないもの。」


フィアリア

「注意して。あの森、瘴気が濃い……植物が生きてるだけでおかしいのよ。本来なら“焼けて死んでる”はずなんだから」


アルセリオ

「ああ。……下には何かがある。“王の贖罪”の意味も、もしかしたら――その先で分かるかもしれねぇ」


 そうして、彼らは崖沿いに張り出した脆い通路を慎重に進み、

 やがて、階段の入口へと辿り着く。


 そこには、燻るような文字でこう刻まれていた。


ーー


《第三層へ至る刻文》


「──炎が語るは、王の嘆き。

  深き森にて、その影は眠る。

  目覚めを拒む者よ、ここより先は……己の罪と向き合うことになるだろう」


ーー


アルセリオ

「……王の嘆き……ね。」


 一同はそれぞれに、足元の言葉を読みながら、静かに階段を下りていく。

焦げた地を越え、彼らが見たのは、地下とは思えぬ幻想の森。

しかし、その静寂の奥には、炎よりも熱い脈動があった――。


次回、第3話『混淆の森』

目覚めよ、“紅の牙”。

──試練はまだ、終わらない。

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