秋灯り
着いたら駅の灯りが溢れ、
バスから降りて灯りを見た。
家族連れ、仕事帰り、
お年寄り、子供たち、
駅から歩いてくる。
灯りを背負ってくる。
夕暮れ時ならよくあることで。
特別なことはないはずだった。
おぼろげで、密やかで、
異世界の、駅みたいで、
灯りの人たちは、
無性に儚く見えた。
ヒュールヒュール、
ここはどこだというの。
ヒュールヒュール、
ここはいつだというの。
自分でも意外な気持ちだった。
見慣れた駅には見えなかった。
家族連れ、仕事帰り、
お年寄り、子供たち、
駅から帰ってゆく。
灯りを抱えてゆく。。
今どき人は森には住まない。
誰もが町に染みこんでゆく。
寂しくて、切なくて、
同じように、辿りたい。
突然、吹いた風は、
季節を伝えてきた。
ヒュールヒュール、
ここは何だというの。
ヒュールヒュール、
ここは秋だというの。
日頃の行い何かに見られて、
だから灯りに怖気づいてる。
つれなくて、大人しくて、
怖がって、黙ってる。
駅の前に立ったまま、
時間を気にし始める。
人の流れに逆らうように、
灯りの中へ進むことにした。
語り合い、笑い合い、
酔っ払い、我に返り。
気がつけば働いてる。
灯りなら遥かな星。
ヒュールヒュール、
ここは現実というの、
ヒュールヒュール、
ここは宇宙というの。
ヒュールヒュール、
ヒュールヒュール、
灯りが滲む。
ヒュールヒュール、
ヒュールヒュール、
灯りになりそう。