表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子でもある婚約者から「父を裏で殺めようとしていたそうだな!?」などと言われ婚約破棄されました。  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/11

1話「いきなりですが、危機的状況です」

 私は一国の王女であり、また、王子エリッツ・フォンドの婚約者だ。


 しかしその状況は今まさに終わりを告げようとしている。


 先日まさかの出来事があって。

 それ以降私の立場はとんでもなく危ういものになってしまったのだ。


「セレス・ペスカトーレ! お前の悪事、聞いたぞ! 我が父を裏で殺めようとしていたそうだな!? 国を乗っ取るといわんばかりの最低な行為だ……よって! 婚約は破棄とするッ!!」


 ――そう、私はフォンド王国の国王を殺そうとしたと罪をでっちあげられてしまっているのだ。


 もちろん、私は何もしていない。そんなつもりもない。そもそも婚約者の父親を殺めて何になるというのか。王女という身でそんなリスクばかりが大きい行為に至ろうだなんて考えるはずもないのだ。


 にもかかわらず私は国王暗殺を試みたと言われてしまっている。


 主張しているのはエリッツの母親である王妃フロマージュとその子にしてエリッツの妹である王女エヴァーニカだ。


 二人の主張により私は犯罪者となりかけている。


 ……なんという危機的な状況か、これは。


「エリッツ様、私は殺めようなどしておりません」

「何だと?」

「そのようなお話は嘘です」

「はぁ? これはなぁ! 母と妹が言ってることだ! 嘘なわけがないだろう!」

「勘違いではないでしょうか、私は絶対にそのようなことはしておりません」

「二人が気づいて防いだだけだろうが!」


 婚約破棄だけなら黙ってもいられたかもしれない。けれども国王殺しの罪まで押しつけられては私としても黙ってはいられないのだ。王女である私がそのようなことをした、となれば、母国にも迷惑がかかってしまう。


 だからこそ、真実をはっきりさせなくては。


「だがな、実際先日、刺客が確保されたんだ。父の寝室へ行こうとしていた怪しい男が、な。で、そいつは吐いた――王女セレスより命ぜられて暗殺しようとしたのだ、と」


 滅茶苦茶だ。

 その程度仕組めるではないか。


「だとしたらその証言が嘘です」

「言い逃れはできないぞ!」

「まったく知らないのです。それは事実です。何ならその刺客が私の手の者であるということを証明してみてください」

「生意気な! いい加減にしろよ! まぁいい、お前はもう追放だ」


 何とか話を聞いてもらおうとしたのだがどうしようもなくて、私はそのまま婚約破棄され城から追放されてしまった。


 城を出る時、挑発的に言葉をかけてきたフロマージュとエヴァーニカの顔は絶対に忘れない――罪なき者を陥れた二人にはいずれ天罰が下るだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点]  家族の言うことを信じる、というのもわかるのですけど。あまりに一方的ですね…。  ちゃんと自分の主張ができる強さがあるセレス。  最後の言葉には、彼女の王女として、人としての誇り高さが見…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ