第9話 おちよの自由
次の日もお忍びで出かけようとするがフィルシュに止められてしまった。だが、なんとか隙をついて逃げる。
「王子ぃーーー!?」
もはやフィルシュの胃は穴だらけである。
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2人が遊んでいるとこの間のおちよが路地裏へと入っていくのをみる。
「あれは……」
「ねえ、あんまり深入りしない方が……」
それを聞かずにレェーネは追ってゆく。
「これで最後よ。あたし達にもう金輪際関わらないで。」
「ほーう。そりゃお前しだいだ。」
おちよは何やらお金を渡していた。男達はおちよを捕まえる。
「ちょっとなんだい?!離して!!」
「やめぬか!」
「あ?このまえのガキ?!」
「ひぇ!逃げろ!」
「おちよ!覚えとけよ!!」
「レディ、大丈夫ですか?」
「ああ、ありがとう。この間の……」
「もー、放っておけばいいーのに。」
ウィルは少し呆れ顔だった。だが、人を救う事を迷わない王子を少し誇りに思っていた。
「お礼がしたいからこれからいいかい?」
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おちよの家まで連れていかれる。お茶を出してもらった。飲もうとした瞬間王子は悟る。
「レディ、お金にお困りなら、このブローチを、どうぞ?」
「そ、そんなの貰えないよ。悪いし。」
「ほう、毒は飲ませようとするのにか?」
レェーネはおちよへ剣を突きつけた。
「ひぃっ!?す!すまないね!どうか命だけはお助けを!」
「ウィル!飲むなよ?」
「りょーかい!あっぶなかった。」
「お金がいるんだよ!じゃないとあたしは売りに出されちまう。」
「ほう?ならいい就職先をご紹介しますよ。レディ。」
「「は?」」
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レェーネが紹介したのは帝、つまり天皇の皇居での下働きである。
「いやぁ、ちょうど人手が必要らしかったので助かります。」
「確かに皇居に住み込みで働けばあいつらも手を出さない……なるほどね。あんたそんな高貴な身なりで何もんなんだい?」
「俺はレェーネ、隣国の王子ですよ。」
「!?」
「まー、そゆこと!じゃ、レェーネかえるよー。まーた大佐くんにドヤされる。」
「あ、ありがとうございます!」
おちよはただ離れていく王子達の背中を見送るのだった。