第8話おちよ
「はっくしゅんっ」
「なんだ、風邪か?」
「ははっ、たぶんそう。うつった。」
「温かくしろよ。」
「うん、じゃあ、あたためてくれる?」
「は?」
ウィルはレェーネを抱きしめる。
「こうすればあったかい。」
それを見てウィリの顔は真っ青になった。
「よし!ウィリもこい!」
「へ?」
レェーネはウィリを抱き寄せる。
「3人でおしくらまんじゅうすればあったかいぞ!」
「ええー。」
「僕は別に……」
レェーネは無理におしくらまんじゅうする。
「ちょっ、押さないでよ。」
「レェーネちゃん?!」
しばらくおしくらまんじゅうで盛り上がっていた。
☆☆☆☆
夕方になるとウィルが再びレェーネを連れてお忍びで出かける事になった。それに2人が出ていった後気づいたフィルシュは叫んだ。
「いい加減にしてくださーーい!!」
「まあ、レェーネちゃんにも休暇は必要だと思いますよ。大佐。」
なんて2人で話していた。そういいながらウィリの胸の内は複雑な心境だった。
☆☆☆
「レェーネ!ほら、早く行こっ!」
「うむ!」
色々巡っていると路地裏に入っていく女性とぶつかった。彼女は手ぬぐいを落としたのでレェーネはそれを渡そうとついて行く。
「お嬢さん。落としまし……」
そこではさっきの女性が男達に囲まれていた。
「なんだ?このガキ。」
「あ?痛い目あいたくなかったら消えろ!!」
「これはこれは。口の利き方も知らぬとは。」
「んだと?!」
王子は殴りかかろうとする男をよけ、反対に男をぶちのめした。
「な、なんだこいつ!強い!」
レェーネはどんどん男達を倒してゆく。最後の1人が後ろからかかって来ようとしたのをウィルがとめた。ウィルによって倒される。
「あ、あんた達、強いんさね。」
「お怪我は?」
「な、ないよ。ありがとう。」
そっと手ぬぐいを渡した。
「あたしはおちよ。また会う事があったらよろしくね。」
そう言ってそそくさと逃げていった。
「なんだったんだろう。」
「さあ、な。」
その日はそのまま宿へと戻った。フィルシュからはいつもより怒られたが、たまにはよしとしますと言われた。