第5話大和
「ウィリ!」
「レェーネちゃん!?どうして?」
「お前の様子が気になってな。」
「………大丈夫だよ。わかってる。ウィルの方がモテるのはいつもの事だし、別に……」
「俺はまだどちらか選んでいないいぞ。」
「でも……」
「ウィリ。」
ウィリの名を呼びレェーネはウィリを抱き寄せた。
「へ?!ええ?!」
「まだわからないだろ?」
レェーネはそっとウィリの頬にキスをした。
「?!?!」
ウィリは涙目で、赤面する。
「れ、レェーネちゃん?!」
「ほら、戻るぞ?」
「で、でも、」
「嫌か?」
「ううん。」
その日は馬車で3人で眠った。
★★★★
そうして馬車は遂にフィルシュの東の国目前まで来た。
「海!」
「海だね!」
「海かあ。」
目の前には一面に広がる海があったのだ。馬車を船へと乗せ、ここからは船移動することになった。
「フィルシュ、懐かしいか?」
「はい。そうですね。久々の帰郷故、懐かしく感じます。」
「うむうむ、楽しみだなぁ!やまとなでしこ………あ、いや、食事とか……」
「レェーネちゃん、下心しかないね。」
「へー。」
ウィリの指摘にウィルも反応していた。船はあっという間に大陸を越え、島国へと入ってゆく。
「ここが!東の国!大和!」
王子は船から降りると辺りを見回した。
「うむうむ、美人がたくさんだな!」
「レェーネ、どっか遊びに行こっ!」
「それはいいな!ではっ」
「ダメです。王子、これから国の天皇と謁見でしょう?」
「あ………そ、そうだな。うむ。」
フィルシュの言葉にレェーネは渋々頷く。そして天皇の元へと馬車で移動する。
「ふむ!あの着物と言う服着てみたいな!」
「レェーネちゃん似合いそうだね。」
「そうか?」
「うん。」
なんて話しをしていると皇居にたどり着いた。レェーネは天皇と謁見する。レェーネが部屋へと入るとそこには女性が1人と護衛達が周りに立っていた。
「お初にお目にかかります。この国の天皇天照、レェーネ王子のご到着を待ちしておりました。」
「なんと、女帝とは……」
「我々の国では驚くことではありません。過去に何人もの女性天皇が即位しておりますゆえ。」
「女性でも王になれる事、羨ましい限りです。」
「そうですか。」
そうしてしばらく話して2人は謁見を終える。レェーネは馬車へと戻ってきた。
「おかえりー。」
「レェーネちゃんおかえり!」
「うむ」
「どうだった?」
ウィリがそうとう。
「なかなか知的な方だった。」
「へー。」
ウィルは興味なさげに相づちをうつ。そして今夜の宿へとたどり着く。
「ここです。我が国でも随一の接客の旅館です」
フィルシュから立派な旅館へと案内された。荷物を置くと王子はフィルシュの実家へ行くことになる。実家は古民家のような建物だった。
「お兄様!」
「おすず。久しぶりだな。王子、この娘は私の妹のおすずです。」
「妹さん、なるほど。」
王子は妹の手をとると手の甲へとキスをした。
「お初にお目にかかります。王子レェーネです。よろしくお願いします。」
「は、はは、はは、はい!」
そのキラキラした雰囲気におすずは押される。
「むー!」
「………」
それを見て、怒るウィリに呆れ顔のウィルだった。
「お兄様!王子様ってすごく素敵な方なのですね!!」
「ああ、そうだな。」
しばらくフィルシュの屋敷でくつろいだ。そして宿へと帰る。そこでは夕食が用意されていた。
「うむ!これうまいな!」
「はい、そちらは五目飯で……」
「はい、レェーネ、あーん。」
「!」
ウィルがふざけて食べさせようとする。
「そんなのだめだよ!」
ウィリは怒っていた。食事が終わると温泉へと入ろうとする。王の為に貸切にしてあった。王子は迷わずに男湯へと入ろうとする。
「ちょっと、待った。」
ギリギリの所でウィルに止められた。
「何故ダメなのだ!」
「あたり前でしょ?!」
「良いではないか!皆で入るぞ!」
「お、王子、流石にそれは……」
「レェーネちゃん……」
「ウィリ、昔みたいに一緒にはいるぞ!」
「え、ええ?!」
結局男子に混ざってレェーネも入る事になってしまった。
「おい!背中を流せ!」
「なんで、こんな……こういうのは2人っきりの時に……」
なんてウィルはボヤいていた。
「お、王子、タオルはちゃんと巻いてください!」
「そそ、そうだよ!レェーネちゃん!」
フィルシュとウィリは赤面して硬直していた。
「よし、ウィル背中流せ!」
「ぼ、ボク?!」
「ほら、早くしないか。」
「え、あ、う、うん。」
渋々レェーネの背中を流す。
「こ、これは臣下として試されているのか!王子の背中を流すべきだと!」
「大佐、たぶん違うと思います。」
フィルシュとウィリは赤面してあまり見ないようにしていた。
「よし、次は俺が洗ってやろう!」
ウィルの背中を洗う。
「あ、どーも。」
ウィルも平気そうにするが本当は同様していた。
楽しいお風呂が終わると部屋へと戻る。布団が敷かれていた。
「よし!枕投げだな!」
「いいよー。ボクが勝つけどね!」
「ぼ、僕は別に……」
「ほら、やるぞ!ウィリ!」
「がはっ!?」
いきなりウィリがレェーネの攻撃で倒れる。
「フィルシュくらえ!」
フィルシュにも投げられる。フィルシュはなんとか避けられた。楽しい時間は過ぎていった。
多忙のため不定期更新となります。よろしくお願いします。