第4話 早まる鼓動
馬車は着実に進んでいっていた。
「さっきの、まさか、父親って嘘だよね?」
「いや、間違いない。」
「え?なんで?」
「さっきの暗殺者は大臣が主犯だと言った。あの状況で本当の事を言うとは思えん。なので、大臣は外す。と、なればもう王しかいまい。」
「いや、他にもいるかもよ?」
「さらに、この進路を知ってるのは俺と国王ぐらいだ。」
「なるほど。」
「レェーネちゃん………」
「王子……」
「ウィル、フィルシュは今のうちにどの傘下に入るか検討した方がいいぞ。」
「!」
「私は王子以外に使える気はありません!」
「そうか、ありがとう。だが、もしもの時の為の準備はしておくのだな。」
ナナは報告を終えたので国へと戻って行ってゆく。
馬車はゆっくりだが、確実に進んでいた。
夜がくる。その日はウィルが来た。
「こんばんはー。」
「うむ。」
「遊びにきたよー。」
「呼んでないぞ。」
「ええー。そう言わないで?」
そう言って隣に座ってくる。
「レェーネ。キスしよっ?」
「今はそう言う気分じゃないんだが……」
「ええー。じゃ、どういう気分?」
ウィルがそう聞くとコンコンコンとノックがなった。
「レェーネちゃん。」
「ウィリ、どうした?」
そこにいるウィルの姿にウィリは硬直した。
「あ、えーと、なんでもないよ。」
「ウィリ」
「兄さんも一緒に寝たいんじゃない?」
「なんでウィルがいるの?」
「ほら、ボク護衛だし?いても変じゃないよね?」
「そうだけど……」
「よし、では、3人で寝るか。」
「ええー、狭いよ。」
「ボク、いいや。」
ウィリはそういうと去っていってしまった。
「ウィリ。」
「………はあ、兄さんらしいよね。」
「………」
「………キス、する?」
「この流れで何故そうなっんっ?!」
「んんっ……」
「ん………」
「「はあ」」
「ウィル」
レェーネはウィルの名を呼ぶとそのまま抱きしめた。
「?!」
普段とは少し違うレェーネの様子に鼓動が早くなる。
「レェーネどうかした?」
「なんでもない。」
そういいながらも擦り寄ってくる。
「………。」
鼓動がさらに早くなる。
「レェーネ……」
ウィルはそのままキスしようとする。だが、それは避けられた。
「はあ、追ってくる。」
「え、ちょ?!」
そのままウィルを馬車においてレェーネはウィリを追った。
「ええー。」
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