第2話夜の帳
馬車は進む。だんだんと国から離れてゆく。夜になる。1人馬車の中にいるとウィリが入ってきた。
「レェーネちゃん、一緒に寝てもいい?」
「よいぞ。」
ウィルは馬車の上で2人の様子を伺う。
「レェーネちゃん、このまま国に帰れなくなったらどうしよう?」
「大丈夫だ。俺がなんとかする。」
「うん。」
ウィリはそのまま王子の横へと座った。
「レェーネちゃん、ウィルとも一緒に寝てるの?」
「まあ、そうだな。」
「そっか。」
ウィリは少し暗い顔になった。
「まあ、そう塞ぎ込むな。」
「レェーネちゃん。」
ウィリはレェーネを抱き寄せる。
「ウィリ?」
「好きだよ!」
「うむ。俺も好きだぞ。」
「……友達としてだよね?」
「うむ。すまんな。」
「……ううん。」
2人は馬車の中でそのまま眠った。
「はあ、兄さんじゃ無理無理。王子をもらうのはボクだもんね。」
ウィルは馬車の中をみてそう呟いた。
☆☆☆☆
翌朝、王子が起きると隣りにウィリが眠っていた。
「ふふっ、変わらんな。本当に。」
本当に自分をウィリが裏切った事が嘘のような寝顔だった。
「……ウィリ。」
「おっはよー」
いきなり窓から逆さまに出てきたのはウィルだった。
「なんだ、早いな。」
「そっ?」
「うむ。」
コンコンとノックが聞こえるとフィルシュが入ってきた。
「おはようございます。王子。」
「うむ。おはよう。」
こうして馬車は進んでゆく。