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2-8 夢の終わり ⑪
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同時刻。
突然の閃光に視界を奪われた中林は、走り去る人間の気配を辛うじて感じ取った。
一瞬、イリスとの間に現れた男。冷たい目をしたその男が何か小さな物体を投げた後、辺りは眩い光に包まれたのだ。
段々と視界が戻るのを感じながら、同時に中林は周囲の様子を探った。だがイリスは、既に遠い。
コツンと、何かが足先に当たるのを覚えて、中林は唐突にあることを思い出した。
あの男は、二つ、投げてよこさなかっただろうか――?
思うが早いか、二度目の閃光。そして中林の周囲を、爆風と衝撃とが包んだ。
「――イリスの血を飲んだことは、間違いではなかった!」
自身の破れた皮膚が再生していく様を眺めながら、中林は嬉々として声をあげる。先ほどの銃創も既に消え、粉塵の中で中林の体は再生していく。
「イリス。もうすぐだ。もうすぐ、我々の夢が叶う――!」
堪えきれず、中林は狂ったように笑いだす。その目には、欠けた月が映っていた。




