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2-8 夢の終わり ①
八、夢の終わり
二〇×一年 十二月 二十五日 土曜日
十六時五十五分。
「佐渡君。これさあ……本当に本当に、大丈夫かなぁ?」
焦りを隠しきれず、国後が佐渡の横顔に問いかける。
「……仕方ねえだろ。もう始まってんだ」
佐渡の表情は、言葉とは裏腹に覚悟が決まっていない。
城ヶ島は佐渡と国後とは離れた茂みの中で、能登を起こそうと必死に揺さぶっている。彼は時折、不安そうな面持ちで茂みの外へと視線を送っていた。
皆の視線の先には、淡路が用意した急ごしらえの衣装でキツネに変装したアオイの姿があった。
アオイはスケートリンク中央の時計の傍に立ち、時が来るのを待っている。