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2-7 FACE ⑧
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十四時。
コーヒーカップに乗りながら、リリカは作り笑顔をなんとかキープさせていた。
昼ごはんの後、女子だけで絶叫マシーンに乗ったところまでは良かった。その後は、リリカは再び、チェックシャツの男の子と少しズレた会話を重ねている。
何を話していても、リリカの脳裏にはヒカルの後姿が浮かぶ。だがそのためにイライラしたり、悲しくなったりということはなかった。ただ淡々と、虚しいだけだ。
「泉さんは、どの乗り物が一番好き? やっぱり最後のパレード?」
パレードは乗り物じゃないでしょと、リリカは心の中で呟く。
遊園地の乗り物は全て好きなのだが、その中でもリリカが一番好きなものは昔から一つだけだ。
再び脳裏にヒカルの後姿を思い出して、リリカは唇を噛み締めた。




