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ゲノム・レプリカ  作者: 伊都川ハヤト
Human after all

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2-7 FACE ⑤



 同時刻。


「泉さんはさ、お魚に例えるなら、イルカさんだよね」


「わあー。ありがとう」


 チェックシャツの男の子に棒読みで答えると、リリカはさっさと次の水槽へ移動した。

 魚で例えられても嬉しくない。そもそもイルカは、魚ですらない。


「あ、泉さん。見て見て、クマノミだよ。可愛いね」


「そうだね」


「うちは毎年モルディブに行くんだけど、向こうの海もキレイだよ。泉さんも好きだと思うなあ。一度だけ、ウミガメと泳いだんだ。あの時の海は……」


 少しは静かに出来ないのかと、リリカは若干苛立ってきている。


 ヒマワリとマリィは彼氏と腕を組んだり手を繋いだりして、水族館の中を楽し気にデートしている。


 リリカはというと、彼女の大ファンだというマリィの男友達と共に、楽しいとは言い難い時間を過ごしていた。


 幾ら褒めてもらっても、幾ら構ってくれていても、嬉しいとは感じない。そればかりか、相手が何かいう度に、リリカの頭にはヒカルの顔が浮かんでくるのだ。


 それでも、友達は自分に気を遣ってくれたのだと分かっているから、リリカは彼女達に怒れない。多少とはいえ、面白がっている様子は否めなかったが。


 チェックシャツの男の子から逃げるように速足でチューブ型の水槽に入ると、リリカの目が遠くに居る赤毛の少年を捉えた。後姿でも、リリカにはそれが誰であるか分かる。


 声を掛けようとして、リリカはヒカルの傍に、小柄な女の子がいることに気付いた。赤いマフラーのその子が何か話す度に、ヒカルは頭を少し傾けて、その子の言葉を聞こうとしている。


 リリカには、ヒカルがどんな表情をしているのか分かるような気がした。


「泉さんて、足早いね。カッコいいな。僕、中学の頃はテニスをしていたんだけど、都の大会で……」


 遅れてやってきたチェックシャツの男の子の腕を掴むと、リリカはその場を逃げるように後にした。

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