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1-4 守りたいもの ⑥
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数秒程続いた、揺れの後。アオイの視界には、淡路の肩越しに、抉り取られたような地面が映っていた。
爆弾でも落ちたというのか。池はすっかり干上がって、その岸辺には若い女性たちばかりが幾人も倒れている。
「状況報告! 動ける者は池まで。救急車手配、急いで!」
無線を飛ばしながら走るアオイの後ろを、淡路が追いかけていく。
走りながら淡路は、視線を感じて池の対岸に目をむけた。しかしそこには、何もいない。
「――勘が良いじゃないか」
池の対岸。淡路の視線を避けるように身を潜めて、キツネ面は呟く。
「いずれ、また」
そうして満足そうに頷くと、キツネ面の人間は姿を消した。




