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ゲノム・レプリカ  作者: 伊都川ハヤト
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3-9 unmask ②

 二十一時十分。


 遠くから聴こえてきた音で、アオイは雪崩が起きたことを察した。スノーモービルを止めて目を凝らすが、現場を確認することは出来ない。誰も、巻き込まれていなければよいのだが。


 アオイは相馬を追っていたのだが、途中で別のコースを選んでいた。アナザーはハンターに任せ、彼女は先ず自分の目的を果たすことに決めたのだ。


 淡路からは、ヒカルとリリカは眠っていると聞かされている。二人が夢を見ている間に、アオイは全てを終わらせるつもりでいた。


 山の上の方では、巨大な塊が移動しているのが見える。アナザーだ。それが麓へ降りてしまえば、被害は計り知れないことになるだろう。それを理解していながら自分の目的を優先することは、アオイにとって勇気の要る選択でもあった。


 再び車を走らせて、アオイは前方を睨むように見つめる。



 同時刻。

 アオイの姿を、遠くから見ている者があった。淡路だ。


 淡路もアオイと同じようにスキー場で拝借したスノーモービルに跨り、イベント会場の傍から雪崩の起きたコースを双眼鏡で観察していた。


(ヘカトンケイルと相馬は流され、インドラとキツネは逃れた。アオイさんは……ポイントへ向かって移動中)


 頭の中で状況を整理しながら、淡路は双眼鏡を胸にしまい込みゴーグルを装着する。


 当面、アオイにアナザーの危険はない。出現したアナザーは、人一人の力で止められるような大きさではない。相馬の生死は不明だが、音は未だ鳴りやまない。


 イベント会場では、相馬の所属する天文サークルのメンバーの姿は確認することが出来なかった。恐らく、コアトリクエの目指す先に彼らの姿もあるのだろう。


 向こうだなと、淡路は呟く。


 そして彼は、アオイとは別のコースへ向かって車を走らせ始めた。

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