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ゲノム・レプリカ  作者: 伊都川ハヤト
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1-4 守りたいもの ②



「今、なにか――」

「今、なんだか――」


 同時に口を開いて、北上と南城は顔を見合わせた。

 二人は後方にある池の対岸から、何か奇妙な空気が伝わってくるのを感じたのだ。


「……北上。私は、ちと用事がある。先に学校へ帰れ」

「俺もだ。君が帰れ」

「だめだ。お前が、帰れ」

「困る。君が帰れ」


 少しムッとして、南城は池に向かって歩き始めた。

 その後ろを、北上も追う。


「お前、何故追いてくるんだ?」

「こちらに用がある」


 北上は帰ろうとしない南城を心配して少し焦り始めていたので、普段よりも更にぶっきら棒な言い方になっていた。


「北上。帰れ」

「だめだ」

「ダメとはなんだ。帰れと言うに!」

「君が帰れ」

「所用だ!」

「俺もだ」


 埒が明かなくなって、二人は池の手前で立ち止まった。


「私は、こちらに用がある。お前、こちらに用はないな?」


 南城は、公園の東を指した。


「ない。俺は、こっちに用がある。南城は、こちらには来るな」

「行かぬ。お前こそ、こちらには絶対に来るなよ」


 公園の西側を指さす北上に念押ししてから、南城は東側に向かって歩き始めた。背中では、北上の行動を窺っている。


 北上は、学校へ戻ろうとしない南城にやや呆れつつ、彼女とは反対方向へ歩き出した。意識はしていないが、背中では気配を探っている。


 そうして二人は互いの姿が見えなくなるまで歩いて、それぞれ近くの茂みに飛び込んだ。


 一瞬の間。


 それぞれの茂みに、光が走った。

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