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ゲノム・レプリカ  作者: 伊都川ハヤト
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3-7 my sweetie pie ②

 *



 十二時四十五分。


「ダブル、ですか?」


 ホテルのフロントで、アオイは笑顔を崩さず首を傾げる。


 フロント係の青年はアオイに顔を赤くしながら、そうですと短く答えた。


 アオイの後ろでは、能登が正座して頭を垂れている。彼は初めての出張で張り切っていたのだが、早速ホテル予約を失敗していた。


「他に部屋はあります?」


「申し訳ございません。全て埋まってしまいまして。スキーシーズンですし、本日はイベントもあるため混雑している状況で……」


 深々と頭を下げられて、アオイは諦めて鍵を受け取った。本来のチェックインはまだ先なのだが、部屋の清掃が終わっているということで先に荷物を置きに行くことにしたのだ。


 能登は申し訳なさそうにガクリと肩を落として、アオイの後ろをついて歩いた。


 部屋は、五階の五〇五号室だ。広さも充分で眺めも良かったが、やはりベッドはダブルベッド一つしか置かれていない。補助のベッドについても確認したが、フロントからは余裕がないと返答があった。


 能登は、部屋の隅で体育座りしている。


「あのねえ。仕方ないでしょ? 仕事のミスは、仕事で返す! 分かった?」


 能登は、コクリと頷く。


 アオイは能登に予約を任せきりにしていたこと、長野へ到着して直ぐにホテルへ確認を入れなかったことを反省していた。急ぎで予定を変更したツケが、こんな所に出てしまうとは。


「一先ず荷物を置いて、ついでに他のホテルの空き状況を確認しましょ」


 能登に上着を着込むように伝えて、アオイはスマートフォンに目を落とす。ネットで確認する限りでは、どのホテルも満室だ。ダメ元で、直接あたるしかない。


 長野へ到着して直ぐに警察署へ向かったが、アオイの予想通り二人は歓迎されなかった。県警の協力が望めない以上は、アオイと能登とで可能な限り捜査を進めていくしかない。


 幸い、佐渡によれば、アナザーの目撃情報はスキー場の周辺に固まっている。出来すぎている偶然に、アオイは既に不安を覚えているのだが。


 落ち込む能登を励ましながら、アオイは靴を履き替えて外へと向かった。



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