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#夢日記  作者: シソ熊
1/1

運のない見学者1

よろしくお願いします。

高校三年の夏。

夢も早々散って、部活を引退していた俺こと平野大星(ひらのたいせい)は、受験組の夏期講習に来ていた。


暑い中だけれど、今授業している数学の岡本先生は「ほかの先生には内緒だからな!」って言って、教室のエアコンの温度を下げてくれるからまだましだ。


ーーーキーンコーンカーンコーン


「あー、今日はここまで。お前ら、次の範囲も予習しとけよ。

今日の範囲で質問あるやつは職員室に来るように。」


岡本先生はそう言って、さっさと職員室を出ていった。

夏期講習は特に終礼などもないため、このまま解散だ。

残って勉強するやつも結構いるけれど、今日は用事がある。


「おい、大星!」

「ああ、亮太(りょうた)。お待たせ、こっちもやっと終わったから行こうか。」

隣のクラスの友人、竹田亮太だ。

今日はこいつの家に行って、みっちり数学を教える予定である。

俺は理系クラス、亮太は文系クラスなのだが数学が壊滅的らしい。


「いやほんっと、悪いんだけどさ?俺、補習になっちゃって…。ちょっと待っててくれん?」

亮太は申し訳なさげな顔で手を合わせながら言っていた。


まじかよ。

俺が教える前に補習くらってんじゃん。

おいお前マジかよ、という目でわざとらしく見る。


「いや、ちょっとした小テストだからさ!30分くらいだから!」

「はいはい、わかったから。終わったら連絡して。」

「もう神!すぐ終わらせてくるから!」

そう言って、亮太は走っていった。


30分か。教室で予習をしてもいいが、時間も微妙だ。

そんな理由をつけて中庭に出た。



中庭のベンチに座って、少しだけ単語帳を眺めてからすぐに閉じる。

そして、スマホの電源を付けてSNSを開いた。

俺は基本ROM専でほとんど書き込んだりはしない。旅行とか特別なことがあったときくらいだ。




今日の夢で推しが出てきたんだけどww

推しが同じクラスで一緒に勉強してた

こっち見てくれなかったけど同じ空間で空気吸えただけで今日を生きれます!!!

#夢日記




最近よく投稿される「#夢日記」を流し見る。

自分が見た夢の内容を書き込んで「#夢日記」をつけるのだ。


トレンドになった日ほどの投稿数はさすがにないが、面白い内容や変わった内容を書きやすいからか、結構投稿されているみたいだ。




森の中にいた。

自分は歩いていて、ふと腕を見ると皮の下でなんか3センチくらいのがいくつも動いていた。

下を見ると黒くて丸い虫が脚から私の中に潜り込んできてて気持ち悪くてずっと叩いてたら目が覚めた。

ほんと気持ち悪くて朝から最悪。

#夢日記




「多いな、こういうの。」

#夢日記で投稿される文章では結構ホラー系とか気持ち悪いのが多い。

まあ、いやなことを吐き出す手段としてSNSを使う人も結構多いだろうし、楽しい内容よりも怖いのとか気持ち悪いのを見たっていう他人の不幸のほうが需要があって増えてたりもするかもしれない。



その後も見ているとメッセージアプリの通知が来た。

『終わった!』

亮太とのチャットを開く。


『おつ。中庭にいるよ。』

『おけ』

『すぐ行くわ』


スタンプで返信して、メッセージアプリを閉じた。




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