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6話 メイドは勝てなかった

今後も所々訂正などあるかも知れませんが、よろしければ見ていってください!

 服を買い終わり、和樹はスマホで時間を確認すると、時刻は既に午後6時を過ぎていた。


「もう6時か、早いもんだな」


「そうですね、もう帰りますか?夕食を作らないといけませんし」


 確かに昼にリアラが作ったオムライスを見ると、リアラの作る料理が美味いという事は分かる。だが、もう遅い時間だし、リアラを今日引っ掻き回した和樹は、負担はかけたくないようにと考えを巡らせる。

 しばらく考える和樹だが、何かを閃いたようで、顔をパアッと明るくさせた。


「……ラーメン食べたい」


「ラーメン、ですか?」


 ラーメン、それも和樹がが食べたいと考えたのは二郎系ラーメン。和樹は何故か無性に二郎系ラーメンが食べたくなってしまった。

 ラーメンと言うワードに心なしかリアラの声のトーンが少し上がる。


(リアラも食べてみたいと思っているのか?)


「ラーメン食べてみたいのか?」


「はい、少々興味がありまして……」


 少し恥ずかしそうにして言うリアラ。確かにラーメンを食べに行くのは男性のイメージが強い。実際何度かラーメンを食べに行ったときに女性の客はあまり見られなかった。


「二郎系だけど、行くか」

 

「はい」


 リアラは即答した。余程ラーメンを食べてみたかったのだろう。

 和樹とリアラは荷物を持って二郎系ラーメンの店に向かう。店につくと、外に並んでいる様子はなく、待たなくても入れた。

 椅子に座ると、和樹はラーメンの小を2つ頼もうとした。おそらく大にしてしまうと、一人でもギリギリなのに、ラーメンという食べ物しか知らないリアラは二郎系のラーメンを見ると、何だこれとなってしまうだろう。

 その他にもマシマシしてしまっては、食べきれなかった場合はここに連れてきた責任を取って自分が食べてやらなけらばならないので、負担の少ない小にしようとした。

 ところがリアラは、


「すみません、私は大でもいいですか?」


 その言葉に和樹の表情は少し暗くなる。確かに初めてのラーメンだ、少し多めに楽しみたいのは分かる。だが和樹は『大』の恐ろしさを知っている。

 前に一度、大を頼んだ時は何とか食べ切れたものの、家に帰ってからリバースしてしまった記憶を思い出す。その時はこの店じゃないうえに、中学生だったので今はわからない。だが、和樹よりも少し小柄なリアラが大を食べきる事は想像がつかない。


 周りの客も「あんな可愛くて小柄な子が!?」「本当に食べれるのか?」「やめとけ!絶対無理だ!」と声を荒らげている。

 だから和樹は改めて聞いた。


「……本当にいいのか?」


「食べる量には自信がありますので」


「……わかった」


 和樹はラーメンを小と大を頼んだ。まあ、男は度胸、リアラが食べ切れなければ食べてあげればいいだけの事だ。

 おそらく二郎系ラーメンの洗礼をリアラは浴びることになってしまうがな。


「二郎系って何か知っているのか?」


「ラーメンは知っているのですが、二郎系は知らないです」


 やはりだ、リアラは二郎系ラーメンを知らない。普通ラーメンは麺が見えるものだが、二郎系ラーメンは最初は麺が殆ど見えない。野菜で埋め尽くされているからだ。

 それにリアラが頼んだのは『大』。さあ、リアラが二郎系のラーメン見てどんな反応をするのかちょっと楽しみにする和樹。


「リアラ、食べ切れなければ食べてやるからな」


「大丈夫です、すべて食べきり」


 張り切っていたリアラのもとにラーメンができたようで、


「お待たせしやした!ラーメンの大と小です!」


 ドンッ!と置かれたのは、野菜が大量に盛られたラーメン鉢。大きなチャーシューもいくつか乗せられてあり、食べ物ながら、威圧感を放っているようだった。


「……?」


 それを見たリアラは、これは何なんだと言わんばかりに首を傾げていた。予想通りの反応を見て和樹は笑ってしまう。


「ふふっ」


「……あの、和樹様。……これ、何なんですか?」


「ラーメン」


 リアラは驚いたように目を見開いている。クールな表情はラーメンを見た時点で既に消えてしまっていた。


「……野菜と豚が乗っているようにしか……麺は何処にいったのでしょうか?」


「下。野菜の下だよ」


 リアラはラーメンを見るのが初めてだ。初めて見たラーメンが二郎系とは、リアラは何を思うのだろうか。


「これが……ラーメン?」


「まあ他にも色んな種類があるけど、この店はこういうラーメンだよ」


「そうですか……」


 リアラはショックを受けたように顔が曇っていたが、すぐに顔色を少し取り戻す。


「ですが、食べてみない事にはわかりませんね」


「味は保証するよ、美味しいから」


「はい……では、いただきます」

 

 リアラは野菜の下に眠っている麺を掘り出し、小さな口で極太麺をすすった。


「───!?」


 リアラの表情はパッと晴れ、美味しそうに咀嚼している。


「んむ……これは美味しいですね、期待以上です」


「そうだろ?」


 そう、美味しいのは美味しいのだ。味は毎回和樹の期待に答えてくれる。

 だが、


「リアラ、できるだけ早く食べてしまえ、麺が伸びる前に」


「そうですね、頑張ります」


 リアラは一生懸命に麺をすする。そんなリアラを微笑ましく見る和樹。


「あっ、俺も食べないと」


 リアラは頑張って食べ進めているが、多分ラーメンは残ってしまうだろう。なので、それまでに自分の分は完食しておきたい。


「んぐ……んっ、旨っ!」


 久しぶりに食べたラーメンの味は格別だった。


 ―――――――――――――――


「ふう、まあ、前よりは楽だな」


 和樹はラーメンを全て食べ終わった。前より体も大きくなっていた為、全部食べた後も、まだほんの少し余力があった。

 心配なのはリアラの方で、


「……大を頼んだ自分を悔やみますね」


 3分の2程食べ進めたところで完全に箸が止まっていた。それでも女性にしてはかなり食べれている方だろう。メイドは二郎系には勝てなかった。

 和樹は無言でリアラのラーメン鉢を自分の方へ引き寄せる。


「あっ……」


「もう食べられないだろ?あとは俺が食うよ」


「申し訳ございません、私が調子にのっていなければ」


「いいよ、初めてだし、次から小を頼めばいい」


 そう言って和樹は麺を食べ進める。そして残りあと一口のところまできた。


(何が楽だよ……全て嘘です、リアラの残り食べたら結構きついです)


 最後の一口が中々進まなかったが、何とか食べ切った和樹であった。

 

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[一言] おい主人公w二郎系に連れてくなw せめて家系にしてあげろよ! 二郎系行ったことない女性を連れて行けるって ある意味メンタル凄いよw
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