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17話 メイドのお弁当

文章力がない!

それでもよろしければ見てくれたら嬉しいです

 始業式から次の日、和樹はメイドに起こされて、いつもより少し気だるい体を持ち上げる。

 何故だるいのかと言うと、昨日の夜にベッドに入って寝ようと思った時に、隣りにいるリアラが抱きついて来た。それはまだいいのだが、甘えたいモードのリアラがいつもの3割増しで抱きしめてきていたからだ。

 おかげで和樹の心臓はバックバク、寝れるまで1時間半もかかってしまった。


「あ〜眠い」


 歯を磨いたあと、リアラが作ってくれた朝食を食べる。この時に飲む味噌汁は、眠たい体に生気をもたらしてくれる。


 今日から授業が始まるので、弁当を持っていかなければならない。

 リアラが召喚される前までは、弁当を作るのが面倒くさかったので、高校の購買でパンを買っていた。

 学食を食べる選択肢もあったのだが、パンを買うよりは値段が高くなる為、断念していた。

 だが、今はリアラがいる。そして昨日、リアラが弁当を作ってくれると言っていた。


「これがお弁当です」


「ああ、ありがとう」


 食べ盛りの男子高校生の為に少し大きめの弁当箱。それに感じるズッシリとした重み、これが弁当です。


「愛妻弁当ですね」


「ちょっと気が早くない?」


「では、メイドの愛情弁当と言うことで」


「まあ嬉しいことに変わりは無いけどな」


 幼稚園、小学校、中学校の時は給食だった為に、こうして学校がある日に手作り弁当が食べられるのは、大変嬉しいことだ。


「ニヤけてますよ」


「おっと」


 あまりの嬉しさに和樹はニヤけてしまった。リアラが来てから毎日のように食べていたリアラの料理が、不味いわけが無いので弁当には期待しかない。


「そろそろ登校の時間です。私は後から行きますので」


 和樹はリアラに少し遅く家を出てもらうように言っている。一緒に住んでいる事がバレる事を防ぐ為だ。


「分かった、行ってくるよ」


「行ってらっしゃいませ」


 和樹は先に家を出て、リアラも制服に着替えて行く準備をする。


「忘れ物は無いですね……」


 リアラは玄関の鍵を閉めて階段を降りていく。エントランスを出て、道路に出て少し歩いたところで後ろから声をかけられる。


「ねえ」


 急に声をかけられ、リアラはゆっくりと声が聞こえた方向を見る。


「確かあなたは……宮本君の幼馴染の優花さんでしたね」


 リアラは初詣の時に優花の事は和樹から聞いていた。

 ここで和樹の名前をいつも通りに言ってしまうと関係がバレてしまうので、リアラはあくまで和樹の友達のように振る舞う。


「あんた神社にいたとき和樹と一緒にいたけど、あいつの何なの?」


「何と言われましても」


 リアラはとぼけた様に返事をする。リアラは優花の考えている事が大体分かっているので、別に答える必要は無いと判断した。


「とぼけないで! あんなにベタベタしてたじゃない! もしかして付き合ってんの?」


「それを聞いてどうするんですか?あなたは彼氏がいらっしゃるんですよね? あなたには関係の無い事のはずですが」


「あんな奴のことはどうでも良いの。どうせ」


「宮本君に嫉妬させるために付き合った……とかですか?」


「───!?」


 優花は図星をつかれて驚いた顔をする。


「最低ですね……あなたは人の気持ちを考えて行動したほうがよろしいのでは?」


「あ、あんたまでそんなこと言って……関係ないわ! 和樹は私の言う事いつも聞いてたんだから、私の事が好きに決まってる!」


 リアラは呆れたように笑って優花の方を見る。

 

「ふふっ、傲慢ですね……もしかして自分が宮本君と一緒にいてあげたとか思ってるんですか?」


「当たり前でしょ! あんな陰キャ、誰が一緒にいてやったと思ってんの?」


「凄い考えですね。宮本君があなたを必要としてないとは考えなかったのですか?」


 優花は既に怒りで体が震えている。ここまで自分の思い通りに行かないことがなかったからだ。


「うっさい! 編入してきたばっかで偉そうな口聞いて! 私があいつを必要としてあげてたの! 感謝されてもいいぐらいだわ!」


「そんなふうに考えられるとは驚きです。そんなだから宮本君に見放されるんですよ」


 優花は怒りでリアラに手を出しそうな勢いで近づく。


「知ったように言うな! それに、あいつは私が振ったの! 陰キャは近づくなってね!」


「あんないい人を見捨てるなんて……あなた宮本君の事何も知らないんですね」


「───黙れ!」


 優花はリアラの顔に向かって平手打ちしようとするが、リアラにそれが当たるはずもなく、あっさりと受け止められる。


「なっ!?」


「都合が悪くなったら次は暴力ですか……宮本君にもそうやって手を出したそうですね」


 優花はリアラの手を振りほどく。


「何よ! あいつが私の言う事聞かなかったから」


「そんなこともうどうでもいいです。ただ……次宮本君に手を出したら知りませんよ」


 リアラは優花を睨みつける。リアラの威圧感に優花は怖がって顔を青くする。


「あなたがもっと人の事を考えられるようになれば、宮本君と仲直りできるかもしれませんが、無理でしょうね。では」


 リアラは優花をおいて学校に向かった。


「……何なの! 何なのあいつ!」


 優花はリアラに言われた事を思い返すが、納得しなかった。


「知ったような言い方して! 私があいつに構ってあげたのに!」


 優花が和樹との仲を修復する事はできるのだろうか……。




 ―――――――――――――――





「和樹、一緒に弁当食べようぜ」


 授業を終えて昼休み、弁当を食べようと思ったところに友樹が和樹の席に

やってくる。


「ああ、茜は?」


「もうすぐ来るんじゃね?違うクラスなのにこっちで食べようとするもんな」


「ふん、バカップルめ」


「何が悪い」


「開き直んな」


 和樹はこんな馬鹿らしい話をできるのはこのクラスでは友樹だけ。和樹は何だかんだ言って構ってくれている友樹には感謝している。


「リアラちゃん人気だな」


「そうだな」


 和樹がリアラの方を見ると、リアラはクラスの女子に囲まれていた。


「リアラさんお弁当凄く綺麗じゃん!」


「美味しそ〜!」


「よければ食べてみますか?」


「いいの? じゃあ一口だけ」


 リアラは女子生徒にミニハンバーグ、もうひとりには卵焼きを食べさせた。


「美味しい!」


「めっちゃ料理上手じゃん!」


「ありがとうございます」


 そんなやり取りをしているのを傍らに、和樹は鞄に入れている弁当を取り出す。


「珍しいな、和樹が弁当って」


「ああ、リアラが作ってくれたんだ」


 すると友樹は羨ましそうに、


「いいな〜、リアラちゃんの弁当とか美味いに決まってるもんな」


「友樹だって茜に作ってもらってるだろ?」


「まあな」


 友樹は見せつけるように机に弁当を置いた。


「てか茜も来たら狭くない?」


「……まあいいじゃん、気にすんなって」


 そんな話をしているタイミングで、茜が教室に入ってくる。


「お待たせ〜。よっす和樹」


「元気だな、茜は」


「それが売りだからね!」


「茜も来たことだし、食べようぜ」


 友樹が弁当を開けて食べ始めたので、和樹もそれに続いて弁当の蓋を開けた。


「……」


 和樹は何かを見たようで、すぐに弁当の蓋を閉める。一度落ち着いたあとに、もう一度弁当の蓋を開ける。


「……」


 そこにはお米の上に海苔で大きく『LOVE』と書かれていた。


「和樹ラブラブじゃん」

 

「うわぁ、美味しそうな上に愛情も込められてるね」


「他のやつに見られたらどうすんだよこれ」


 和樹はリアラの方を見て視線で訴えると、リアラも和樹の方を向いて笑っていた。


「またからかわれてるなこれ」


「まあいいじゃん、これ美味しいよ?」


 茜はそう言いながら和樹の弁当箱から卵焼きを取り出して食べていた。


「俺の卵焼きが……」


「ほんと美味しいよこれ! 私こんなに上手く作れないし」


「へっ」


「和樹がドヤっててどうすんだよ」


「まあ自慢のメイドですから。……周りにバレたら殺されるだろうけど」


 そう言いながら和樹は唐揚げにかぶりつく。


「……美味い、冷めててもサクサクだ」


 その他にもきんぴらごぼうやミニハンバーグに手をつける和樹。どれも丁寧に調理されていて、上品な味わいだ。


「はぁ、今度リアラちゃんに料理習おっかな」


「まあ、良いんじゃないの? 俺が言っておくわ」


「いいの?ありがとう!」


 その後もゆっくりと弁当を食べながら雑談をして昼休みを過ごした和樹達であった。


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