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14話 まさかの始業式

文章力がない!

それでもよろしければ見てくれたら嬉しいです。

 1月5日、高校の始業式。和樹はリアラに起こされて、眠たい目を擦りながら歯を磨く。

 スマホでニュースを見ていると、メールアプリに通知があった。

 送信してきた相手の名前は神と書いていた。


「ふぁ?」


 和樹は神と連絡先など交換していなかった。それなのに送り主は神。訳が分からぬままに内容を見る。


『やっほ〜! 驚いたでしょ! まあ気にしないでいいよ』


 気にしない訳が無かった。いきなり神からメールが送られて来たら誰でも驚く。


『ただ色々あるだろうけど頑張ってって言いたかっただけだから! それじゃ!』


 そこで文章は終わっていた。いきなりメールを送ってくるとは、一般人に神の思考を読むのは難しい。

 それよりも気になった事があった。


「色々あるだろうけどって何だ? 行事とかって事?」


 色々とはなんだろうと考えてみる和樹だが、結局分からず終い。

 リアラが作ってくれた朝食を食べ、登校の時間までぼーっとしていた。


 和樹は優花と会うのが嫌なので、少し早めの時間に、家を出ることにした。


「それじゃ行ってくるよ。家の鍵は寝室に置いてるから、出かけるんだったら持っていって」


「わかりました、行ってらっしゃいませ」


 メイドに見送ってもらえた和樹は気分も良くなり、自然と足取りも軽くなる。

 いつもより10分程早く学校に着いた。和樹の教室は1年2組。教室にはいつもの時間より早く来た為、まだ生徒は少ない。

 10分程待っていると、友樹が教室に入ってきた。友樹は鞄をおいてすぐに和樹の机の方に向かう。


「な、なあ」


 友樹は何故か声を小さくして耳元で話しかけてくる。


「何で声小さくしてんの?」


「いや、なんか噂になってんだよ」


「何の噂?」


「何か学校に見たことも無い美人が来てたって」


「……ん?」


 見たことも無い美人、和樹には覚えがあった。


「しかも、銀髪だって」


「……」


 和樹は言葉が出ず、困惑した。まさかそんな事はないだろうと、自分に言い聞かせるが、最近出会った銀髪の人と言えばあの人しかいない。


「もしかしてリアラちゃんじゃないのか?」


「は、ははっ、そんなまさか」


 苦し紛れに否定するが、和樹もその可能性が高いと感じていた。

 

「席につけー。HR始めるぞー」


 白崎先生が教室に入ってきたので、この話はお預けとなった。


「今日は9時から始業式がある。後、編入生がいるから編入式もあるな」


 この話を聞いたあと、和樹は始業式が始まるまで編入生の事で頭が一杯になっていた。


(いやまさか学校に通うなんてそんな……まさか神が色々あるって言ったのはこれの事? ……そう言えばリアラの、年齢設定って確か16歳?)


 ごちゃごちゃと頭の中で色々と考えているうちに始業式が始まり、校長先生の長い話が終わる頃に、


「それじゃ私の話はこれで終わります。後、皆も噂で聞いていると思いますが、今日は編入生が来ているので、始業式が終われば編入式があります」


 始業式が終わり、編入式が始まった。


 司会の人はマイクを持ち、


「では、編入生に挨拶をしてもらいます。編入生の方、どうぞ」


 体育館の舞台の裏から現れてきたのは、


「皆さんはじめまして、リアラ・アイルークと申します」


「……」


 予想は見事に当たっていて、舞台の上で喋っているのはリアラだった。

 どうやら苗字の方は作っているらしい。そもそもリアラの住民票は作るのをすっかり忘れていた。いつ作ったのだろうかと疑問が浮かぶ。


「幼少期はロシアに住んでいましたが、日本語は理解できますので、皆さん気軽に話しかけて下さい。よろしくお願いします」


 出身をロシアにしたのは、ロシア人が銀髪が多いのでこれは妥当な考えだ。

 ここまで和樹にバレずに編入の手続きをできたということは、おそらく神が編入させたという事と予想ができる。

 

 こうして和樹が色々考えを巡らせている間にも周りは騒がしく、「やっば!めっちゃ美人じゃん!」「銀髪やべぇ!」「あの人に踏まれたい!」「リアラってガールズブレイカーのリアラ?」「馬鹿! ロシア出身って言ってんだろ。それに現実にリアラがいるわけ無い!」などとそこら中から声が聞こえる。

 

 どうやら本物のリアラとは誰も思っていないようだ。

 挨拶も終わり、司会の人が、


「リアラさんのクラスは1年2組となりますので、よろしくお願いします」


 クラスまで同じだった。いくら神が編入させようと、ここまで入念なのは神の他にもこの話に協力している人がいるはずだ。

 和樹は大体の予想はついていた。


「……父さんと母さんだよな……多分」


 お金の事など色々な面を考えるとその結論に至る。私立なら無理かもしれないが、和樹の高校は公立なので、それぐらいの学費なら和真の給料なら割と平気で払えてしまう。

 

 教室に戻り、改めてリアラの自己紹介があった。自己紹介が終わると後はLHRだけだったが、


「どうせ何もすること無いし、リアラと話したい奴ばっかだろうから、好きにしていいよ」


 白崎先生がそう言うと、生徒達は、和樹の右に一つ飛ばしにあるリアラの席に群がっていく。

 好きにしていいと言っていたので、和樹はスマホですぐに父の和真にメールを送る。


『父さん! どういう事だよ!』


 メールは直ぐに既読され、


『ああ、リアラちゃんの事か。内緒にしてた方が面白そうだと思ってな』


『いやびっくりしたわ! 編入の手続きとか、住民票もまだ作ってなかったし、どうしたんだよ』


『リアラを召喚してから神様が校長先生のとこ行って話をつけてきたらしい。住民票はその日のうちに作らせた。学費の事は俺が受け持ったし、問題はない。神様からメール来たときは驚いたけど、お前も俺もいちいち驚いてても仕方ないぞ。多分これからも何かあるかもしれないし』


 クリスマスの次の日、和樹は昼間に寝てしまっていたので、手続きやらをその時間のうちにしてしまったのだろう。


 会って間もない神とどうしてそこまでチームワークが取れるのかが和樹は不思議でならなかった。


『それで、編入試験もあったんじゃないのか?』


『ああ、校長先生から編入の連絡が来てた時に聞いたぞ。リアラちゃん、編入試験満点だったってよ』


 定期テストで満点を取れていない和樹は少し負けた気分になった。


『取り敢えず話は分かった』


『そうか、じゃあまた話でも聞かせてくれ』


 和樹はスマホの電源を切り、リアラの方を見た。案の定リアラは質問攻めをされていた。


「今何処に住んでるの?」


「日本語何処で習ったの?」


「連絡先交換しない?」


「顔踏んでください!」


 連絡先はまだしも、他の質問に対しては返答に困る。そもそもリアラはゲームのキャラだった訳で、日本語は元から知っている。

 何処に住んでいるという質問なんか、はっきりと答えてしまえば、和樹と一緒に住んでいる事がバレてしまい、クラスで陰キャ扱いの和樹は亡き者にされてしまうだろう。

 最後のやつに関してはもう知らない。

 流石のリアラも返答に困っていると、


「そんなに質問ばっかしても答えにくいこともあるだろ。まずはもっと仲良くなってから何でも聞けば良いんじゃないか?」


 クラスの中心的な存在である友樹にそういわれて、生徒達は口を開かなくなった。


「すみません、ありがとうございます」


「気にしないでいいよ、分からないことがあったら聞いてくれたらいいから」


 そう言って友樹は和樹にのところに向かう。

 生徒達はリアラに謝罪をしていた。


「サンキュー友樹、ナイスフォロー」


「言わないと止まりそうになかったからな。それより何でリアラちゃん編入してきてんの?」


 友樹にはまだ神の存在について話していないので、和樹は取り敢えず和真が編入について全て行ったと説明した。


「なるほどな、和樹のお父さん結構稼いでるし、公立の学費なら払えるだろうしな」


「それでも心臓に悪い。いきなりリアラを学校に来させるって……」


「そりゃそうだな。じゃあ編入試験とかあったんじゃないか?」


「満点だとよ」


「やっぱりな、リアラちゃんが勉強できないイメージが湧かないしな」


「何か俺の方がお荷物だな」


 勉強も自分よりできる上に、身の回りの世話を焼いてくれるリアラ。和樹は自分の方がお荷物になってしまっているという劣等感が湧いてきていた。

 それに対して友樹は、


「リアラちゃんを当てたのは和樹だ。それに、別に俺はクラスでは顔が利くかもしれないけど、和樹に勉強では負けてるしな」


「それはそうだけど……」


 和樹の表情が少し暗くなる。

 一度駄目だと考えると、もとから自分に自信が無い和樹は、どんどん自信をなくしていく。和樹の悪い癖だ。


「自信がないなら堂々とリアラちゃんの主人になれるように頑張ればいいだろ」


「……そうだな」


 良い友達を持った。そう和樹は思った。自信が無い自分を後押ししてくれる存在。それが友樹だった。


「もう少し頑張ってみるよ」


「おう! 俺もお前にもっと勉強教えてもらわないといけないし」


「いい事言ってたのに今ので台無しだよ」


「「……ふふっ、あはは!」」


 これからも友達でいたい。そんな気持ちになって笑う二人。

 その後はチャイムが鳴るまで和樹と友樹は話し続けた。

 


 


 

 


 

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