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孤島オンライン  作者: 西谷夏樹
航海、そして空へ
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被害報告

 バイトを終えて自宅に帰ってきた俺は、昼飯・歯磨き・シャワーを済ませてベッドに寝転がった。休日にゲーム三昧する準備は完了した。あとは気の済むまでコスニアを遊び尽くすだけだ。


「さて……と」


 拠点内のベッドで起き上がり、まずはギルドタブからギルドメンバーのログイン状況を確認する。マルボロ、フューネス、Taka、miyabi……全員ではないが、何人かのメンバーは既にオンラインだった。


『リオン:おはよーございます』

『マルボロ: _(┐「ε:)_ オハヨウ』

『フューネス:おは』

『Taka:おはです。先輩もいます』

『フューネス:マスターに報告。夜中に旧拠点が襲われたって』

『リオン:え?拠点が壊された!?』

『フューネス:うん。新拠点はまったくの無事だけど』

『マルボロ:引っ越して正解〇(><)』

『フューネス:大事なものは全部移動してあったのが不幸中の幸い』


 旧拠点。俺とフューネスがログイン初日に建てた拠点のことだ。こっちに引っ越してきてからは全然様子を見ていなかったけど、まさか夜中に攻撃された……!?


 慌ててギルドログを確認してみると、破壊されたオブジェクトの名前が赤文字で羅列されていた。


『Vua hiệp sĩ Lv.30に【木のドア】を破壊された』

『Vua hiệp sĩ Lv.30に【†刹那†】がキルされた』

『Vua hiệp sĩ Lv.30に【ベッド】を破壊された』

『Vua hiệp sĩ Lv.30に【ベッド】を破壊された』

『Vua hiệp sĩ Lv.30に【ベッド】を破壊された』

『Vua hiệp sĩ Lv.30に【アイテムボックス】を破壊された』

『Vua hiệp sĩ Lv.30に【アイテムボックス】を破壊された』


「うわ……マジか……」


 これは酷い。


 ギルドログの履歴を見るに、襲撃者はドアを破壊して侵入してきたらしい。†刹那†が死んでいるけど、ログが一回しか流れていないところを見るに、理由はわからないが旧拠点でログアウトしていた抜け殻を侵入者にキルされたのか?


 というか、この外国の読めない文字の名前……なんとなーく見覚えがある。ローマ字を崩したようなこいつは……まさか、俺がコスニアに初めてログインした日にいきなりキルしてきた外国人か?


 あるいはその仲間だろうか……まあ、文字が似ているし同じ言語圏の人間なのは間違いない。


 あのときの無力感はいまも俺の中に残っている。あれはまさしくゲーム下手への厳しい洗礼だった。無抵抗のまま殴られ、そのままキルされるという悲しい事件。だが、いまはあのときとは違う。俺はみんなとギルドを作り、拠点も建てた。一人で無抵抗に雑魚死したときからは大きく進歩したはずだ。


 今度こそはあのときとは違う結果にしてみせる。


 ――しかし、襲撃者のレベルがかなり高いのが気になる。この感じだと敵もギルドを組むなりにして攻略を進めていると考えたほうがよさそうだ。


 なんにせよ、相手はメンバー数不明の敵対ギルドということになる。しかもすでに俺たちは先手を打たれてしまった状況だ。


 次に狙われるのは新拠点である可能性が高い。石建築の拠点は簡単には破られないだろうけれど、現状のままではまだ心許ない。やはり、ニードルタレットの発見はやはり最優先事項だな。


 探索はすぐに始めたほうがいいよな……どう進めたものか。イカダ一台に乗れる人数はスペース的に三、四人が限度か?


 イカダを複数作って大人数で探索に出て行っても、他に割けるリソースが削られてしまうし、拠点が手薄になってしまう。少数精鋭で探索を進めるのが現状一番やりやすいだろうか。


 考えがまとまり、俺はもう一度グループチャットを開いた。


『リオン:昨日話していた通り、今日は島の外に探索に行きます。暇な人がいたら参加お願いします!』


 募集のチャットを書き込むとすぐに返事が書き込まれた。


『Taka:行くよ!』

『マルボロ:自分はモンスター小屋の建築をしているので~』

『フューネス:行きます』


 Takaとフューネスの二人が来てくれるならメンバーとしては申し分ない。Takaはゲーム慣れしているし、ニードルタレットについては誰よりも詳しい。フューネスも探索能力については先日の鉄鉱石の発見で証明済みだ。


『リオン:あざっす。集合場所はイカダにしましょう。イカダは拠点から真っすぐ砂浜に降りたところにあります。各自食料と水分は持参でお願いします』


 持っていく食料は焼肉、水分はシャノミの実でいいとして……ほかには鉄のつるはしと鉄の槍だな。防具はあんまり着込まなくてもいいかもしれない。イカダが沈没したら回収不能で全ロストの恐れがある。


 俺は必要な装備を準備してからイカダのある砂浜へと向かった。


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