表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤島オンライン  作者: 西谷夏樹
航海、そして空へ
36/102

ログアウト -4-


 ジリリリッ!と、やかましく鳴る目覚ましを止めて起き上がる。


「ふぁ……よく寝た……」


 欠伸を噛み殺しながらカーテンを開けて空を見上げると、今朝は雲一つない快晴だった。拠点がなんとか完成してくれたおかげで、狂っていた生活リズムも少しは戻せたな。連日夜更かしするのはさすがにしんどかった。


 気持ち昨日よりも軽くなった体をほぐしながら、俺は朝食の味噌汁の匂いが漂っているリビングに向かった。


 だが、扉を開けると目の前にはダンボールが山のように積み上げられていた。


「うわ、なんじゃこりゃ……。母さーん、これまた親父が送ってきたの?」


 箱をどけながらキッチンのほうに呼び掛けると、母さんは「んー」と適当な返事を寄越した。


「またか……いい加減受け取りまで全部やってくれる倉庫借りればいいのに」


 毎度のことながら溜息が出る。


 うちはマンション住まいで、リビングはそれなりに広いほうなのだが、そのリビングの半分を大量のダンボールが覆ってしまっていた。なぜこんなことになっているのか。それは俺の親父が個人の貿易商をやっているからだ。


 扱っている商品は主にレトロ玩具。半世紀前に流行っていたという紙のカードやハリウッド映画のおもちゃを、海外のマニアショップから輸入してはオンラインショップやオークションで売っている。


 輸送途中で雑に扱われてくしゃくしゃになったのだろうダンボール箱たちには、米国ニューヨークからの送付と書かれたシールが貼られていた。なるほど今回はアメリカまで買い付けに行ったらしい。


「ニューヨークだってさ。今回はいつ帰るって?」

「えー?来週明けだって」

「オッケー。そしたら帰国までにまた腕を上げとかないとな」


 言いながら、俺は部屋の隅に置いてあった「Soul Links」の対戦用ホログラムマットを指でなぞった。俺と親父の間のお約束というやつで、俺たちは再会のたびに「Soul Links」で対戦することにしているのだ。


 対戦成績は五分五分。まあ、血は争えないってことらしい。


「うん、美味しい!最高!」


 味付けに満足した様子の母さんはお盆に載せた朝食を運んできた。


 国際結婚した母さんだけど、作る料理は和食ばかりだ。いつもの納豆・みそ汁・焼き鮭のメニューを胃袋に流し込んで、俺はいつもより早めに家を出ることにした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ