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孤島オンライン  作者: 西谷夏樹
アイランド・ウォー
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エピローグ



 ロンとの戦争が終結して一週間が経った。


 あれから、ロンは完全に島から消え去ってしまった。海中に金庫を見つけるようなこともなく、彼らの痕跡は彼らがまるで最初からこの島には存在しなかったのようになくなった。


 しかし、彼らが引退したわけではないということはたしかだった。


 それは、彼らが離れ小島に建てた拠点が土台から壁からすべて解体されていたからだ。


 ゲームそのものから引退するのであれば、廃墟を解体する意味はない。わざわざ建材を解体するのは、物資を確保するためだ。


 俺たちが戦争用の物資を掻き集めるために本拠点を解体したように、ロンも再起するために拠点を解体して物資を集めたのだと思う。


 マルボロは、初期島から彼らの痕跡が消えたのはおそらく彼らが島の外に旅立ったからだろうと語った。俺もその可能性が高いと思った。なぜなら、彼らは元々イカダを住まいにして移動生活をしていたギルドだ。


 俺たちが支配する初期島を逃れて、他所の島で再興を企てるのは有り得そうなことに思えた。


 いずれにせよ、初期島で繰り広げられた戦争は終わったのだ。


「フューネス! 風向きはどうだ!?」

「大丈夫! いまなら安全に離岸できると思う」

「オッケー! じゃあ下ろすぞ!」


 フューネスはマウンテンコンドルに乗りながら、上空の風向きを見て言った。その言葉を聞いて、俺は帆船を支えていたロープを降ろした。すると、ドックに固定されていた帆船は滑り台を下りるようにして海面に落下し、一瞬水中に沈み込んでから浮力を得て浮き上がった。


「よっしゃー、着水は成功だな」

「リオンさんまだ安心できませんよ。座礁の危険があるので気を付けてください」

「あ、了解っす……」


 ――俺たちは新造した帆船の進水式を行っていた。


 いままで使っていたイカダは小回りが効くけれど、やはり大海原を航海するには少し頼りない。だから、これから島の外を冒険するにあたって、設計図に新しく開放された小型帆船を作ることになったのだ。


 もはや、初期島に俺たちが知らない場所はない。


 マルボロが見つけた洞窟内部の探索もこの一週間で終わってしまった。


 中のモンスターたちを退治して最奥にたどり着いた俺たちを待っていたのは、各島に固有で存在する『オーブ』というオブジェクトだった。


 ヘルプによる情報によれば、オーブは洞窟内から動かすことのできない移動不可オブジェクトで、最後にそれに触れたギルドメンバー全員に特定のバフを付与する代物らしい。


 初期島のオーブが持っていたバフは、『体力増加10%』と『移動速度増加5%』というもので、ほかの島々にも同じようにオーブが存在し、それぞれバリエーションに富んだバフ効果を持っているのだそうだ。


 今後の戦いは、そういった各種バフを集めるための島同士の戦いになる。


 だからこそ、俺たちは初期島の外へと探索に出ることにしたのだ。


「じゃあ試験運転を始めよう! カナ! 帆を張ってくれ!」

「はいさー!」


 帆船に乗り込んだみんなは初めての操船に慣れるべく忙しなく動いている。俺も帆の向きを調整するために風向きを読みながら、望遠鏡を手に取った。


「今日はいままで行ったことのない島に行ってみよう! もしかしたら、別の日本人ギルドと会えるかもしれない」


 帆船は帆を広げ、青い海に向かって進み始めた。


 俺たちのコスニアライフは終わらない。


 大海原を舞台に、新たな冒険が始まろうとしていた。




 ――ということで、アイランド・ウォー編完結です。

 作品自体もここで一旦完結となります!

 みなさんここまで読んでいただきありがとうございました!

 よろしければ画面下にスクロールしていただいて、星5評価いただけると嬉しいです。


 以下、あとがきになります。


 半年間の連載になりましたが、孤島オンラインどうだったでしょうか?

 自分としては一番書きたいと思っていた三章の戦争編を書ききれて満足しています。ただまあ、最後が若干駆け足気味になった感はあるのでそこは反省ですね。


 さて、一応、話としてはリオンとフューネスの確執、それとベトナム人ギルドとの戦争を書き終わって完結の体にはなりました。回収していない伏線は絆ジャパン関係のお話ですかね。そこらへんはもっと連載が長引いた際に触れる予定だった部分でした。


 ……というか、リオンのハーフ設定バイリンガル設定は完全に腐ってしまいましたね。ぶっちゃけ設定としてなくてもそのまま進行できた部分かもしれません。ただ、島同士の戦争を描くとなったらNA・EUの英語圏の人たちと最低限の会話ができなくちゃお話にならないなぁ……と思ってたんですよ。結局そこらへんまで行くことなく島編で力尽きたわけですが。


 まあ、島同士の戦争を書くとなると文量がここから二倍三倍に膨れ上がってしまうので……風呂敷を広げ過ぎずキリの良いところで完結させるには、島編で切るのがちょうどよかった感じです。


 自分としては30万字越えのお話を書くのは初めてだったので、いろいろ足りない部分はありましたがなんとか完結できてほっとしています。読者様的には物足りない部分もあったかもしれません。そこは感想でご意見などもらえると今後の参考になるのでよろしくお願いします。


 いやでも、そもそも最後まで読んでくれた人はいるんだろうか……?


 そこはけっこう怪しく思っています。一章・二章が動きの少ない話で、本番が三章からって前フリ長すぎだろみたいな。現状あるブクマも序盤だけ読んだ人が後半まで読むことなく外し忘れているだけみたいな。


 まあ、次回作ではそのあたりもっと気を付けて書こうと思います。


 いずれにせよ、孤島オンラインはここで一区切りですね。だいぶ望み薄ですが、完結ブーストでブクマが伸びたら島同士の戦争も書こうと思っています。三章までの範囲だとARKですが、四章からはATLAS的な海洋戦争を考えていたので需要があるならぜひ書きたい。


 いろいろと構想自体はあるんです。


 が……すべては後の祭り。あとがきはこのぐらいにしておきましょう。


 繰り返しになりますが、孤島オンラインを最後まで読んでいただきありがとうございました。

 また次の作品で会いましょう。西谷夏樹をお気に入り登録してもらえると、次回作の連載が開始したときに通知がいくのでよろしければ作者ページから登録お願いします。


 では、また!



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