これは事実上の第二次小泉政権ではないのか?
2012年9月、まるで20年ぐらい経ったかのような8年だ。なにせ、この8年の間に言葉の意味が真逆に変わったのだから。次の総理は菅義偉であるが、それにしても総裁選の最中に言う事が”増税”とはウンザリさせられる。安倍晋三という人物が総裁になる前に、どのように経済や政治政策を語ったか総裁選の所信演説のスローガンがなんだったか、そしてどのようなタイミングで増税をしたのかを考えれば、総裁になる前から増税推進の話をしだす人物が「10年間は考えない」と言ったところで、何か信を置けるような話だと本気で思えるのだろうか?
安倍晋三は、野党時代に均衡財政主義に反対の発言を行っており総裁になった時に「デフレを脱却するまで増税はしません」と言い、2度の増税延期は行ったが、結局デフレの最中で2度も増税を行い『アベノミクスでデフレ脱却』というスローガンを自分で台無しにした。この公約破りについて、色々と言われているが、そもそもとして、アレで、安倍総理は財政拡大派に属していたという現実がある。
菅の一連の発言について”増税の意図はない”的な方向で擁護する人は、前政権の増税をどう考えてんの? と心底思う。方便が既成事実化されるなど良くある話だし、彼が討論番組で語った増税論理はコテコテの均衡財政論であった。財政均衡論者はその論理に従う限りにおいて、絶対に超増税か超緊縮、或いは大増税大緊縮の3択以外に選択肢を持たない。増税しないっつ~なら超緊縮すんのか? と言う話である。それに増税しないと言ったのは消費税であり、その他の増税や負担金については何の確約もしていない。真ん中を通ったのでハシは歩いてませんみたいな事が普通にまかり通るだろう。
だいたい、討論番組で語られた消費増税推進に〇を出した理由も、勘違いスポ根野郎としか思えない自己陶酔が根底にあるのである。なんでも”減税なんてポピュリズムであり、わたしは将来世代の事を考えて敢えて、支持率が減るような事を言ったんだァ!”という事だそうだ。本当に不可思議な話なのだが、小さな政府論者の世界では”市場”は常に理知的に振る舞う事になっているのに、市場を構成する民衆は愚かさ極まる連中でインフレ率1000000000%だろうがなんだろうがインフレ圧力を発生させ続けインフレ解消に反対し続ける事になっている。増税や緊縮に賛成する民衆など存在しない訳だ。
このような衆愚観に真っ向から反するスローガンを打ち立てて、未だに初期獲得支持率トップに君臨し続けているレジェンドがある。そのスローガンは『聖域なき構造改革』、2001年小泉内閣である。あるいは、多数の人たちは構造改革の意味が判っていないかったのかもしれない。しかし、このスローガンは『痛みを伴う改革』に変わっていく。痛みを伴う~というのは批判でも揶揄でもない。他ならぬ小泉自身がしょっちゅう口にしていた言葉である。小泉政権の象徴的経済政策は『竹中プラン』で、不良債権処理を美名に大量のリストラと倒産を生み出した。倒産が続発し、挙句に大手ゼネコンの青木建設が倒産しても「構造改革が上手く行っている」と居直る有様。その根本心理は息子の小泉進次郎が、2016年9月ソーシャルイノベーションフォーラムにて口にしたことが分かり易く提示しているだろう。曰く、「悲観的な考えしか持てない人口1億2千人の国より、将来を楽観し自信に満ちた人口6千万人の国の方が、成功事例を生み出せるのではないか」である。
そもそも竹中プランの不良債権認定は、返済プランが順調でもデフレによって資産価値が下落すると即不良債権にされる意味不明な代物だったのだ。そして、不良債権認定された事業所に、不良債権の処理をノルマで義務化されている銀行が追加融資するだろうか? 勿論、しない。結果、実業に問題が無くても資金繰りで倒産するという珍事が相次いだ。なんでこんなになるかというと、アメリカの株屋至上主義的な経済システムに無理やり取り換えたからに尽きる。好意的に解釈しても、アメリカかぶれの馬鹿が「明日から英語で全部やれ」とか言って大問題が起きたという事にしかならない。この行為に意味があったのかは、この政権から20年経ってもデフレ脱却すら出来ていない現実が全てを物語っているだろう。この竹中プランの竹中平蔵氏は、大量倒産&リストラ&派遣法改正によって派遣会社が躍進できる環境を構築した功績が評価され後にパソナの会長になるわけである。後に、未だにデフレ脱却出来てない事を言われると彼が主張したのが有名な『正規社員は既得権益説』だ。労基法すら不要なんだってさ。
話を過去から現代に戻そう。菅義偉の政策プレーンに、この竹中平蔵とデービット・アトキンソンというのがいるのだが、一言で言って”狂気”である。どっかの国から送り込まれた国家破壊の工作員としか思えない。彼の提言する政策はこうだ。
雇用を減らせ。以上
いや、マジで言っているのよ。日本には中小企業が357万社あるのだが、それが半分消えても良いと言い切っている。統廃合して大企業だけにすれば、”無駄が無くなり”、”効率化が推進”され皆ハッピーになれるんだってさ。秀逸な言葉の使い方であろう? 労働政策において”効率化”というのは、リストラの言い換えである。中小企業357万社には2784万人もの就労者がいるわけであるが、ま、この内の1割が失業者になるにしても200万以上の人間が職を失い路頭に迷う訳だ。あるいは、失業しないにせよ派遣や雇用環境の劣悪化を受容しろという話になる。
だいたい、起業しろ! イノベーションだ! と言いながら中小企業に倒産圧力を加える。
完全に矛盾しておるだろ。GAFAがGAFAが言う連中の頭の中では、年商数百万ドル規模の巨大企業がある日いきなり現れたという事にでもなっているのか?
要するに、中小企業再編だの構造改革だのの正体は、ナチスドイツが占領地と被差別民に対して行った収奪経済と同じモノなのである。ドイツ本国が総力戦体制に移行するのは1943年だった事を考えると、国内にユダヤ人と占領地を求める新自由主義者の度し難さはアイヒマンもビックリだろう。ナチスも驚きの鬼畜ぶりだ。皆も人を殺すなんて乱暴な言葉は使っちゃダメだよ。”ポアする”とか”最終的解決をする”と言いなさい。そうすると、人間の生命活動を停止させても人を殺したことにはならないから。(わきゃねェだろ)