血溜まりの血溜まりから ~ハイリンダの青春録~
闇より深い黒の洞窟の奥で、ハイリンダは鎖で岩壁に繋がれていた。耳を澄ませても聞こえるのは闇の音だけで人気は無く繋がれたまま丸三日は過ぎようとしていた。
「マズいわ……寧ろ殺されて放置された方がマシね……」
死の空腹が常にハイリンダの脳を焼き焦がしてゆく。意識は朦朧とすれど、決して楽になる事は無い。彼女にとって【無】こそが最大の弱点でもあった。
鎖は全部で三つ。一つは右手首。一つは左手首。そして最後は首に…………
「全く……あいつらめ。ココを出たら全員皆殺しにしてやるわ!!」
ハイリンダは怒りの矛先を決め、自らの歯牙を先ずは左手へと突き立てた!!
…………
………………
洞窟に響くハイリンダの啜り泣き。彼女は酷く充血した眼から果てしない涙を零しながら洞窟を外へ歩いていた。両腕で頭を押さえ、落ちないように支える。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ……………………!!」
血に染まった服のポケットには両手がすっぽりと収まり、ポケットから僅かに指先が見え隠れしている。
洞窟を抜けると、そこには銃を構えた現地人が二人座っており、ハイリンダを見るなり血相を変えて慌てふためいた!!
「殺す……お前らを殺す……!!」
「jwgbt-jadw-qhbvad!!!!」
一人は逃げ、一人は銃をハイリンダへと向けた。白煙と共に響く銃声。放たれた銃弾はハイリンダの肩へと命中する。
──ボトッ……
衝撃でハイリンダの頭が地面へと落ちる。
「お前も……同じ目に合わせてやる!!」
現地人の足が固まり、為す術無くハイリンダから放たれた闇の中へと囚われる!
「gwttpvadawm!!!!!!!!」
「何言ってるのか分からないけど、絶対に生かして帰さない……!!」
闇の中、漆黒の刃が現地人へと向けられた!!
「mooooooy----!!!!」
その日、一つの村が地図から消えた。村人は全員残らず首と両手が切断されており、人間の仕業と思われたが……その犯人は分からず終いとなってしまった…………。
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