侵攻組織会議
「報告会議?」
「そう、正式名は結構長いんだけど、簡単に言えば侵攻側世界による情報共有を目的とした会議で、現地登用の登録なんかも行うことになるの。貴方も出席して登録を行わないと私たちにペナルティが発生するの」
そう言われては仕方がないのでオルガギアットを使うわけにもいかず、同じ服装と多少の変装を施して多次元世界条約機構が所有するビルへとパムに案内される。まずは手続きを行い、所属をシャドウアーモリーに仮にではあるが移すことにする。仮なのは現在は本国との通信が途絶しており裁可が降りないからだ。また、本人確認のために静脈パターンと血液サンプルの提出を行う。未成年である魔法少女系にハンコを要求したりするのは難しく、また本人の意思が最も重要であるために手続きの際に静脈パターンを求められることが多いそうだ。
仮でも申請が通るのはやはり世界を股にかけるには余程の覚悟が必要だからだろう。侵攻側であろうとも意外と手厚い保証を受けられる。その分、取り分が減らされるが0よりはましだろう。
そして会議室へと向かい、すでに集まっている面々を見渡す。本当に多次元世界なんだと思える光景と、侵略ではなく侵攻である意味が良く分かる。獣人や、魚人、昔ながらのタコ型宇宙人、最近処分しまわっている使い魔に似た小動物を中心に集まる3人の少女たち。もしかしなくても正規の魔法少女隊なのだろう。こうして実際に目にすると物凄い違和感がある。まあ、オレたちの隣の席には5人がそれぞれ自分の色を主張するジャンバーを来ているから戦隊の方々なんだろう。つまり、善悪といった境はなく、純粋に攻めている側と攻められている側なのだろう。しかも、攻守が逆転するとこの会議の所属も逆になるのだろう。
そして時間になると同時に鬼が立ち上がりデカい声でカンペを読み上げる。
「我々は多次元世界条約に則り、条約の範囲内での全力を尽くすこと、そしてこれを破る者を徹底的に叩くことを誓う」
『『『誓います』』』
なるほど。確かにこれだけの世界が敵に回ることを考えれば条約内での取り決めを守ろうと思うな。そして見えてきた。ジュエルランドは辺境にあたる世界だ。繋がっている世界がこの地球だけか、繋がっているハブ世界が地球だけなんだ。情報弱者、それがジュエルランドの正体。これは良い情報を得られた。この情報と多次元世界条約機構はかなり使える。
「それでは現在、早急に対処しなければならないジュエルランドに関する報告をシャドウアーモリーから説明をお願いします」
進行役である多次元世界条約機構の職員に促されパムが説明する。
「前回の会議後、我々シャドウアーモリーの前線拠点は襲撃に会い、放棄する結果に終わりました。幸いにも人員に被害は出ませんでしたが、現在は現地登用を行ったこちらの彼、オルガの所有する物件にて活動を継続しています。また、同時に条約に従い、対応レベルを上昇させ、違法現地徴兵である2名の投降を受け入れました。また、ジュエルランドから送り込まれている使い魔を現在7匹殺処分しています。詳細は条約機構側へと提出していますので後ほど閲覧してください」
「へぇ~、よく交戦規定λで投降を促がせたものだね。隣の彼のおかげかな。ああ、僕はビッグトーチの侵攻部隊の総指揮を任されているフレイム。今のところは輝鎧を纏う戦士、マキナウォーリアー達との戦争中さ。ちなみに交戦規定はγ、簡単に言えばこの世界での拠点攻撃が許されるレベルだ。ちなみにγなんて余程のことがなければ許可されない。それだけヤバイ状態だ。ぜひとも参考にしたいんだけどね」
「フレイムさん、今は報告を優先してください。そういったことは会議の後にお願いします」
「分かりましたよ。ただ、それだけ僕たちもヤバい状態だと知ってもらいたかったんですよ。交戦規定Ωを申請するかもしれません」
貰った資料からΩを確認する。超大型ディバイディングフィールドを用いた全面戦争か。勝とうが負けようが被害がすごいことになるな。γだと、ニチアサヒーローの最終話付近の規模が許されるのか。まあ、両方の戦力を見ないことには何とも言えないな。むしろγの状態を長引かせつつΩで決戦の方がましな場合すらあり得る。
「えっと、続けます。このままジュエルランド側のアクションがなければ交戦規定λでの対応を続け、現地徴兵された残りの三人に投降を促がす形になります。無論、使い魔は即排除を行います。その際、こちらの情報を渡さないために尋問や拷問を行うことなく、一撃での処分を続けます。我々からは以上です」
「はい、問題ありません。続いて、ビッグトーチ、お願いします」
「先ほども言ったとおりだよ。現在のγではお互いに被害がデカい。水面下で向こう側とΩの申請をするかどうかを相談中だ。まあ、Ωに関しては早くても半年後を見てる。それまではγで潰しあう予定だよ。先月に続いて幹部は一人敗死、追加で新人幹部が二人追加で送られてきた。一人は叩き上げだけど、もう一人が挫折を知らないエリートだ。ちょっと監視をお願いしたい。書類は出来上がってるんで後ほど提出するよ。ああ、場合によってはこの場にいる皆様に迷惑をかけるかもしれない。先に謝罪させてもらいたい」
互いに手を引くには被害が出すぎているのか、これは本当に決戦を行うしかないように思える。
「先月も説明しましたが私たちは侵攻側に移りましたが、特に向こう側に攻めるつもりはなく、こちら側に散発して送り込まれる妖魔の討滅を続けています。交渉で片を付ける方針だそうです」
資料を読み込んでいるうちに魔法少女達の報告まで進んでいた。穏便と言えば聞こえはいいが、専門職でないということが足を引っ張っている。これが兵士なら攻め込むのも楽だが、この世界で学生という立場では侵攻は辛いな。
つまり持久戦に持ち込むことも可能なのかと思ったが、交戦期間は長くとも3年までとなっており、その後は多次元世界条約機構を交えた会談によって裁決が下されるのか。
やばいな、資料をもっと読み込まないと何処で足を引っ張られるか分からない。貰える資料は全部もらって帰らないと。それにしても、シャドウアーモリーを合わせて17組もいるのか。色々ハブ世界も大変だなぁ。