対トパーズ戦
ジュエルヴァルキリーとの会合を終え、リモート操作を解除する。ジュエルヴァルキリーと会っていたのはアモンによって改造を施したギアットだ。改造と言ってもホログラム面の強化と飲食が出来るようにしたのとリモートで操作ができ、スピーカーを内蔵することで会話を行えるようにしただけだ。これらによって危険は最小限にまで抑えることに成功している。
「さて、まずはトパーズから狙い撃ちだ。まずは一人だ。一人を狙い撃ちにすることで脱落させる。全体を狙って薄くするよりもまずは一人を脱落させることで踏ん張りを利かなくさせる。直接戦闘もディバイディングフィールドも一切行わない。彼女たちは直接戦闘という解決方法しか取れないが、こちらがそれに付き合う必要はない。一方的に殴って勝つ。これが大人のやり方だ」
向こうの勝利条件を満たさせない。こちらの勝利条件はジュエルランドに条約に批准させる。他にも勝利条件はあるが、条約に批准させるのが勝利後が一番楽なのだそうだ。
「作戦行動はターゲットが寝静まった後だ。それまではのんびりといこう」
ようやく全てが終わっていつもの日常が戻ってくると思っていた。だけど、実際は何も終わっていない処か今までボスだと思っていたパムの上司だという男の人が現れただけだった。それも自分のことを部長でさらに上司が存在すると。そしてこれまで以上に厳しく対応すると言われてしまった。
私にはオルガさんが言っていたことが嘘だとは思えなかった。仮定として半分が嘘だったとしても他の部分と矛盾が発生する。つまり100か0、全てが本当か全てが嘘か。私の考えとしてはたぶん、本当のことだと思う。だけど、ジュエルランドを侵略しようとしているのも本当のことになる。
侵略という行為は悪いことだ。だけど、彼らが言うには一定の基準さえ満たせば問題はないという。こと細かく基準が設定されていて、それに合わせて活動の許可が降りる。ルールは遵守していて多数決ならジュエルランド側が捌かれる。騙されて現地徴兵された民間人、それが私たちだと。理屈は通っている。
「このまま続けても良いのでしょうか」
本来なら私は受験生だけど、学園はエレベーター式だ。期末で赤点をとらない限りは問題ない。だけど、ずっと続いて3年後はどうだ。大学受験を放ってまで戦わなければならないのだろうか。この悩みを分かってくれるのは若菜ちゃんだけね。明日、こっそり相談しましょう。そう決めて眠る。そして翌日思い知る。本当に今まで手加減されていたということに。
翌日、目を覚ますと部屋が血で染まっていた。そして机の上にはフィーの生首と身体と思われる何かが置かれていた。それを理解すると同時に私は心を折られ、叫ぶ。完全に敵対するというのなら最後にはこうなると分からされてしまった。
部屋に飛び込んできたお母さんの叫び声を聞きながら気を失う。
目が覚めると病院に運び込まれていた。気づいていなかっただけで私の顔も血にまみれていて、フィーの死体は腐敗を始めていて感染症に掛かっていないか検査するために運び込まれたそうだ。検査の結果は問題なしと告げられた。
その後、警察の方に事情聴取をされたのだが、フィーの死体に関しては何も聞かれなかった。フィーは地球には存在しない存在なのに。事情聴取をしていた際に部屋の隅に居た婦警さんから最後に耳打ちされる。
「ジュエルランドの妖精はしかるべき処理を施されるわ。そろそろ夢から覚めて現実を見ましょうね」
そう言ってジュエルコンパクトがテーブルに置かれる。
「まだ手に取る勇気と覚悟はある?無いのなら多次元世界条約に則って処分しておくけど」
私には、手に取る勇気も軽く考える純真さもなかった。
「一撃で決まるとは思ってなかったよ」
トパーズから回収したジュエルコンパクトを弄びながらトパーズに関する情報を全て削除するように指示を出す。最後まで気づいていなかったようだが、改造したギアットは有能だ。それを改造したアモンの技術力もだ。ホログラフィック投影装置によるカモフラージュを閉鎖空間限定とはいえ個々人に合わせることができる機能によって婦警に化けたギアットをトパーズには見せ、事情聴取をしていた警官には誰もいないように見せる。あとは日本の国家権力にも手が回っているように勘違いをさせるのはたやすいことだった。
残るは4人。次はサファイアだ。こちらもそこまで時間がかかるとは思っていない。こちらの力をはっきりと示せば引き下がる。まあ、引き下がらないのなら楽しい楽しいお家騒動でも起こさせてもらおう。




