表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

下準備

港に用意されている倉庫の一つに保管されているコンテナを影の中に収納させ、注文されていたコンテナを取り出させる。


「中身のチェック、クリア。周囲に監視はいないな?」


耳に引っ掛けるタイプの通信機に話しかける。


『通常の警備以外に影はなし。取引先に連絡が行った。予定通り1時間後にはそちらに到着する』


通信機の先からはプライベートフォース通信担当のチルの声が帰ってくる。


「了解した。では、予定通り監視を残して撤収する」


監視は代金を踏み倒そうとしたとき用だ。向こうが確認した後に指定の口座に、仲介屋の口座に振り込まれ、仲介料を引かれて裏の口座に入金される。2時間後にはしっかりと口座に入金されていた。これで一息付ける。








「というわけで今回の仕事で当面の活動資金が手に入った。設備拡張などには全然足りないが、生活する分には問題なくなった。今後はチルが担当となって資金を稼いでもらうことになる。アモンには最初に説明した通りのガジェットの作成だが、予算は大丈夫か?」


ちゃぶ台を囲んで煮える鍋の様子を見ながら今後の予定を話す。


「まあ、僕にかかれば問題ないですよ。性能的には不満だらけですが、予算もなければ材料もないので妥協品ですが。本当はもっと凄いのが作れるんですよ」


プライベートフォース最年少の、地球換算で12歳の技術開発顧問のアモンがこっそりと自分のコップに酒を都合とするのをアニーが止めている。


「はいはい、お酒は大人になってから。地球換算でもシャドウアーモリー換算でも未成年の飲酒はダメよ。ノンアルビールで妥協しなさい」


「ちぇっ」


諦めてノンアルビールを入れてちびちび呑み始める。


「ところで、ジュエルヴァルキリーはどうするの?」


パムが視線を鍋から離さずに尋ねてきた。


「すでに下準備の段階だ。今回の仕事の報酬で住居環境を整えてから宣戦布告だ」


煮えたな。


「完成だ。話は飯の後だ」


「「「「「いただきます」」」」」


適当に材料をぶち込んだ男の鍋だが、この程度でまともな料理だと喜ばれている。ここにいるのはオレとパム、警備部門主任のアニー、研究部門主任のアモン、そして研究部門兼秘書職でもあったチルだ。アニーはデザートなら得意だそうだが、残りの3人は、まあ、食べられないことはないというレベルだった。







ノートパソコンをテレビにつないで下準備の報告を済ませる。


「改めておさらいしよう。サファイアヴァルキリー、本名、伊奈川若菜。研輝学園2年。文芸部に所属。自分の趣味を優先するタイプで邪魔をさせるのが嫌い。家は交易業で栄えた伊奈川財閥。兄がいるが才は平凡で疎まれている」


ギアットによって調べさせ隠し撮りなども行わせて変身前の姿がテレビに映し出される。


「エメラルドヴァルキリー、本名、本多美央。研輝学園2年。女子バスケ部に所属。部活でもムードメーカー。最近気になる先輩がいる。ただし相手は女だ」


戦闘面でのデータは不足しているがそれは宣戦布告後に一応調べる程度でいい。


「トパーズヴァルキリー、本名、緒川春奈。研輝学園3年。手芸部に所属。争いごとが嫌いでストレスから体調を崩し気味。去年に比べれば欠席が多い。出来ればジュエルヴァルキリーから降りたいと考えている」


集めさせてのは彼女たちがただの少女であるということ。


「ラピスラズリヴァルキリー、本名、安倍久美子。研輝学園1年。天文部に所属するも幽霊部員。安倍晴明の直系の子孫であり、本当に見えている上にジュエルヴァルキリーとなることでさらに力が増す。実力ではトップだろうが別の目的があり、ジュエルヴァルキリーは手段の一つと思われる」


こいつだけは警戒する必要があるが他はそうでもない。


「そしてルビーヴァルキリー、本名篠崎花蓮。研輝学園2年。生徒会書記。本気で正義の味方に憧れている。ただし、現実が見えていないわけでもなし」


別の意味で彼女にも気を使う必要がある。


「これらの他に住所や簡単な友好関係、1週間での動きも調べさせてある。ここまでで質問は?」


「ジュエルヴァルキリーとしての能力は調べさせないの?」


「今さら分かり切ったことを調べても意味はない。ギアットではジュエルヴァルキリーには勝てない。それが答えだろう?」


「それはそうだけど」


「だからこその搦手だ。正面から戦うことはしない。ただし、こいつだけは別だ」


映し出されたのはゆるキャラっぽい生物、ジュエルヴァルキリーを誑し込んだ詐欺師。ジュエルランド女王ホープの使い魔、フィー。


「こいつと今後送られてくる使い魔、奴らは積極的に排除する。向こう側の主張から彼女達を守る必要がある。この案件に関しては妥協は一切しないぞ」


「まあ、使い魔だから人工生命体だしそこまで私たちもうるさく言わないわ。ジュエルランド所属でもあるからね」


「では宣戦布告と同時に処理を行う。すでにギアットの1体をこいつの影に仕込んである」


「仕事が速いのね」


「残党を回収できた時点で情報収集に出していたからな。では、宣戦布告は三日後。招待状を送り、改造したギアットを使い宣戦布告を行いジュエルヴァルキュリーの殲滅。同時並行で拠点の再建造、および資金調達のための運び屋。3つを同時に動かす。パムとアモンはオレと共に対ジュエルヴァルキリー、アニーとその部下は拠点再建造、チルは運び屋を任せる。再びやり直せるような奇跡はもう起きない!!各員の奮闘に期待する!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ