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12/25

12th Stage 開幕! 学園祭!!

いつもご覧いただき、ありがとうございます!


今週は投稿時間が乱れ、申し訳ないです。


八月も中旬。皆様も体調にはお気をつけくださいませ。


「えっ!? なになに? ゆっか、フランス行ってきたの?」


 寮の自室でフランスのお土産を渡すと、雪子が驚きの声を上げた。


「うん。結構ハードスケジュールだったけどね」


 あれから帰ってきた朱里さんに渡仏の許可をもらい、私はジュリエットと共にフランスへと行ってきた。


 目的は勿論、ローズモンド=メイエに会うためだ。


「へえー。ゆっか、デザイナー志望だったんだ」


 お土産のチョコを頬張りながら、雪子が言う。


「じゃあ、進学はしないってこと?」


 私はそれに「うーん」と言葉を濁した。


「ほんとはデザインの勉強とかもしたいんだけど、もし上手く行ったら、来年からはローズのところで働けるかも知れなくて――」

「すごいじゃん! ……って、そんなに嬉しそうなじゃないね、ゆっか」


 雪子が首を傾げる。


「あー。そのための課題が、結構すごくてね……」


 私は寮に持ってきた大量の紙に目を向けた。


 約二週間前。


 ジュリエットと共にフランスにいるローズモンドに会いに行った私は、結果的に彼女から〝働きたいならうちで雇っても良い〞と言ってもらえた。


 けれど、来年から働ける条件として、ローズモンドから一つ課題が出された。


 それは一日一枚、デザイン画をあげること。


 どんな題材でもいい。

 どんなシーズンでもいい。


 でも毎週必ず、描いたデザインをまとめてメールで送り、それを今年の年末まで続けること。


 今から逆算して、約四ヶ月間。数は約百二十案。


「わお。一日一枚……」


 雪子が唸る。


 確かに、デザイナーになれば、一日何十案と出さなければならい状況もあるだろう。

 その中で一日一案というのは、初心者の私にとっては、これ以上ないほど優しい課題と言えるだろう。


 課題を出された時に、ローズモンドはこの課題は四六時中、絵やデザインのことを考える練習だと言っていた。

 それが達成できなければ、うちで雇うことはおろか、今後ファッションデザイナーには到底なることは出来ないとも。


「やるしかないよね! だから、夜、寝てるところ起こしちゃったらごめんね?」

「全然良いよー! 頑張れー、ゆっか!」




 翌日、後期始業式が始まり、私のデザイン強化のための四ヶ月間も同時に幕を上げた。


 そして、今月の後半にあるもう一つの催し物。


 それは――


「ねえ、真由まゆちゃん、聞いても良い?」

「何? ゆっかちゃん」


 始業式が終わったあとの放課後。


 同じ一組で演劇部の菊地真由ちゃんへ、私は今日の放課後にある演劇部の練習の内容について質問した。

 私に対する呼び方は、寮での雪子との生活もあって、周囲にはこの呼び名が浸透していた。


「うん。今日は、一幕までであってるよ」

「ありがとう!」


 そうなると、私は練習が始まる前までに出演者の練習用の衣装を出しておかなければならない。


 衣裳班も兼任している私は、放課後に一足先に部室へと向かい、必要な練習用の衣裳を衣裳ケースから段ボールへと移した。


(け、結構、重い……)


 人数にして約十人分。まあ、私一人で持てない重さではなかったのだけれど。


 一人ひとりの衣裳はそんなにたいしたものではない。とはいえ、数が多いとさすがにかさばっていた。


(……次回から台車を使わせてもらおう)


 それなら衣裳ケースごと運べるし、急遽監督が別の場面シーンをやろうと言い出しても衣裳班としてはカバーできる。


 次回への改善を見つけられたと気持ちを切り替えて、体育館へ続く角を曲がろうとしたその時。


「あっ!!」

「うおぅ!? ……きみ、大丈夫?」


 どこかで聞いたことがある声。


 ぶつかって段ボールを落としそうになった私の腕を、その人物が受け止める。


「ありがとうございます! って、あなたは――」

「俺のこと知ってるの?」


 藍藍だった。


「だって、《Vision》のメンバーだし、ね。あはは……」


 ――藍はまずい。


 直感的にそう思った。


 〝紫苑〞として活動している中で、《Vision》メンバーとは極力プライベートな関わりは避けていた。


 それは出演した番組などでも同じで、打ち上げも最低限なものだけ。スタッフともなるべく大勢とは関わらないようにしていた。


 けれど、〝紫苑〞が唯一プライベートに踏み込んでしまった存在。


 それが、藍だった。


「藍くん、ぶつかってごめんね。助けてくれてありがとう。それじゃあ……」


 私は改めて藍に礼を言い直し、体育館へと向かった。


 接触してしまったことは、もう悔やんでも仕方がない。


(……大丈夫、だよね?)


 私は不安を絶ちきるように、振り向かずに歩いていく。


 この時感じた直感が、やがて大きな騒動に繋がるとは気付きもせずに。




 神原学園の学園祭は、全二日行程。

 今日はその一日目だった。


(演劇部の公演は明日だし、ほんとは今日は大人しく部屋でデザインしていたいんだけどな……)


 私は、雪子が出ていった寮の自室で一人外に出ていくことを躊躇っていた。


 元々は身内にのみ解放している神原学園の学園祭は、今年は一日目だけ外部からの来場者にも解放されることとなっていた。


 その理由は、午後一で《vision》の限定ライブが行われるからだった。


 学園の宣伝の一貫もかねてなのか、限定ライブは同じ敷地内にある大学の講堂を使用して行われることになっていた。

 そのためライブ目当てに、今日は多くの来場者が朝から来ている。 


 当然、外部の取材班も多く来ていた。


 今朝食堂で会った若崎さんの話では、普段の密着撮影班だけでなく、キャスターを連れた報道陣までいたと聞く。


 明日ならまだしも、今日は多くの人の目がある。


 けれど、明日のクラスの催しの準備があるため、私も午後には外に行かなければならない。


 ――気付けば、朱里さんと()()()()をしてから、約半年が経っていた。


 何度かヒヤリとした場面もあるけど、なんとか誰にも私が〝紫苑〞だとバレずにここまで来れたのだ。


 けれど。


(……行きたい! というか、観たいっ!)


 実のところ、ライブを観たい。

 すごく、観たい。


 前回の入学式では突然すぎて楽しむどころではなかったけれど、今回は学園内で前もって宣伝されていたこともあって、少し状況が違っていた。


 《Vision》が作るあの空間。あの光景。


 その光景を、作り手ではなく観客として、経験してみたかった。


 それと同時に、心の隅では少しだけ不安が募っていた。

 彼らが作るその光景に、魅せられるのではないかと。




(き、来てしまった……)


 クラスでの予定まではあと三時間以上あるのに、私は寮から外に出ていた。


 普段、学園の高等部生徒も、大学領内への入構は禁止されている。

 けれど、例外な本日は、既に高等部の校舎から大学の領内へと繋がる道に多くの来場者が歩いていた。


(この中の人たちにはライブ目当てに来てる人もいるのかな……?)


 道の両端には、高等部生徒たちが運営する屋台が立ち並んでいた。


 食べ物はフランクフルト、焼きそば、クレープ、アイスクリーム、チョコバナナ。


 提供する品目に衛生面での制限があったものの、そのラインナップは多かった。


 その他にも、遊戯を目的とした屋台もいくつか見受けられる。 


(そう言えば……)


 並ぶ屋台の光景を見て、先日の縁日での出来事を思い出した。


「……」


 あの時、緋織は明らかにおかしかった。


 〝俺は、アイドルだから、与えなきゃいけない〞。


 以前、似たようなことを〝紫苑〞が緋織に言ったことがあったけれど、あの時とは、少しニュアンスが違う気がする。


(……なんで、あんなこと言ったんだろう?)


 そして気になるのは、その言葉を言った時の緋織の表情。


 やっぱり、何度考えても――


「あっ! ゆっか、来てたんだ!」


 雪子がメイド服姿でこちらに向かって来ていた。


「うん。確か、雪子のクラスはメイド執事喫茶だっけ?」

「そう! 今は宣伝係なの!」


 なるほど。だから看板を持っているのか。


 雪子のが持つ段ボールを装飾したと思われる看板には〝三年七組 メイド執事喫茶〞と書かれていた。


「ゆっかのクラスは、明日がメインなんだよね」

「うん」


 限定ライブに伴って、今年の学園祭は変則的に、屋台などの出し物以外は二日目以降に出してもよくなっていた。


「三年一組はお化け屋敷だっけ?」

「うん。もし時間あったら、ライブ終わりに講堂前にきてね」


 私の言い回しに、雪子が首を傾げる。


「ライブ終わりに? なんで? どゆこと?」


 校舎を使うため、二日目に開催することになった我が三年一組の出し物は、フルメイクのお化け屋敷。


 私は午後から演劇部があるため午前の受付担当にしてもらったのだけれど、その代わり前日の今日、とあるミッションがあった。


 それは明日の宣伝も兼ねた、限定ライブ帰りの来場客や生徒たちを対象にした、三年一組の生徒によるフラッシュモブ。


 ライブ終わりの十四時半に大学の講堂前の広場で、三年一組の面々が次々に倒れ、次の瞬間にはダンスをしだすという流れだった。


 弥生先生を通して学園側からも許可をもらっているから、あとは結構するだけ。


 ダンスも朝練でバッチリなのは確認済み。


 あとはフラッシュモブ結構の時間が来るまで、それぞれ学園祭を楽しむというのが、本日の私の予定だった。


「うん。私も午後には当番終わるから、行けるとは思うけど……」


 フラッシュモブは一組の秘密事項のため、もちろん他クラス生徒は知らない。


 けれど一組の生徒は、さりげなく知り合いなどに〝講堂前前に来て〞と宣伝しているのだ。


「なに? あの人だかり……」


 雪子がその方向へ指を差した。

 焼きそばの屋台に、結構な量の人だかりが出来ている。


「うちの焼きそば美味しいよ! 是非買っていってー!」


 人だかりの理由がわかった。


 ――藍藍が、屋台の前で売り子をしていたのだ。


「きゃー! 藍くん!!」

「こっち向いてー!」

「いえーい!」


 スマホを向けられて、素直にピースサインをする藍。


「次はこっちにお願いー!」

「はいよー!」


 緋織同様に、ファンサービス精神が豊富な藍藍は、クラスTシャツと焼きそば屋の羽織を来ながらアイドルをこなしている。


「あとで限定ライブもあるから、そっちもよろしくねー!」


 抜かりなく、ライブの宣伝もしている。


(仕事しているな……)


 その時、藍と目があった。


藍藍(以下、藍):あ! 緋織、この前のお土産、ありがとう! 美味しかったよ!

緋織(以下、緋):よかった。藍も甘いもの好きだよな。

  藍:うん! ほんとは学園祭でもクレープ屋さんがしたかったんだけどね。

    多数決で焼きそば屋になったんだ。

  緋:それ、絶対お前がつまみ食いするからだろ?

  藍:そんなことしないよー! そう言う緋織は、お化け屋敷で何するの?

  緋:貞子さん。

  藍:え。TVから出てくるやつ?

  緋:TVというか、井戸というか。まあ、うちの出し物に来たらわかるよ。

    ……って、あれ? そんな表情かおしてどうした? 藍って、怖いの苦手だっけ?

  藍:いや、ちょっと、前に出た番組を思い出して……

  緋:前に俺たち全員で出た番組のこと? 藍のリアクションよかったよな!

  藍:余計思い出すからやめてくれない?! それより次回予告をしよう、緋織!

緋&藍:次回、8/17更新予定『13th Stage これが私! 紫の初舞台!!』

    お楽しみにねー!!

  緋:あっ! 藍の後ろに貞子さんが!(大嘘)

  藍:ぎゃー!

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